自分と違う意見も最後まで聞く
みんなは、クラスの係を決める時間や、グループでの話し合いのとき、「えっ、ぼく(わたし)とは全然ちがう意見だな……」とびっくりしたことはありませんか?
例えば、クラスのレクリエーションで「ドッジボールをしたい!」と思っているのに、となりの席の子が「みんなで楽しめるクイズ大会がいいな」と言い出したとします。そんなとき、「えー、ドッジボールのほうが絶対楽しいのに! なんでそんなこと言うの?」と、つい口をはさんだり、ムッとしたりしたことはありませんか?
人間は、自分と意見が違う人に出会うと、どうしても「相手まちがっているんじゃないか」「自分と同じ考えにして納得させたい」と思ってしまいがちです。でも、ちょっと待ってください。もし、そこで相手の意見を最後まで聞かずに「ダメ!」と否定してしまったら、本当はもっとみんなが笑顔になれる素晴らしいアイデアを見逃してしまうかもしれないのです。
この章では、自分とは違う意見に出会ったとき、どうやって耳を傾け、どうやってお互いの気持ちをわかり合えばいいのかという、とっておきの秘密を伝授します。これができるようになると、クラスのみんなから「この人と話すと、自分の意見も大切にしてもらえるな」「なんだかすごく安心するな」と信頼される、まわりの人から大人気の人になれますよ。
「ちがうこと」って、実はすごいチャンスなんだ!
世界中の人間や文化について研究する「ぶんかじんるい学」という学問があります。むずかしく聞こえるかもしれませんが、要するに「世界中にいるいろいろな人たちが、どんなふうに考えて、どんなふうに暮らしているのかを調べる学問」です。
ぶんかじんるい学の大切な考え方のひとつに、「世の中に『ふつう』というものはなくて、みんなちがって、みんないい」というものがあります。世界を見ると、国や地域によって、食べるものも、着るものも、大切にしているルールも全然ちがいます。そして、どれかひとつが正解で、他はまちがい、ということはありません。それぞれの場所で、それぞれの理由があって、その文化が生まれているからです。
これは、学校のクラスやグループでも全く同じです。クラスのひとりひとりは、生まれ育った家も、好きな本も、得意なスポーツもちがう「小さな別の世界」をもっています。だから、意見がちがうのは当たり前なんです。
- ちがいは「まちがい」ではなく、「新しい発見」
- 自分一人では思いつかなかったアイデアに出会えるチャンス
- お互いの世界を広げあうためのパスポート
ぶんかじんるい学の目線で考えると、自分と違う意見を言う人は「敵」ではなく、「自分の知らない世界を教えてくれる先生」のような存在なんです。そう思うと、意見がぶつかったときも、なんだかワクワクしてきませんか?
最後まで話を聞くための「3つの魔法のステップ」
「でも、やっぱり自分と違う意見を聞くのは、少しドキドキするし、イライラしちゃう……」そんなあなたのために、明日からすぐに学校でできる「最後までしっかり意見を聞くための3つの魔法のステップ」を紹介します。
ステップ1:口をチャックして、心の中で「ほうほう、そう来たか!」と思う
友達が話し始めたとき、最初の3秒で「それ反対!」と口を出すのはストップです。まずは口をしっかりチャックしましょう。そして、心の中で「ほうほう、そう来たか!」とつぶやいてみてください。
この言葉を心の中で唱えるだけで、不思議とイライラが消えていきます。「私はこう思うけど、この人はそういう角度からこの問題を見ているんだな」と、まるで映画やテレビを見るような、少し冷静な探偵の気持ちになれるからです。
ステップ2:相手の目を見て、うなずきながら「うなずきロボット」になる
人は、話しているときに相手がしっかり聞いてくれていると、「この人は自分のことを受け入れてくれたんだ」と安心します。そこで、相手が話している間は、首がもげそうになるくらい(は言いすぎだけど、しっかり)縦にうなずいてみましょう。
心の中では「ふむふむ」「なるほどね」と思いながら、相手の目をまっすぐ見て聞きます。これだけで、話している友達は「私の意見をちゃんと聞いてくれている!うれしい!」と感じ、あなたに対してものすごく好感を持ちます。
ステップ3:聞いたあとに「なんでそう思ったの?」と質問する
相手が話し終わったら、すぐに自分の意見を言い返すのではなく、こう聞いてみてください。
「へえ、面白いね! どうしてそう思ったのか、もっと教えて?」
この質問をされた相手は、自分の考えを否定されずに興味を持ってもらえたので、喜んで理由を話してくれます。話を聞くうちに、「あ、その考え方なら確かにクイズ大会も楽しそうだな!」と、自分の考えがアップデートされることもたくさんあります。
おうちやクラスでやってみよう!今日のチャレンジ
「自分と違う意見も最後まで聞く」という神コミュニケーション術は、頭で分かっているだけではもったいない! 明日から学校や家で、ぜひこのチャレンジを試してみてください。
- 給食や掃除の分担を決めるとき、自分とは違う意見を出した子の話を、まず最後まで口を挟まずに聞いてみる。
- おうちでお手伝いのやり方について家族から「こうしたほうがいいんじゃない?」と言われたとき、「うざい」と思わずに「なんで?」と理由を聞いてみる。
- 図書室で本を選ぶとき、自分が普段は絶対に読まないジャンルの本を「違う意見」のかわりに開いてみて、最初の1ページを読んでみる。
自分と違う意見に出会ったとき、それはあなたがもっと大きく成長できる大チャンスです。相手の言葉を最後までていねいに受け止めることで、あなたのまわりには自然とたくさんの笑顔と、あたたかい仲間が集まってきます。さあ、明日からの学校生活で、さっそく「ほうほう、そう来たか!」の魔法を使ってみましょう!