「話しかけやすい人」と「そうじゃない人」のちがいはどこ?
ある日の休み時間、となりの席のともだちが、うれしそうにあなたに話しかけてきました。
「ねえねえ! 昨日、おうちで新しいゲームのステージ、やっとクリアできたんだよ!」
このとき、あなたならどうやってお返事をしますか?
「へえ、よかったね」と、手もとのノートを見たまま、小さな声で言うでしょうか。それとも、ともだちのほうをパッと向いて、「えっ、うそ! あのむずかしいステージ? すごすぎる!」と、目をキラキラさせて言うでしょうか。
じつは、この2つのちがいが、クラスで「あの人と話すと楽しいな!」とみんなに好かれるか、「なんだか話しにくいな……」とさびしい思いをさせてしまうかの、大きなわかれ道になるのです。
クラスの中で、いつもまわりに人があつまっていて、楽しそうに笑っている人がいますよね。そういう人は、特別なギャグがおもしろいわけでも、めずらしいおもちゃを持っているわけでもありません。ただひとつ、「リアクション(お返事のリアクション)が、とっても大きい」というヒミツがあるのです!
今回は、だれでも今日からできて、クラス中のともだちと一瞬でなかよくなれる「リアクションの魔法」について、いっしょに学んでいきましょう!
言葉は「キャッチボール」!リアクションは「ナイスキャッチ!」の合図
大学のえらい先生たちが研究している「言葉の使い方」や「人と人とのつながり方」の学問(語用論・社会言語学といいます)では、会話について、とてもおもしろいことがわかっています。
それは、「会話は、言葉の意味を伝えるだけのものではない」ということです。
たとえば、ともだちが「ゲームをクリアした」と言ったとき、ともだちはただ「クリアしたという事実」をあなたに教えたいわけではありません。本当は、言葉のウラに、こんなメッセージがかくれています。
- 「がんばったから、ほめてほしいな!」
- 「このうれしい気持ちを、大好きなあなたと分けあいたいな!」
- 「ねえ、ぼく(わたし)のこと、もっと見て!」
会話は、心と心のキャッチボールです。ともだちが投げてくれた言葉のボールには、ともだちの「うれしい」「悲しい」「おどろいた」という、大切な気持ちがいっぱいつまっています。
それなのに、あなたが「ふーん」「そうなんだ」と、ちいさなリアクションしか返さなかったらどうなるでしょう? ともだちは、せっかく投げたボールを地面にポトンと落とされたような、とてもさびしい気持ちになってしまいます。「あれ? ぼくの話、つまらなかったかな」「嫌われちゃったのかな」と不安になって、次から話しかけるのをやめてしまうかもしれません。
反対に、あなたが「へえ!」「すごい!」と大きなリアクションを返したら、それは「あなたのボールを、しっかりナイスキャッチしたよ!」という合図になります。ともだちは「話してよかった!」「この人と話すと、すごく元気になる!」と、あなたのことがもっともっと大好きになるのです。
「私はあなたに関心があります」という最高のプレゼント
専門の言葉では、これを「社会的シグナル」と呼びます。むずかしい言葉ですが、かんたんに言うと「私はあなたに関心がありますよ。なかよくしたいです!」という気持ちを、態度でしめすことです。
大きなリアクションは、相手に「あなたは大切な人だよ」と伝える、最高のプレゼントなのです。お金もかからないし、今すぐできるプレゼント。これを使わない手はありませんよね!
今日からできる!クラスの人気者になる「3つのリアクション魔法」
では、具体的にどうやってリアクションを大きくすればいいのでしょうか? 「恥ずかしいな」「大げさにするのは苦手だな」と思う人も大丈夫。だれでもかんたんにできて、クラスのともだちがパッと笑顔になる、3つの魔法のステップを紹介します!
① 声のトーンを「ドレミファソ」の「ソ」にする
まずは、声の高さです。ふだん話している声よりも、すこしだけ高めの声を意識してみましょう。音楽の授業でならう「ドレミファソ」の音階でいうと、「ソ」の音です。
「へえー!」と言うときに、低い「ド」の音で言うと、なんだかつまらなそうに聞こえてしまいます。でも、高めの「ソ」の音で「へえー!」と言うだけで、おどろいている気持ちや、ワクワクしている気持ちが、相手に100倍伝わるようになります。
朝のあいさつや、係の仕事で「ありがとう」と言うときも、この「ソ」の音を意識するだけで、クラスの雰囲気がパッと明るくなりますよ。
② 体全体で「うん、うん!」と大きくうなずく
リアクションは、声だけではありません。実は、人間の目は、声よりも「うごき」に強く反応します。
ともだちが話しているときは、首をたてに、大きく「うん、うん!」とふりましょう。目安は、「となりのクラスの人にも、うなずいているのが見えるくらい」大きく動かすことです!
これをするだけで、ともだちは「あ、私の話を一生懸命に聞いてくれているんだな」と、ものすごく安心します。話すのが苦手なともだちも、あなたの前では、リラックスしてたくさんおしゃべりできるようになりますよ。
③ 「オウム返し」+「へえ!」「すごい!」のコンボ
お返事の言葉にまよったら、この最強のコンボ(組み合わせ)を使いましょう!
ともだちが言った言葉をそのままマネして返すことを「オウム返し」といいます。これに「へえ!」「すごい!」をプラスするのです。
たとえば、こんなふうに使ってみてください。
- ともだち:「昨日、図工の時間につくったねんどの怪獣、おうちの玄関にかざったんだ!」
- あなた:「えっ、玄関にかざったの!?(オウム返し)すごーい! かっこいいもんね、あの怪獣!」
- ともだち:「お母さんのお手伝いで、お皿洗いをやったんだよ」
- あなた:「お皿洗い!?(オウム返し)へえー! えらいなぁ、やさしいね!」
どうですか? 言われたともだちは、絶対にうれしくなりますよね。「自分の話をちゃんと聞いて、認めてくれた!」と感じるからです。この「オウム返し+リアクション」のコンボを使えば、会話がとぎれることなく、どんどん盛り上がっていきます。
学校生活で大活躍!こんな場面で使ってみよう
このリアクションの魔法は、学校のいろいろな場面で使うことができます。さあ、明日の学校生活をイメージしながら、シミュレーションしてみましょう!
場面1:朝の教室で、ともだちが新しい筆箱を持ってきたとき
ともだちが、新しい文房具や、お気に入りのキーホルダーをカバンにつけているのを見つけたら、大チャンスです!
「あ、新しい筆箱だ。かっこいいね」と、ボソッと言うだけではもったいないです。ここでは魔法を使いましょう。
「わあ、その筆箱、新しくしたの!? すごいかっこいい! 中のポケット、どうなってるの? 見せて!」
ともだちは、新しいものを自慢したくてウズウズしているはずです。あなたの大きなリアクションのおかげで、ともだちは得意顔で筆箱を紹介してくれるでしょう。朝一番から、お互いにハッピーな気持ちになれますね。
場面2:給食の時間、配膳の係の子ががんばって配ってくれたとき
給食のとき、スープやおかずをお皿につぎ分けてくれる係の人。みんな、あたりまえのように受け取っていませんか?
ここで、あなたが魔法のリアクションを使います。お皿を受け取るとき、相手の目をしっかり見て、笑顔でこう言ってみましょう。
「わあ、大盛り! おいしそう! ありがとう!」
これだけで、重い食缶を運んでがんばって配ってくれた係の子は、疲れがパッと吹き飛びます。「がんばってよかったな」とうれしくなり、あなたのことが特別なともだちに見えてくるはずです。
場面3:授業中、となりの席の子がプリントをまわしてくれたとき
うしろの席から、前へとプリントをまわすとき。無言でペラッとわたしていませんか?
ここでも、となりの席の子のほうを向いて、「あ、ありがとう!」と、すこし高めの声でうなずきながら受け取ってみてください。
小さなことですが、こういう「毎日の小さなリアクションの積み重ね」が、「あの人はいつも感じがいいな」「話しかけやすいな」という、あなたのすてきな評判を作っていくのです。
リアクションを変えると、あなたのまわりに「笑顔の魔法」がかかる
クラスで好かれる「感じがいい人」は、生まれつきの才能ではありません。みんな、「相手をよろこばせるリアクション」を、意識して使っているだけなのです。
あなたがリアクションを大きくすると、クラスにすてきな変化がおこります。
まず、あなたに話しかけてくれるともだちが、どんどん増えます。だって、あなたに話をすると、みんな最高の気分になれるからです。
そして、あなたが楽しそうにリアクションしている姿を見て、まわりのみんなもつられて笑顔になります。あなたのまわりだけ、いつも温かくて、楽しそうな空気につつまれるようになるのです。まさに、クラス全体にかかる「笑顔の魔法」ですね!
最初は、すこし照れくさいかもしれません。でも、勇気を出して一歩ふみだしてみましょう。
明日の朝、教室のドアをあけたら、最初に出会ったともだちに、いつもよりほんの少し大きな声と笑顔で、「おはよう! 今日、いい天気だね!」と話しかけてみてください。相手のうれしそうな顔を見たとき、あなた自身の心も、ワクワクしたエネルギーでいっぱいになっているはずです!