友だちとちがう自分を好きになる
学校で、こんなふうに思ったことはありませんか?
「みんなは流行っているアニメの話題で盛り上がっているけれど、自分はあまり見ていないから話に入れないな……」
「クラスの係を決める時、みんなは目立つ『黒板係』や『学級だより係』に手を挙げるのに、自分はひとりでこつこつ生き物を育てる『飼育係』のほうが好きだな……」
「みんなと同じように元気いっぱいに外で遊ぶよりも、図書室の隅で静かに本を読む時間が好きな自分は、どこか変なのかな?」
まわりの友だちと同じようにできない自分を見つけて、「私(僕)って、みんなから浮いていないかな」「嫌われていないかな」と、ちょっぴり不安になってしまうことはありませんか?
でも、安心してください。まわりのみんなと「ちょっとちがう」ということは、あなたの悪いところでも、直さないといけないところでもありません。それどころか、それはあなただけのすばらしい「宝物」なのです。
今回は、文化人類学(ぶんかじんるいがく)という、世界中の人間や社会の歴史を研究する学問の視点から、「みんなとちがうことのすばらしさ」と「自分を大切にする方法」の秘密を解き明かしていきましょう。
「みんなと同じ」は安心だけど……?
文化人類学のとても面白い発見に、「人間は、自分が属しているグループのルールや『みんなと同じ』に合わせようとする生き物である」というものがあります。
大昔の人間は、グループからはみ出してしまうと、外敵から身を守れずに生きていくことができませんでした。だから、私たちの体や心の中には、「みんなと同じようにしたい」「みんなと同じであってほしい」という気持ちが、遺伝子レベルで深く刻み込まれているのです。
だからこそ、今の小学生のクラスでも、自然とこんな空気が生まれます。
- 「みんなが持っているから、同じシャーペンが欲しい」
- 「流行りのゲームの話題についていかないと不安だ」
- 「みんなと同じように大きな声で発表しなきゃいけない気がする」
「みんなと同じ」でいることは、たしかに安心感がありますよね。クラスで変に目立って悪口を言われたり、仲間はずれにされたりする心配も減るように感じられます。
でも、ちょっと想像してみてください。もしも、世界中の人間が全員、同じ服を着て、同じ本を読んで、同じアニメが好きで、同じ意見しか言わなかったとしたら……?
そんな世界は、なんだかつまらなくて、ロボットみたいで窮屈(きゅうくつ)だとは思いませんか?
文化人類学が教えてくれる「ちがい」の力
世界には、何千ものさまざまな「文化」や「民族」が存在します。文化人類学者は、世界中のいろいろな村や町を訪ねて、そこに暮らす人々の生活を調べます。
そこで彼らが分かったことは、「人間社会は、みんなが『ちがう役割』や『ちがう考え方』を持っているからこそ、助け合えて、お互いに成長できる」ということです。
もし、村にいる全員が「狩りをする人」だけで、誰も「料理をする人」や「道具を作る人」がいなかったら、村はすぐに滅びてしまいますよね。それぞれの人が、自分が得意なこと、好きなこと、人とちがう個性を持っているからこそ、村全体がうまく回っていくのです。
これは、あなたのクラスでもまったく同じです。
クラスの中に、元気いっぱいでみんなを引っ張るリーダーがいるのはすばらしいことです。でもそれと同じように、クラスの片隅で静かにみんなの落とし物に気づいて拾ってあげる子や、図書室で誰も知らない面白い本を見つけてきてくれる子や、おうちのお手伝いで培った手先の器用さで工作の時間にみんなを助けてあげる子がいてこそ、クラスという小さな社会は豊かになるのです。
あなたは、「みんなと同じ」になるために生まれてきたのではありません。「あなたというオリジナルの存在」をこの世界で発揮するために生まれてきたのです。
今日からできる!「自分を好きになる」ための3つの魔法
「でも、やっぱりみんなとちがう自分が不安だな……」と思うあなたへ。明日から学校や家で実践できる、自分を大好きになるための3つの魔法を教えます。
魔法その1:自分の「好き」や「心地いい」をノートに書いてみる
まずは、自分自身を知ることから始めましょう。ノートの切れ端でもいいので、自分が本当に好きなことを書き出してみてください。
- みんなが外でドッジボールをしている時、教室で絵を描いている時間が好き
- おうちのお手伝いで、お風呂掃除をピカピカにするのが好き
- 大きな音やガヤガヤした場所よりも、静かな部屋で本を読む時間が落ち着く
これを書いていると、「あ、私(僕)ってこういう時間が好きなんだな」と気づくことができます。まわりの目は関係ありません。あなたが「心地いい」と感じるその気持ちを、まずはあなた自身が「それでいいんだよ」と認めてあげましょう。
魔法その2:ちがいを「武器」や「個性」と言い換えてみる
もし、友だちから「ねえ、なんでみんなと違うことしてるの?」と言われたり、自分で「私って変なのかな」と思ったりしたら、頭の中で言葉を言い換えてみましょう。
- 「みんなと話が合わない」→「自分だけの世界や好きなものを持っている」
- 「足が遅くてリレーの選手になれない」→「絵を描く時、だれよりも集中して丁寧な作品が作れる」
- 「大勢の前で話すのが苦手で緊張する」→「お友だちが困っている時に、1対1で優しく話を聞いてあげられる」
文化人類学では、他者との「ちがい」のことを「文化的多様性(たようなせい)」と呼び、宝物として扱います。あなたの「ちがい」は、欠点ではなく、あなただけの特別な「才能」なのです。
魔法その3:「ちがうこと」を面白がる友だちとつながる
すべての友だちと、何もかもを同じにする必要はありません。クラスの中には、きっとあなたと同じように「人とちょっとちがいを面白がれる子」や「自分の世界を大切にしている子」がいます。
たとえば、図書室でいつも同じ本棚の前にいる子や、係の仕事でまわりが適当にやっているところを一生懸命やっている子を見つけてみてください。
「それ、面白いよね」「その係のやり方、丁寧ですごいね」
そんなふうに、お互いの「ちがい」や「こだわり」を認め合える友だちがたった1人でもできたら、学校生活は一気に楽しく、心強いものになります。
だれかとちがうからこそ、あなたはあなた
最後に、いちばん大切なことを伝えます。
この世界に、あなたと同じ人は1人もいません。顔も、声も、好きなことも、給食で一番好きなメニューも、ノートの使い方も、すべてがあなただけのオリジナルです。
まわりの目が気になって、「みんなと同じにしなきゃ」と自分を小さく縮こまらせてしまう日は、誰にだってあります。でもそんな時は、心の中でこうつぶやいてみてください。
「みんなとちがって、何が悪い! この『ちがい』こそが、私の最高の宝物だ!」と。
あなたがあなた自身を大切にし、自分の「ちがい」を好きになった時、あなたのまわりには自然と、あなたをそのままの温かい目で受け入れてくれる本当の友だちが集まってきます。
明日、学校に行ったら、自分の「好きなこと」や「こだわり」を、少しだけ胸を張って過ごしてみてくださいね。あなたは、そのままで最高にすてきな存在なのですから。