背すじをピッと伸ばすだけで、みんなが君を信じ始める!
授業中、ふと気がつくと、背中がグニャッと丸まって、机にペタッとあごを乗せそうになっていませんか?あるいは、イスの背もたれにドサッと寄りかかって、お尻が前にすべり落ちそうになっていないでしょうか。
「だって、このほうが楽なんだもん」
そう思う気持ち、とてもよく分かります。授業が3時間目、4時間目と進んでいくと、体も疲れてきますよね。でも、ちょっとだけ想像してみてください。もし、目の前にいるお医者さんが、背中を丸めて、ため息をつきながら君の診察をしていたら、どう思うでしょう。「このお医者さん、本当に大丈夫かな……?」と、なんだか不安になってしまいませんか?
実は、学校のクラスでも、これとまったく同じことが起きています。君がどんなに優しくて、おもしろくて、勉強ができる人だったとしても、「座り方ひとつ」で、周りのみんなからの信用を大きく損してしまっているかもしれないのです。
逆に言えば、座る姿勢をピッと正しくするだけで、クラスの友達や先生から「あの人はしっかりしているな」「信頼できるな」と、一瞬で思ってもらえるようになります。今回は、だれでも明日からクラスの「感じがいい人」になれる、姿勢の魔法についてお話しします。
なぜ「姿勢」だけで信頼されるの?(行動学と統計学のヒミツ)
「姿勢を良くしなさい!」と、お家の人や先生から何度も言われたことがあると思います。でも、「どうして良くしなきゃいけないの?」と疑問に思ったことはありませんか?実は、姿勢が人に与える影響については、「行動学(こうどうがく)」と「統計学(とうけいがく)」という、2つの立派な学問で証明されているのです。
まず「行動学」とは、人間の行動やしぐさが、心にどんな影響を与えるかを調べる学問です。行動学の研究では、「人間の心と体は、ぴったりとつながっている」と考えます。心がウキウキしているときは自然と胸が張れますし、逆に心が落ち込んでいるときは背中が丸まりますよね。これは、逆のルートも同じです。つまり、「先に体の姿勢をピッと良くすると、心までシャキッとして、自信がわいてくる」ということが分かっています。君が正しい姿勢で座っていると、心の中に「自信のバリア」が張られ、周りの人にもその自信が「頼もしさ」として伝わるのです。
次に「統計学」です。これは、たくさんのデータを集めて、そこにどんな決まりごとがあるかを調べる学問です。ある統計学的な調査で、何百人もの小学生の「座り方」と「クラスでの印象」を調べたデータがあります。その結果、次のような驚くべきルールが見つかりました。
- 背すじが伸びていて姿勢が良い人は、周りから「話をしっかり聞いてくれそう」「約束を守ってくれそう」と思われる確率が、そうでない人に比べて何倍も高い。
- 姿勢が悪い人は、本人はそんなつもりがなくても、「やる気がなさそう」「怒っているのかな」「話を聞いていなさそう」と、マイナスの印象を勝手に持たれやすい。
つまり、姿勢が悪いだけで、周りの人から「話しかけにくいな」「係の仕事を任せるのは心配だな」と、統計的に損をしてしまうのです。これはとてももったいないことだと思いませんか?
学校生活で大ピンチ!姿勢が悪いと損をする3つの瞬間
では、学校生活の中で、姿勢のせいで大損をしてしまう「3つのピンチの瞬間」を見ていきましょう。君も、こんなシーンに見覚えはありませんか?
① 授業中:先生が「この問題、答えてくれる人?」と言ったとき
先生が黒板の前で質問をして、「だれか発表してくれる人?」とクラスを見渡す瞬間がありますよね。このとき、背中を丸めて机に突っ伏していると、先生からは「やる気がないんだな」「授業に集中していないな」と見えてしまいます。たとえ、頭の中で一生懸命に答えを考えていたとしても、その努力が先生に伝わりません。それどころか、あてられたときに「聞いていませんでした」と言いそうな態度に見えてしまうのです。
② 話し合い活動:自分の意見を言っているとき
国語や社会の授業、または学級会などで、グループのみんなと話し合いをするときです。イスにぐにゃりと座ったまま「私はこう思うよ」と言っても、声がボソボソと下を向いてしまい、説得力がなくなってしまいます。友達からは「本当にそう思っているのかな?」「なんだか自信がなさそうだな」と思われてしまい、せっかくの良いアイデアも、あっさりとスルーされてしまうかもしれません。
③ 友達とのおしゃべり:友達が大切な相談をしてくれたとき
「あのね、実は相談があるんだけど……」と、友達が真剣な顔で話しかけてくれたとき。君がイスの背もたれにドサッと寄りかかり、足をぶらぶらさせながら話を聞いていたら、友達はどう思うでしょうか。「私の話を真面目に聞く気がないんだな」と悲しくなり、それ以上、大切な話をしてくれなくなってしまうでしょう。友達関係にヒビが入る原因は、実は「言葉」ではなく「座る姿勢」にあることも多いのです。
明日からできる!「かっこいい姿勢」を作る3つのステップ
「姿勢を良くしたほうがいいのは分かったけれど、ずっと力を入れているのは疲れちゃうよ」
そう思った人も安心してください。いつでも、どこでも、一瞬で「感じがいい、かっこいい姿勢」になれて、しかも体が疲れにくい魔法の座り方があります。次の3つのステップを、頭の中でイメージしながらやってみましょう!
ステップ1:お尻のほねを、イスに「グサッ」と刺す
まずは、イスに深く座ります。このとき、お尻の下を手で触ってみてください。ゴツゴツとした2つの固い骨がありますよね。これが「坐骨(ざこつ)」という骨です。この2つの骨を、イスの座面に「グサッ」とまっすぐ垂直に突き刺すイメージで座ります。これだけで、骨盤(こつばん)という体の土台がしっかり立ち上がり、背中が丸まるのを防いでくれます。
ステップ2:頭のてっぺんを、風船で「ふわっ」と引っ張られる
次に、自分の頭のてっぺんに、ヘリウムガスの入った風船がついているところを想像してください。その風船が、空に向かって「ふわっ」と頭を引っ張っていきます。首のうしろがすーっと伸びて、自然とあごが引き、背すじがまっすぐになります。無理に胸を張る必要はありません。風船に吊るされているような、軽やかなイメージを持つだけで十分です。
ステップ3:お腹と机のあいだに「グー(握りこぶし)」を1個入れる
最後に、お腹と机の距離です。お腹が机にペタッとくっついていたり、逆に離れすぎていたりすると、姿勢が崩れます。お腹と机のあいだに、自分の握りこぶし(グー)が1個分すっぽり入るくらいのすき間をあけましょう。この距離をキープすると、ノートに文字を書くときも、教科書を読むときも、目と本との距離がちょうど良くなり、目も疲れにくくなります。
この3つのステップを、朝の会が始まるときや、授業のチャイムが鳴った瞬間に、心の中で「お尻をグサッ、頭はふわっ、お腹にグー!」と唱えながらやってみてください。たったの3秒で、クラスで一番「感じがいい人」の姿勢が完成します。
姿勢を整えると、君の心と頭に起こる「うれしい変化」
この姿勢の魔法を続けていると、周りからの印象が良くなるだけでなく、君自身にもたくさんの「うれしい変化」が起こり始めます。
まず、勉強が驚くほど頭に入りやすくなります。背すじが伸びると、肺(はい)が大きく広がって、たくさんの酸素を体に吸い込むことができるようになります。脳にたっぷりと新鮮な酸素が届くため、眠気が吹き飛び、集中力がぐんぐんアップするのです。「授業中、いつも眠くなっちゃうな」という人は、実は頭が疲れているのではなく、姿勢のせいで脳が酸素不足になっていただけかもしれません。
さらに、心がいつも明るく、ポジティブになります。行動学の実験でも、姿勢を良くしている時間は、ストレスを感じにくくなり、嫌なことがあってもすぐに気持ちを切り替えられることが分かっています。イライラしたり、不安になったりしたときこそ、あえて背すじをピッと伸ばしてみましょう。それだけで、不思議と心が落ち着いてきます。
明日、学校に行ったら、まずは1時間目の最初の5分間だけで構いません。「お尻をグサッ、頭はふわっ、お腹にグー!」を試してみてください。先生が黒板の方から振り返ったとき、君のその姿を見て、「おっ、今日の〇〇さんは、なんだかやる気があって素敵だな」と、ハッとするはずです。そして、隣の席の友達も、君の凛とした姿を見て、自然と優しい気持ちで話しかけてくれるようになりますよ。さあ、明日の朝のチャイムが楽しみですね!