宿題は期限よりも早く提出する
「宿題は、しめ切りまでに出せばセーフ!」
あなたも、そんなふうに思っていませんか?たしかに、しめ切りの日の朝、いそいで教室のうしろの提出箱にすべりこませれば、遅れたことにはなりませんよね。セーフかアウトかで言えば、たしかに「セーフ」です。
でも、もしあなたがクラスのみんなから「あの人、なんだかカッコいいな」「すごく信頼できるな」と思われる「感じがいい人」になりたいなら、この考え方を少しだけ変えてみるのがおすすめです。
魔法のルールはとてもシンプル。「宿題は、決められた期限よりも、1日早く出す」。たったこれだけです。これをするだけで、あなたのクラスでの人気と信頼は、びっくりするほど急上昇します。
「えーっ、早く出すなんてめんどくさい!」「ギリギリでも、間に合えば同じじゃないの?」と思ったあなたにこそ、この秘密を知ってほしいのです。実はこれには、人間の行動を研究する「行動学」や、データを使って未来を予想する「統計学」という、大人の学問でも証明されている、すごい秘密がかくされているのです。
なぜ「ギリギリ」はもったいないの?
まずは、いつもギリギリに宿題を出しているときの、あなたの頭と心のなかをのぞいてみましょう。
しめ切りの前日の夜。「あ、明日までの宿題、まだやっていなかった!」と気づいて、あわてて机に向かいます。テレビも見たいし、ゲームもしたいけれど、がまんしてノートをうめます。心の中は「めんどくさいな」「早く終わらせて寝たいな」という気持ちでいっぱいです。焦って書くので、字は少しぐにゃぐにゃになってしまうかもしれません。次の日の朝、学校についてから「ふう、なんとか間に合ったぞ」と、ギリギリで提出箱に入れます。
このとき、あなたは宿題をちゃんと提出しました。でも、あなたの心の中には、どんな気持ちが残っているでしょうか?
「あー、いそがしかった」「つかれたな」という、すこしマイナスな気持ちではないでしょうか。実はこれ、行動学では「しめ切り効果のワナ」と呼ばれています。人間は、期限がせまると焦ってしまい、ふだんなら絶対にしないようなミスをしたり、イライラしてしまったりする生き物なのです。
ギリギリで出す宿題は、あなた自身を疲れさせてしまうだけでなく、せっかくがんばって出したのに、あなた自身の「いい気持ち」につながらないという、とてももったいない状態になってしまうのです。
「早く出す」だけで、先生からの信頼が10倍になる秘密
では、宿題を「1日早く」出すと、どうなるでしょうか?ここに、統計学の面白い考え方があります。
統計学とは、たくさんのデータを集めて「次に何が起こるか」を予想する学問です。クラスの先生の頭の中を、この統計学のコンピューターだと考えてみましょう。
先生は毎日、クラス全員の宿題をチェックしています。そのとき、先生の頭の中には、みんなの「宿題を出すスピード」のデータが、自然とたまっていきます。
- いつもギリギリに出すAさん:「しめ切りを守ってはいるけれど、いつも最後の方だな。本当に大丈夫かな?」と、先生は少しハラハラしながら待っています。
- 期限より1日早く出すあなた:「おっ、もう出したのか!いつも早くて安心できるな」と、先生はうれしくなります。
データがたまると、先生の頭の中には「あなたは、絶対に約束を守る人だ」という強い信頼のグラフができあがります。これが統計学でいう「信頼の積み重ね」です。
この信頼のグラフが一度できあがると、すごいことが起こります。たとえば、どうしても体調が悪くて、めずらしく宿題を忘れてしまった日があるとします。いつもギリギリのAさんが忘れると、先生は「またか、だらしないな」と思ってしまうかもしれません。でも、いつも早く出しているあなたが忘れると、先生は「あれ?いつも早く出すあの人が忘れるなんて、何か特別な理由があったのかな?体調が悪いのかな?」と、あなたのことを心配し、すぐに許してくれる確率がグンと上がるのです。
早く出すだけで、あなたの「信頼貯金」がどんどん貯まっていきます。そして、その貯金は、あなたが困ったときにあなたを助けてくれる強力な味方になるのです。
明日からできる!「スピード提出」の3つの魔法のステップ
「早く出すのがいいことはわかったけれど、それができたら苦労しないよ!」
そう思うのも、あたりまえです。おうちには楽しいことがたくさんありますし、宿題を後回しにしたくなる気持ちは、だれにでもあります。そこで、行動学のルールを使った、がんばらなくても自然と宿題が早く終わる「3つの魔法のステップ」を紹介します。明日から、ゲーム感覚で試してみてくださいね!
ステップ1:もらった瞬間に「1分だけ」手をつける
宿題を早く終わらせるための一番の敵は、「やり始めるまでの、めんどくさい気持ち」です。これを、行動学では「心のブレーキ」と呼びます。このブレーキを外すための魔法が、「1分だけルール」です。
学校で宿題が配られたとき、またはおうちについた瞬間、ランドセルから宿題を出して、最初の1問だけ、あるいは名前を書くだけ、やってみてください。「1分だけやったら、あとは夜までやらなくていい」と自分に約束します。
すると、不思議なことが起こります。1問だけ解くつもりが、「あれ?次の問題もかんたんだな。もう1問だけやっちゃおうかな」という気持ちになってくるのです。これは脳のなかの「やる気スイッチ(作業興奮)」が入った証拠です。車も、走り出すときが一番エネルギーを使います。一度動き出してしまえば、あとはスイスイ進むのです。まずは「1分だけ」触ってみる。これが最強のスタートダッシュです。
ステップ2:提出する「自分だけのしめ切り」を1日前につくる
先生が「金曜日までに出してね」と言ったら、あなたのノートのすみに「しめ切り:木曜日!」と大きく書きましょう。これが、あなたと自分自身との「秘密の約束」です。
人間の脳は、期限が先にあればあるほど、「まだ時間があるから大丈夫」とサボろうとします。これを統計学的には「時間の余裕があるほど、作業を引きのばしてしまう法則」といいます。ですから、はじめから「1日前」を自分のゴールに設定してしまうのです。
木曜日に出せたら、自分に「よっしゃ!大成功!」と心の中でハイタッチしてください。もし、木曜日にどうしても終わらなくても、本当のしめ切りは金曜日ですから、あせる必要はありません。この「1日のゆとり」が、あなたの心に大きな安心感をくれます。いつもニコニコしていて「感じがいい人」は、こういう心のゆとりを自分でつくるのが上手な人なのです。
ステップ3:できたものは、カバンの「特等席」にすぐ入れる
せっかく早く宿題が終わっても、おうちの机の上に忘れてしまっては意味がありませんよね。これも、行動学で解決できます。
宿題が終わったら、1秒も待たずに、ランドセルの「一番手前」や「連絡袋のなか」など、学校についたらすぐに取り出せる「特等席」にしまいます。「あとでまとめて片付けよう」は、忘れ物のもとです。できた瞬間に、カバンに入れるところまでを「宿題」という1つのセットにしてください。
これで、次の日の朝、教室に入ったあなたは、ランドセルを開けてすぐに提出箱へ宿題を入れることができます。クラスのみんなが「あー、宿題やりたくないな」「今からやろうっと」とザワザワしているなか、あなたが朝一番にスッと宿題を出す姿は、まわりの友達の目にも、とてもスマートでカッコよくうつるはずです。
「早く出す人」は、友達からも頼りにされる!
この「期限より早く出す」という習慣は、宿題だけでなく、学校生活のいろいろな場面であなたを助けてくれます。
たとえば、クラスの係活動や、グループ発表の準備をするときを想像してみてください。
班のみんなで「次の音楽の時間までに、歌の練習をしてこようね」と約束したとします。次の音楽の時間、あなたが「ちゃんと練習してきたよ!いつでも歌えるよ」と一番に言えたら、班の友達はどう思うでしょうか?
「おお、すごい!頼りになるな!」「この人と同じグループだと、安心して進められるな」と、みんなあなたを信頼し、あなたの言葉に耳を傾けてくれるようになります。友達関係における「感じのよさ」とは、ただおしゃべりがおもしろいということだけではありません。「この人と一緒にいると、安心できる」という気持ちを相手にプレゼントできる人が、本当に好かれる人なのです。
また、おうちでのお手伝いでも同じです。「お風呂を洗っておいてね」とお母さんやお父さんに頼まれたとき、「あとでやるー」と言って夜ギリギリにやるのと、頼まれてすぐにサッと終わらせるのでは、相手のうれしさは100倍ちがいます。早く終わらせておけば、お母さんも「ありがとう!助かったわ」と笑顔になり、あなたもそのあと、だれにも文句を言われずに堂々とゲームや読書を楽しむことができますよね。
さあ、明日の朝、クラスで魔法を起こそう!
宿題を早く出すことは、決して「先生にほめられたいから、いい子にする」ということではありません。
早く出すことで、あなた自身の心が軽くなり、焦る時間がなくなり、自分の好きなことに使える自由な時間が増える。つまり、「自分自身を大切にするための習慣」なのです。
そして、自分を大切にできている人は、いつも心に余裕があるので、まわりの人にも優しく、感じよく接することができます。だからこそ、クラスのみんなからも自然と好かれるようになるのです。
今日の宿題、まずは「1分だけ」机に広げてみませんか?
明日の朝、教室の提出箱に、だれよりも早くあなたのノートがきれいに置かれているところを想像してみてください。先生の驚く顔、友達からの「もうやったの!?」といううらやましそうな視線。想像するだけで、なんだかワクワクしてきませんか?
あなたなら、絶対にできます。さあ、明日から「スピード提出」の魔法を使って、クラスで一番信頼される、素敵な自分に変身しましょう!