楽しい話題を自分から提供する
学校のクラス替えがあって新しいお友達に囲まれたときや、グループ活動で班が一緒になったとき、「なんだかまわりの空気が静かだな……」「みんなスマホや自分のことでいそがしそうだな……」と、気まずい思いをしたことはありませんか?
そんなとき、あなたはどうしていますか?もしかして、「誰かが何か面白いことを言ってくれるのを待とう」「自分が話しかけてすべったらどうしよう」と、ドキドキしながら黙っていませんか?
実は、自分から楽しい話題を提供できるようになると、クラスのみんなから「一緒にいるとなぜか元気が出るな」「この人と話すと楽しいな」と思われるようになります。それはまるで、まわりの空気をパッと明るくする「太陽の魔法」のような力です。
今回は、脳科学のパワーも借りながら、自分から楽しくてワクワクする話題を提供して、みんなに好かれるコツをいっしょに見ていきましょう!
脳科学が教える!人の脳は「楽しいこと」が大スキ
まずは、ちょっぴりカッコいい脳科学のお話をしますね。むずかしい言葉はお休みにして、みんなの頭の中(脳)で何が起きているのかをのぞいてみましょう。
私たちの頭の中には、たくさんの神経がつながっています。その中に、うれしいことや楽しいことがあると「やったー!」と大喜びする、ドーパミンという物質(きもちを元気にする液体のようなもの)を作り出す仕組みがあります。
このドーパミンが出ると、人間は「この場所は安全で楽しい!」「この人のそばにいるともっとハッピーになれる!」と感じるようになります。つまり、楽しい話題を話してくれる人のそばにいると、その人の脳の中では「ハッピーな気持ち」がどんどんふくらんでいくのです。
「待ちの姿勢」はもったいない!
ここで、みんなに質問です。学校でこんなふうに思ったことはありませんか?
- 「だれか面白いテレビの話をしてくれないかなあ」
- 「先生が楽しい授業にしてくれたらいいのに」
- 「友達が遊びにさそってくれたらいいな」
- 「うちのクラス、最近なんだかつまんないな」
これらはすべて、自分以外の人が何かをしてくれるのを待っている「待ちの姿勢(受動的:じゅどうてきと言います)」です。
脳科学の研究では、人は「自分で考えて、自分から行動したとき」に一番大きなドーパミンが出ることがわかっています。それは、話を聞く側(まわりのみんな)にとっても同じです。誰かが話しかけてくれるのを待つよりも、「私からみんなを楽しませちゃおう!」と自分から動き出すほうが、あなたの脳も、お友達の脳も、ぐっと元気になるのです。
今日からできる!ワクワクする話題のタネのまき方
「でも先生、どんなお話をしたらみんなが楽しいと思ってくれるかわからないよ……」という声が聞こえてきそうですね。安心してください。クラスのみんなが「それ、気になる!」「もっと教えて!」と言いたくなる話題には、とっておきの「3つの引き出し」があります。
この引き出しをあけ方をマスターすれば、もう話題に困ることはありません。
引き出し1:クスッと笑える「日常のハプニング」
すごいニュースや、むずかしい本の話をする必要はまったくありません。みんなが「あ、それあるある!」と共感できて、ちょっぴり笑えるお話は、クラスの空気を一瞬でやわらかくします。
【学校での具体例】
- 「ねえ聞いてよ、昨日の夜、宿題のプリントを探して家の中を大捜索したんだけど、なんと自分のランドセルのいちばん底から、くしゃくしゃになった状態で発見されたんだよー!」
- 「今日の給食のとき、牛乳のふたを開けようとしたら、一発でパカーンってきれいにとれなくて、あやうく手からツルリと落としそうになってヒヤッとした!」
こんなふうに、自分がちょっとドジをしてしまったことや、日常の「あるある」を明るく話すだけで、聞いたお友達は「うちもそれやったことある!」「ドンマイ!」と笑顔になります。完璧な人より、ちょっと親しみやすい失敗をニコニコ話してくれる人のほうが、まわりは安心するし大好きになるのです。
引き出し2:自分が「今、夢中になっていること」
あなたが今、心から「楽しい!」と思っていることを、目をキラキラさせて話す姿には、不思議な魅力があります。人が何かに熱中しているエネルギーは、見ている人にも伝染する性質(これを心理学や脳科学で「感情の伝染(でんせん)」と言います)があるからです。
【おうちや学校での具体例】
- 「最近、図書館で借りた『〇〇の謎』っていう本がすごく面白くて!恐竜が生きていたころの秘密が書いてあるんだけど、〇〇って知ってる?」
- 「こんどの日曜日に、家族でお手伝いのごほうびにもらった新しいノートに絵を描くんだ!いま、どんなペンを使おうか考えてるだけでワクワクしちゃう」
ゲームの話だけでなく、本や工作、おうちのお手伝いで見つけた面白いことなど、自分が「すき!」と思っている気持ちをそのまま言葉にしてみましょう。あなたの楽しそうな表情を見ているだけで、まわりのお友達の脳も「楽しそうだな!」と反応してくれます。
引き出し3:相手が思わず答えたくなる「クイズや質問」
自分から話すのがちょっぴり苦手だな……という人は、話題を提供するのと同時に「お友達にバトンを渡す」方法を使ってみましょう。クイズや選択肢のある質問は、相手の脳をすぐに働かせる(活性化させる)ので、会話がとっても弾みます。
【休み時間の具体例】
- 「ねえねえ、ちょっと聞いて!いま自分の中で問題なんだけど、『給食のメニューでカレーとラーメン、一生どちらかしか食べられないとしたら、みんなはどっちにする?』」
- 「ねえ、今日の係のポスターの色、ピンクと黄色だったら、どっちのほうが遠くからでも見やすいと思う?」
このように、相手が「うーん、どっちだろう?」と考えやすい話題をふってあげると、聞かれたお友達は「絶対カレーでしょ!」「いや、ラーメンのほうが……」と自然に会話に参加できます。自分ひとりが話し続けるのではなく、みんなを巻き込むのが「好かれる子」のすご技です。
会話がもっと盛り上がる!「明るい笑顔」のトッピング
どんなに楽しい話題を思いついても、ボソボソとした声で、下を向いたまま「……あのさ、昨日のテレビ見た?」と話しかけられたら、お友達はちょっとびっくりしてしまいますよね。
話題を提供する力を100倍パワーアップさせるためには、「明るい表情とトーン」という最高のトッピングが必要です。
- 声の大きさをいつもより「ワントーン(1段階)高く」する
- 話し始めるときに、まずパッと相手の顔を見て「ニコッ」と笑う
- 「ねえねえ」「聞いて聞いて!」と、楽しいお話を届けるプレゼントを渡すような気持ちで話す
人間の脳には「ミラーニューロン」という、目の前にいる人の表情や動きを鏡のように自分の脳の中でもまねしてしまう仕組みがあります。あなたがニコニコしながら「楽しいお話があるんだよ!」と近づいていけば、お友達の脳も自動的に「楽しいモード」に切り替わるのです。
おわりに:今日から君が「クラスの笑顔のスイッチ」になろう
楽しい話題を自分から提供する。これは、むずかしいことや、特別なタレント(才能)が必要なことではありません。
「昨日こんな面白いことがあったよ」
「今、これにすごくハマってるんだ!」
「みんなに質問があるんだけどいい?」
そんな小さな一言が、静かだった教室の空気をポカポカと温め、まわりのお友達に「この人といると楽しいな、もっとお話ししたいな」というハッピーなドーパミンをプレゼントしてくれます。
あなたはもう、ただ待っているだけの小学生ではありません。自分の言葉と笑顔で、クラスの空気を明るくできるステキな魔法使いです。
さあ、明日学校に行ったら、まずは隣の席のお友達に、今日の朝ごはんのことでも、昨日の楽しかったことでも、なんでもいいので一つ、自分から楽しく話しかけてみましょう。あなたのまわりに、たくさんの笑顔の輪がパッと広がっていくはずですよ!