約束を忘れないようにメモをする
「あ! しまった……!」
学校から家に帰ってきて、カバンを開けたとき。きみはこんなふうに頭をかかえたことはありませんか?
「今日、図書館の本をかしてあげるって友達と約束したのに、すっかり忘れて本を持ってこなかった……」
「そうじの係をかわってあげるって言ったのに、すっぽかしちゃった……」
約束をやぶってしまったとき、友達の顔がすこし曇ったり、がっかりした目をされたりすると、すごく胸がチクッと痛みますよね。「わざとじゃないのに……」と言いわけしたくなる気持ちも、とってもよく分かります。
でも、安心してください。きみが忘れんぼうだから約束をやぶってしまうわけではありません。人間の頭の中は、思っている以上にたくさんのことを忘れてしまうようにできているのです。
だからこそ、「覚えよう」とするのではなく、「メモをする」という最強のヒミツ道具を手に入れればいいのです。この章では、約束をぜったいに忘れない方法と、それがどうしてすごい効果を生むのかを、いっしょに見ていきましょう。
なぜ、約束をやぶると大すきな友達がへってしまうのか?
ここで少し、むずかしい名前のお話をします。「ゲーム理論(りろん)」という言葉をきいたことはありますか?
大えらそうな学者さんが考えた言葉のように聞こえますが、じつはこれ、「人間がどうやってお互いに得をするか、損をするかを考える科学」のことです。学校の休み時間に、友達とボードゲームやカードゲームをするときを思いだしてみてください。
ゲームで勝つためには、「自分がどう動くか」だけじゃなくて、「相手がどう動くか」を考える必要がありますよね。人生や学校生活も、これとまったく同じなんです。
ゲーム理論の中に、「しっぺ返し戦略(せつりゃく)」という有名な作戦があります。これはどういうことかというと、かんたんに言えばこういうことです。
- 相手が自分にやさしくしてくれたら、自分もやさしくし返す。
- 相手が自分をいじわるしたり、約束をやぶったりしたら、自分も同じようにする。
人間は、心のどこかでこれを計算してしまう生き物です。もしきみが、友達との約束を何度も忘れてやぶってしまったとします。すると、友達の心の中の「しっぺ返し作戦」が発動します。
「あの子と約束しても、どうせまた忘れられちゃうな。もう大事な話はやめおこう」
こうして、だんだんと話す回数がへってしまったり、いっしょに遊べなくなったりしてしまうのです。すごく悲しいことですが、これがゲーム理論が教える「約束をやぶったときの本当のこわさ」です。
逆に言えば、「約束をきっちり守る人」には、みんなが「この人は信用できる!もっと仲良くなりたい!」と、やさしや楽しさを何倍にもしてお返ししたくなるのです。
今日からできる!「ぜったい忘れないメモ術」のやり方
「でも、先生。どれだけ気ををつけていても、うっかり忘れちゃうんだよ!」
そうですよね。人間は、学校で先生の話をきいて、給付のメニューを考えて、テストの心配をして……と、脳みそがパンクしそうなくらい忙しいのです。だから、脳みそだけに頼るのはもうやめましょう。
明日から、次の「神メモ3ステップ」を試してみてください。
- ステップ1:約束したその「1秒後」に書く
「じゃあね、また明日!」と口に出すその瞬間が勝負です。あとで書こうとすると、100%忘れます。ノートのすみにでもいいので、その場で鉛筆を走らせましょう。 - ステップ2:カバンのポケットや手の甲など、「絶対に見る場所」をきめる
せっかくメモをしても、筆箱の奥底にしまってしまったら意味がありません。連絡帳の1ページ目でもいいですし、手の甲に小さく「ほん」と書くのもアリです(帰ったら消しましょうね)。自分の目と強制的にぶつかる場所に書くのがコツです。 - ステップ3:帰りの会の前に、必ずメモをチェックするタイムを作る
ランドセルに教科書をしまう前、1分だけ今日メモしたことを見直します。「あ、そうだ!〇〇さんに消しゴムを返すんだった!」と思い出せたら、その日のあなたの勝ちです!
メモをすることは、自分と友達の「未来の笑顔」を守ること
「メモをするの、ちょっとめんどくさいな……」って思った人もいるかもしれません。
たしかに、たった一言メモを書くのは、少しの手間がかかります。でも、その小さなひと手間で、どれだけのステキなことが起きるか想像してみてください。
約束の日、きみが笑顔で「はい、これ貸したかった本だよ!」と差し出したとき。友達はどんな顔をするでしょうか?
「えっ、覚えててくれたの!?ありがとう!」と、ぱっと花が咲いたような笑顔になるはずです。その瞬間、あなたと友達の絆は、昨日よりもぐっと強くなります。ゲーム理論の世界でいうと、お互いが「大成功(WIN-WIN)」の状態になれる最高の結末です。
約束を忘れないようにメモをすることは、ただの忘れんぼう対策ではありません。それは、「あなたのことを大切に思っていますよ」というサインを形にする、やさしさの魔法なのです。
さあ、明日学校に行ったら、まずはノートの新しいページを開いて、すてきな約束を書き込む準備をしておきましょう。きみのまわりに、もっとたくさんの笑顔と「神コミュニケーション」があふれますように!