自分の好きなことや夢を大事にする
ここまで、お友達と上手に話し合ったり、困っている人を助けたりするための「9つの魔法」を見てきました。どれも明日から学校ですぐに使える大切なことばかりです。
でもね、みんなに優しくすることや、お友達の意見に合わせることばかりをがんばりすぎて、「本当の自分の気持ち」を我慢していませんか?
「みんなが流行っているアニメを見ているから、自分も本当は違うアニメが好きなのに言い出せない……」
「将来の夢を聞かれたとき、周りから『すごいね』って言われそうな夢じゃないと恥ずかしいから、本当の夢をかくしちゃった……」
そんなふうに思ったことはありませんか? 実は、周りの人にばかり合わせて自分の「好き」をかくしていると、だんだん心が疲れていってしまいます。そして不思議なことに、自分を大切にできない人は、本当の意味で他の人のことも大切にできなくなってしまうのです。
最後の10個目の魔法は、「自分の好きなことや夢を大切にする」ということです。これができるようになると、あなたの中にキラキラした自分だけの軸ができて、まわりの目を気にせず、もっと楽しく毎日を過ごせるようになりますよ。
世界中のみんなが違うからおもしろい!文化人類学のひみつ
ここで少し、世界の人たちのことを研究する「文化人類学(ぶんかじんるいがく)」という学問のお話をさせてください。
文化人類学者という人たちは、世界中のいろいろな国や、日本とは全く違うくらしをしている人たちのところへ行って、一緒に生活しながら「人間ってなんだろう?」ということを研究します。
そこでわかった、とても大切な事実があります。それは、「人間は、まわりの人と同じである必要なんて全くなくて、一人ひとりが違うからこそ素晴らしい」ということです。
文化人類学では、「文化」という言葉をとても広く考えます。文化とは、そのグループの人が食べているものや着ているものだけでなく、「どんなことが好きで、どんな夢を持っているか」という一人ひとりの心の中の宝物もぜんぶ含めて「文化」だと考えます。
例えば、南の島の村では「魚をとるのが大好きで名人になりたい」という子がヒーローかもしれません。北の国の村では「動物の絵を描くのが大好きで、いつか絵本作家になりたい」という子が大切にされるかもしれません。
世界を見渡してみると、みんなと同じである必要なんて、どこにもないんです。むしろ、あなたが心から「これが好き!」「こんなことしてみたい!」と思っているその気持ちこそが、地球上でたった一つの、あなただけの素晴らしい「文化」なんですよ。
「好き」をかくすのは、自分をもったいないことにしてしまうこと
クラスのみんなが「ゲームの〇〇が強い人がかっこいい」と言っているとき、あなた本当は「お庭で見つけたダンゴムシの観察日記を毎日書くのが楽しくてたまらない」としたらどうでしょう。
「そんなの地味だし、みんなに笑われるかも……」と思って、ダンゴムシのノートを机の奥に隠してしまうのは、とってももったいないことです!
文化人類学の考え方でいうと、あなたが心から夢中になっていることは、他の人には真似できない「あなただけの特別なパワー」です。それを隠してしまうと、あなたの心にある素敵な色(カラー)が、だんだん消えていってしまいます。
お友達に好かれたいからといって、自分の「好き」をぜんぶ消して、まわりの子と同じ色の服ばかり着ていたら、あなたの本当の魅力がみんなに見えなくなってしまいますよね。
学校生活で実践!自分の「好き」と「夢」を大切にする3つのステップ
では、明日から学校や家で、どうやって自分の「好き」や「夢」を大切にしていけばいいのでしょうか? 具体的な3つのステップで見ていきましょう。
ステップ1:「これ、好きだな」と思う自分の気持ちに「いいね!」をする
まずは、自分が何をしているときにワクワクするか、心に耳を傾けてみましょう。
- 図工の時間に、粘土をこねている時間が何よりも好き
- 教科書のすみっこに、自分のオリジナルキャラクターの絵をこっそり描いているときが楽しい
- 図書館で恐竜の本を読んでいるとき、時間がたつのがあっという間だ
- お家でお母さんのお手伝いで野菜を切っているとき、料理人になった気分でワクワクする
どんなことでもいいのです。「こんなこと好きって言ったら変かな?」なんて心配はいりません。心の中で「私(僕)、これが好きなんだな。最高にいいね!」と、自分で自分にマルをあげてください。
ステップ2:お友達の「好き」を認めて、自分の「好き」も大切にする
自分の「好き」を大切にできるようになると、お友達の「好き」も心から応援できるようになります。
例えば、クラスの友達が「僕、電車を見るのが世界で一番好きなんだ!」と話してくれたとします。昔のあなたなら「ふーん、マニアックだな」聞き流していたかもしれません。でも、自分の「好き」を大切にするあなたなら、こう言えるはずです。
「それってすごいね! どこを見るのが一番楽しいの?」
文化人類学の視点を持つと、お友達の趣味や夢は、まるで遠い国のめずらしいお祭りのように、聞いていてワクワクする面白いものだということがわかります。お互いの「好き」を認め合えるクラスは、誰もが安心して自分のままでいられる、最高の場所になります。
ステップ3:自分の「夢」をノートに書いて、こっそり育てる
将来の夢についても同じです。「プロサッカー選手になりたい」「世界中の動物と話せる人になりたい」「発明家になってみんなをびっくりさせたい」……どんな大きな夢でも、少し恥ずかしいような夢でもかまいません。
人に笑われるかもしれないからと、夢をあきらめたり隠したりする必要はありません。まずは自分だけのノートや紙に、その夢を書いてみましょう。
- ノートの表紙に「わたしの夢リスト」と書く
- 叶えたいことを、思いつくままにたくさん書き出す
- 「いつかこんなことしてみたいな」と、寝る前にニヤニヤしながら想像する
夢は、人に見せるためにあるのではなく、あなたの心をあたためて、明日へ向かうエネルギーにするためにあるのです。自分の夢を大切にしている人は、目がキラキラしてきて、自然とまわりの人からも「なんだかあの人といると元気が出るな」と好かれるようになります。
自分の足で立っている人だけが、本当に優しい人になれる
「だれとでも仲よくなれる!『好かれる子』になるための10の魔法」、最後のまとめです。
人に好かれたいと思うあまり、いつも人の顔色ばかりをうかがって、自分の意見を言えないのは、本当の「仲よし」とは言えません。それはただ、まわりに合わせているだけになってしまいます。
文化人類学が教えてくれるように、私たち人間は、一人ひとりが全く違うユニークな存在です。あなたがあなた自身の「好き」を大切にし、あなたの「夢」を胸に抱いているとき、あなたは一番あなたらしく輝いています。
自分という人間を大切にできる人だけが、同じように他人のことも大切にできます。自分の足でしっかりと立っているからこそ、困っているお友達にそっと手を差し伸べることができるのです。
今日から、あなたの中にある「好き」や「夢」という名の宝物を、誰にもじゃまされないように、大切に大切に育てていってくださいね。そのあなたの輝きこそが、だれからも愛される一番の魔法なのですから。