あいさつは相手の目を見て自分から先に言う

📖 『「感じがいい人」になれる!クラスで好かれる50の魔法のルール』
ー 第1章:友達との距離がグッと縮まる「あいさつと会話」の習慣 ー
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あいさつは相手の目を見て自分から先に言う
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あいさつは相手の目を見て自分から先に言う

朝、学校のげんかんを通って、教室のドアをガラガラと開けるとき、あなたはどんな気持ちになりますか?

「今日はだれが来ているかな」「みんな、何のお話をしているんだろう」と、少しドキドキするかもしれませんね。もし、教室に入ったときに、クラスのみんなが自分のほうをチラッと見たのに、だれも何も言わずにまたおしゃべりを始めたら、どんな気持ちがするでしょう。「あれ、私、何か悪いことしたかな?」「ぼく、嫌われているのかな?」と、ちょっぴり悲しい気持ちになってしまうかもしれません。

でも、安心してください。そんな教室の空気を、一瞬でパッと明るく温かいものに変えてしまう「魔法のルール」があります。それが、「あいさつは、相手の目を見て、自分から先に言う」というルールです。

「えっ、あいさつなんて、毎日やっているよ」と思った人もいるかもしれません。でも、ただなんとなく「おはよー」とつぶやくだけでは、この魔法はかかりません。なぜ、自分から先に、相手の目を見て言うことが大切なのでしょうか。その秘密を、言葉の不思議を研究する学問の力を使って、いっしょに解き明かしていきましょう!

言葉の裏にある「心の矢印」の秘密

言葉には、辞書にのっている意味のほかに、「あなたと仲良くしたいです」という気持ちを伝える役割があります。これを、言葉の研究(社会言語学や語用論といいます)では、とても大切なルールとして考えています。

たとえば、あなたが「おはよう」と言うとき、ただ「朝ですね」という事実を伝えているわけではありませんよね。もしそうなら、スマホの画面に「朝です」と表示されるのと同じになってしまいます。

あなたが「おはよう!」と言うとき、そこには目に見えない「心の矢印」がついています。その矢印は、このようなメッセージを送っているのです。

  • 「私は、あなたに気づいていますよ」
  • 「私は、あなたを仲間だと思っていますよ」
  • 「今日もあなたと仲良くおしゃべりしたいな」

言葉の研究では、このメッセージのことを「私はあなたの味方だよ」と伝えるための「心の接着剤(せっちゃくざい)」と呼んでいます。あいさつは、人と人との心をピタッとくっつける、世界で一番かんたんで、一番強力な接着剤なのです。

そして、この接着剤は、「自分から先に使う」ことで、効果が何十倍にもふくらみます。なぜなら、先に言われた相手は、「あ、この人はぼく(私)のことを歓迎してくれているんだ!」と、おうちのコタツに入ったときのように、心がじんわりと温かくなるからです。

なぜ「目を見る」だけで、言葉が魔法に変わるの?

では、次の2つのうち、どちらが言われてうれしいか、想像してみてください。

  • Aさん:下を向いて、教科書を整理しながら、だれに言うでもなく「おはよー」と言う。
  • Bさん:あなたのほうをしっかりと見て、目が合ってから、にっこり笑って「おはよう!」と言う。

答えは、絶対にBさんですよね。Aさんのあいさつは、言葉は聞こえても、だれに向けて言っているのか分かりません。もしかしたら、独り言かもしれません。これでは、せっかくの「心の接着剤」が、だれにも届かずに床に落ちてしまいます。

言葉の研究(語用論)では、「言葉は、だれに向けて発信されたかがはっきりして、はじめて意味を持つ」と考えます。目を見るということは、あなたの言葉に「〇〇ちゃんへ」「〇〇くんへ」という宛先(あてさき)を書くことと同じなのです。

目が合うということは、「今からあなたに、私の温かい気持ちを届けますよ」という合図です。だから、目が合ってから言う「おはよう」は、相手の心にまっすぐ吸い込まれるように届きます。相手は「自分を大切にしてもらえた」と感じて、あなたにとても良い印象を持つようになります。これが、「感じがいい人」になれる、最初のステップです。

明日から学校でやってみよう!「先手(せんて)あいさつ」3つのコツ

「自分から先に、目を見て言うのがいいことは分かったけれど、はずかしくてうまくできるか心配だな……」

そう思う人も大丈夫です。魔法をじょうずに使うための、3つの具体的なコツを紹介します。明日、学校に行く途中の通学路や、教室のドアを開けるときに、ゲームをクリアするような気持ちで試してみてくださいね。

1.教室のドアを開ける前に「ターゲット」を決める

教室のドアをガラガラと開けてから、「だれに言おうかな」と迷っていると、タイミングを逃してしまいます。はずかしくなって、下を向いて席に歩いていってしまいがちです。

そこで、ドアを開ける前に、心の中で準備をしましょう。「よし、ドアを開けたら、最初に目が合った人に、自分から言うぞ!」と決めるのです。これを「先手(せんて)あいさつゲーム」と呼びましょう。

ドアを開けたら、まずはキョロキョロせずに、近くにいる友達や、黒板を消している日直さん、席にすわっているあの子のほうを、やさしい目で見つめます。目が合ったら、それがスタートの合図です!

2.相手の「目の色」をたしかめるように見る

「目を見る」と言っても、にらみつけるようにじっと見る必要はありません。相手が緊張(きんちょう)してしまいますからね。

おすすめなのは、「あの子の目は、何色かな?(黒かな、茶色かな?)」と、心の中でたしかめるように、ふんわりと見つめることです。時間にして、ほんの「0.5秒」でかまいません。

その0.5秒の間に、あなたの心の中で「見つけた!」という気持ちが生まれます。その瞬間に、言葉を送り出すのです。

3.「笑顔」をセットにして、相手より1秒早く声を出す

目が合ったら、相手が「あ、おはよう」と言うよりも、ほんの1秒だけ早く、自分から声をかけます。このとき、口角(こうかく・口の両はし)を少しだけキュッと上に上げるのがポイントです。声の高さは、いつもよりほんの少しだけ高めにすると、明るく元気な印象になります。

「おはよう!」

これだけで、魔法は完成です。あなたが先に言うことで、相手は「あ、言わなきゃ」とあせることなく、自然に笑顔で「おはよう!」と返せるようになります。あなたは、友達の心の中に「話しやすい空気」を作ってあげたのです。

いろいろな場面で使える!「先手あいさつ」の応用編

この魔法は、朝の「おはよう」だけではありません。学校生活のいろいろな場面で使うことができます。いくつか具体例を見てみましょう。

  • 係活動や委員会のとき:集まりの教室に入るときに、先にいるメンバーの目を見て「お疲れさま!」「こんにちは!」と自分から言ってみましょう。それだけで、話し合いがとてもスムーズに進むようになります。
  • 廊下ですれ違うとき:隣のクラスの友達や、あまりしゃべったことがない子、先生とすれ違うとき、目が合ったら自分から「こんにちは」と言ったり、ペコリと頭を下げたりしてみましょう。すれ違ったあと、相手は「あの子、すごく感じがいいな」と、あなたのことが大好きになります。
  • 家のお手伝いをするとき:おうちの人が夕ご飯を作ってくれているとき、台所に行って、おうちの人の目を見て「何か手伝うことある?」と自分から言ってみましょう。おうちの人は、その一言だけで一日の疲れが吹き飛ぶほどうれしくなります。

もし、相手から返事が返ってこなかったら?

勇気を出して、目を見て「おはよう!」と言ったのに、相手が何も言わずに通り過ぎてしまったり、下を向いてしまったりすることがあるかもしれません。「せっかく勇気を出したのに、無視された……」と、悲しい気持ちになってしまうこともあるでしょう。

でも、落ち込む必要はまったくありません! ここが、言葉の魔法の一番おもしろいところです。

言葉の研究では、「届いた言葉は、相手の心の中に必ず残る」ということが分かっています。相手が返事をしなかったのには、あなたとは関係のない、いろいろな理由があるのです。

  • ただ、ぼーっとしていて、声が耳に届いていなかっただけかもしれない。
  • 考え事をしていて、頭がいっぱいだったのかもしれない。
  • はずかしがり屋で、どうやって返事をしたらいいか分からず、固まってしまったのかもしれない。

だから、返事が返ってこなくても、「私の言葉は、あの人の心にちゃんと届いたな。心の接着剤はぬれたぞ!」と、自信を持ってください。自分から先に言えたあなたは、それだけで100点満点です。クラスで一番「感じがいい人」への階段を、しっかりと一歩のぼっています。

何回かくり返しているうちに、相手もだんだんと、あなたに「おはよう!」と笑顔で返してくれるようになります。あなたの温かい魔法が、相手の緊張の氷を、ゆっくりと溶かしていくからです。

明日、あなたの言葉でクラスの温度を1度上げよう

あいさつは、自分と相手との間に、温かい「空気の通り道」を作る作業です。自分から先に、目を見て言うことで、その通り道は一瞬で開通します。

クラスの中で「あの人、話しやすいな」「いっしょにいると安心するな」と思われる人は、みんなこの魔法を自然に使っています。特別な才能はいりません。必要なのは、ほんの少しの「先に言うぞ!」という勇気だけです。

明日の朝、教室のドアの前に立ったら、心の中で「先手あいさつゲーム、スタート!」とつぶやいてみてください。そして、ドアを開け、だれかと目が合った瞬間、にっこり笑って、自分から声を届けてみましょう。

あなたのその一言が、教室の温度をふわっと1度上げて、クラスのみんなを幸せな気持ちにする魔法になります。さあ、明日の朝が、とっても楽しみになってきませんか?

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