相手の意見を否定する前に自分の考えを伝える

📖 『クラスのみんなと仲良く過ごすための「敵をつくらない」10の魔法』
ー 第3章:否定しない「魔法の言葉」選び ー
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相手の意見を否定する前に自分の考えを伝える
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相手の意見を否定する前に自分の考えを伝える

クラスの話し合いや、休み時間のあそび決め。「わたしはこう思うのに、みんなと意見がちがうな……」ということ、よくありますよね。

そんなとき、ついこんな風に言ってしまったことはありませんか?

「えー、それはちがうと思う!」
「ダメダメ、そんなのうまくいくわけないよ!」

もし、あなたが一生懸命かんがえた意見に対して、友達から間髪入れずに「ちがうよ!」と言われたら、どんな気持ちがするでしょう。きっと、胸がキュッとなって、ちょっと悲しかったり、イラッとしたりするはずです。そして、「なんだよ、せっかく言ったのに……」と、相手に対して心を閉ざしてしまうかもしれません。

じつは、自分の意見を通そうとして「ちがう!」と相手を否定してしまうことこそが、クラスで「敵(てき)」をつくってしまう一番の理由なのです。

でも、安心してください。自分の思いをガマンして周りに合わせる必要はありません。相手の意見を否定せずに、自分のやりたいことや考えをしっかり伝えて、しかも相手とさらになかよくなれちゃう「魔法の言葉選び」があるのです!

なぜ「ちがう!」と言うと敵ができちゃうの?(言葉のウラにある魔法の科学)

ここで、少しだけ大人な「言葉の科学」のお話をしましょう。

大学などで研究されている「語用論(ごようろん)」という学問があります。これは、「言葉そのものの意味だけでなく、話している場面や相手との関係によって、伝わりかたが変わる」ということを考える、言葉の魔法のような研究です。

たとえば、真夏のアツアツの教室で、友達が「ふぅ、今日すごく暑いね……」と言ったとします。この言葉の辞書どおりの意味は「気温が高い」ですが、友達が本当に伝えたいウラの気持ちは「まどを開けてほしいな」とか「クーラーの風、こっちに向けてほしいな」だったりしますよね。これが「語用論」の考えかたです。

これを「反対の意見を言うとき」にあてはめてみましょう。

あなたが辞書どおりの意味で「(その考えはわたしと)ちがうよ」と言ったつもりでも、言われた相手の心には、ウラの意味として「あなたの考えはヘンだ」「あなたのことがキライだ」という強いトゲとなって届いてしまうのです。

人間には誰にでも「自分の存在や考えを認めてほしい!」という大切な気持ち(専門用語で「顔=面目」といいます)があります。「ちがう!」という言葉は、相手のこの大切な気持ちをペシャンコにつぶしてしまうのです。

だからこそ、相手の意見を否定せずに、自分の考えを重ねて伝えるテクニックが必要になります。

魔法の言いかえステップ:バツ(×)をプラス(+)に変えよう!

相手の意見を聞いたとき、頭の中に「でも……」「ちがうな……」と浮かんだら、次の3つのステップで言葉を組み立ててみましょう。

  • ステップ1:【まずは受けとめる】「いいね!」「なるほど!」と、一度相手の意見をそのままキャッチする。
  • ステップ2:【気持ちのクッションを挟む】「たしかにそれも楽しそうだね」「その視点は気づかなかったよ」と相手を認める。
  • ステップ3:【自分の考えを重ねる】「プラスして、こういうのはどうかな?」「もしよかったら、これも試してみない?」と提案する。

相手を「バツ(×)」で打ち消すのではなく、相手の意見の上に自分の意見を「プラス(+)」でそっと重ねるイメージです。これだけで、友達は「自分の意見を聞いてもらえた!」と満足し、あなたの提案にも「それもいいね!」と笑顔で耳を傾けてくれるようになります。

【場面別】明日学校でつかえる!魔法の言いかえ具体例

それでは、学校や家でよくあるシーンを使って、どのように言葉を変えればいいのかを練習してみましょう!

場面1:お楽しみ会の計画(係活動やクラス会議)

お楽しみ会の話し合いで、友達のたかし君が言いました。
たかし君:「絶対にグラウンドでドッジボールがいい!」
でも、あなたは今日、運動するのが苦手な子もみんなで楽しめる「室内クイズ大会」がしたいと思っています。

  • × 敵をつくる言いかえ:「えー、ドッジボールは運動が苦手な人が困るからダメだよ。クイズ大会にしようよ!」
  • ○ 魔法の言いかえ:「ドッジボール!みんなで体を動かしたらすごく盛り上がりそうだね!(ステップ1・2)
    もしよかったらなんだけど、今回は運動が苦手な人も一緒に楽しめるクイズ大会にして、次の体育のあとの休み時間にみんなでドッジボールをするのはどうかな?(ステップ3)

【ここがポイント!】
たかし君の「ドッジボールは楽しい」という気持ちを否定していません。「ドッジボールもいいよね」と一度受けとめることで、たかし君はあなたを「味方だ」と感じます。その上で「クイズ大会」を提案しているので、たかし君も「じゃあ今回はクイズでもいいか!」と納得しやすくなるのです。

場面2:休み時間の遊び決め(友達関係)

休み時間に、友達のハナちゃんが言いました。
ハナちゃん:「ねえ、今日もブランコで遊ぼうよ!」
でも、あなたは昨日に続いて今日もブランコだったので、たまには鬼ごっこで思い切り走り回りたい気分です。

  • × 敵をつくる言いかえ:「ブランコなんて昨日もやったじゃん。つまらないから鬼ごっこにしよ!」
  • ○ 魔法の言いかえ:「ブランコ、風を切って気持ちいいよね!ハナちゃんと乗るのすきだよ。(ステップ1・2)
    今日はちょっと寒くて体が冷えそうだから、みんなで走って温まれる鬼ごっこにするのはどう?ブランコは一番最後にちょっとだけ乗らない?(ステップ3)

【ここがポイント!】
「昨日もやったからつまらない」と言ってしまうと、ハナちゃんは「自分の好きな遊びを馬鹿にされた」と感じて悲しくなります。「ハナちゃんと遊ぶのがすき」という気持ちを添えてから鬼ごっこを提案すると、ハナちゃんは安心して「いいね、走ろう!」と言ってくれます。

場面3:家でのお手伝い(家族とのコミュニケーション)

家であなたが漫画を読んでいるとき、お母さん(お父さん)が言いました。
お母さん:「ちょっと、お夕飯の前にお部屋のそうじをしちゃいなさい!」
でも、あなたは今、漫画が一番いいところなのであと10分だけ読みたいと思っています。

  • × 敵をつくる言いかえ:「いま良いところなんだから後にしてよ!うざいなあ!」
  • ○ 魔法の言いかえ:「お部屋のそうじだね!教えてくれてありがとう。(ステップ1・2)
    今読んでいるページがもうすぐキリがいいから、あと10分だけ読んだら、バッチリぴかぴかにそうじしてもいい?(ステップ3)

【ここがポイント!】
お手伝いそのものを「いやだ!」と拒絶するのではなく、「やる気はあるよ」という気持ち(YES)を先に見せることがコツです。お母さんも「10分後にはちゃんとやってくれるんだな」と安心するので、怒られずにすみます。

自分の意見をしっかり伝えるための「魔法のクッションフレーズ」

自分の考えを言う前に、ポーンと挟むだけでトゲをなくしてくれる「魔法のクッションフレーズ」を覚えておきましょう。ノートや連絡帳のすみにメモしておくと便利ですよ!

  • 「たしかに!〜という考え方もあるね」(相手の賢さをほめる魔法)
  • 「〇〇さんの言うこともすごく分かる!そのうえでね……」(味方であることを伝える魔法)
  • 「もしよかったら、なんだけど……」(押しつけにならない優しい魔法)
  • 「〜というやり方も、もしかしたら面白いかもしれないよ!」(ワクワク感をプラスする魔法)

これらの言葉を最初に少しつけるだけで、あなたの意見は「反対の意見」から「みんなを助けるアイデア」へと変身します。

「ちがう意見」は宝もの!みんなで作るクラスの未来

そもそも、クラスのみんなの意見がちがうのは、とても素晴らしくて、当たり前のことです。みんなが同じ考えしか持っていなかったら、学級会もお楽しみ会も、ちっとも面白くありません。

「ちがう意見」が出たときは、敵と味方に分かれて戦う合図ではありません。「新しいアイデアを一緒に組み立てるパズルの時間」なのです。

誰かが意見を言ったら、まずは笑顔で大きく「うんうん」とうなずいてみましょう。
そして、相手の考えをしっかり受けとめてから、あなたの素敵なアイデアを優しく重ねてみてください。

「この人と話すと、自分の意見も大切にしてくれるし、面白いアイデアがどんどん出てくるな!」
クラスの友達がそう感じたとき、あなたは誰からも信頼され、頼りにされる「敵をつくらない魔法使い」になっているはずです。

さあ、明日の朝、学校についたら、まずは友達の言葉に「いいね!」「なるほど!」と笑顔で言ってみることから始めてみましょう!

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