相手が話しているときは口をはさまない
学校で、友達とおしゃべりをしているときのことを思い出してみてください。あなたが「昨日、すっごくおもしろいテレビを見たんだ!」と話し始めたとき、友達が「あ、それ知ってる! あの人がこうなって、こうでしょ?」と、あなたの話を途中で奪ってしまうことはありませんか?
そのとき、あなたはどんな気持ちになりますか? 「あーあ、最後まで言いたかったのに……」と、ちょっとだけ残念な気持ちや、モヤモヤした気持ちになりませんか?
逆に、あなたが話し終わるまで、友達が目をキラキラさせて「うんうん、それでどうなったの?」と聞いてくれたら、すごくうれしい気持ちになりますよね。「この子とお話しすると、なんだか楽しいな」「もっといろんなことを話したいな」と思うはずです。
人に好かれるための大きな秘密、それは「相手が話しているときは、絶対に口をはさまないこと」です。実はこれ、心理学の大きなお墨付きがある、とっても強力なコミュニケーションの魔法なんですよ。
心理学でわかる! 人は「自分の話を聞いてほしい」生き物
アメリカの有名な心理学者に、カール・ロジャーズという人がいます。この人は、「人間の心は、自分の話をぜんぶ受け止めてもらうと、すごく元気になって、安心する」ということを発見しました。
心理学では、これを「傾聴(けいちょう)」と呼びます。むずかしい言葉に聞こえるかもしれませんが、かんたんに言うと「相手の心に寄りそって、耳を傾けること」です。
人間はだれでも、「自分のことをわかってほしい」「自分の話を聞いてほしい」という気持ちを心の中に強く持っています。クラスの人気の中心にいる子や、みんなから「話しやすいな」と好かれている子は、この心理を本能で知っています。
だからこそ、自分が話すよりも先に、まずは相手の話を「どうぞ最後までお話しください」という気持ちで、しっかり聞いてあげるのです。
やりがち注意! 相手の話をジャマしてしまう3つのパターン
「よし、明日から最後まで話を聞こう!」と思っても、うっかりやってしまいがちな「口をはさむクセ」があります。自分がこれをしていないか、チェックしてみましょう。
- 「それ知ってる!」と話を横取りするパターン
友達が何かを話し始めた瞬間、「あ、それ知ってる! ○○ちゃんでしょ?」と、答えを先に言ってしまうクセです。教えてあげたい気持ちや、「自分も知ってるよ!」とアピールしたい気持ちはわかりますが、これでは友達の「自分で言いたかった!」というワクワクを奪ってしまいます。 - 「ぼく(わたし)だったらさ〜」と自分の話に変えるパターン
友達が「昨日、犬に追いかけられてこわかったんだ」と言ったのに、「あ、そういえば私なんてさ、この前テーマパークでさ……」と、自分の話にバトンタッチしてしまうパターンです。これだと、友達は「私の話、聞いてくれてないんだな」とさみしくなってしまいます。 - 「それはこうだよ」とすぐにアドバイスするパターン
係の仕事で困っている友達が「どうしようかなあ」とつぶやいたとき、まだ話の途中なのに「こうしたほうがいいよ!」と答えを急いで言ってしまうパターンです。友達はただ、今の気持ちを聞いてほしかっただけかもしれないのです。
明日からできる! 「最後まで聞く」3つのステップ
では、どうすれば相手が話しているときに、口をはさまずに最後まで聞けるようになるのでしょうか? 学校生活ですぐに使える、3つのステップを紹介します。
ステップ1:心の中で「3秒カウント」の魔法
友達が話し終わったあと、すぐに自分の話しを始めていませんか? 心理学では、相手が話し終えてから「3秒」待つことで、相手は「自分の話をしっかり受け止めてもらえた」と感じるというデータがあります。
相手が「〜なんだよね」と言い終わったら、心の中で「1、2、3」と数えてみましょう。この3秒の間に、相手は「まだ何か付け足したいことはないかな?」と考えることもできます。この「3秒の沈黙」を作れる人は、まわりから見てすごく大人っぽくて、包容力があるように見えるのです。
ステップ2:うなずきと「オウム返し」で相づちを打つ
口をはさまないと言っても、ロボットのようにだまって聞いていればいいわけではありません。それでは「本当に聞いてるのかな?」と不安になってしまいますよね。
ここで使えるのが、「うなずき」と「オウム返し」です。
- うなずき:首を縦に「うん、うん」と大きく2回、動かします。これだけで「あなたの話をちゃんと聞いていますよ」というサインになります。
- オウム返し:友達が「昨日、新しい消しゴムを買ったんだ!」と言ったら、「新しい消しゴムを買ったんだね!」と、相手の言葉をそのまま繰り返します。
オウム返しをされると、人は「この人は自分の言葉をしっかり受け止めてくれた!」と感動します。口をはさむのではなく、相手の言葉を「鏡のように映し返す」イメージですね。
ステップ3:どうしても話したくなったら「メモ」をとる
友達の話を聞いているうちに、「あ、それに対して私も言いたいことがある!」「私も同じところに行った!」と、頭がいっぱいになってしまうことってありますよね。その強い気持ちをおさえるのは、なかなかむずかしいものです。
そんなときは、ノートや自分の手のひらに、言いたいことを一言だけ「メモ」してみましょう(授業中ならノートの端に小さく書くのがおすすめです)。「あとでこれを言おう」と頭の中で決めておくだけで、不思議と安心して、目の前の友達の話に集中できるようになります。
そして、友達が話し終わったあとに、こう言ってみてください。
「いまのお話聞いてて思ったんだけどさ……」
このセリフを言われて嫌な気持ちになる人は、世界中どこを探してもいません。むしろ、「自分の話をそんなに熱心に聞いて、考えてくれたんだ!」と、あなたのことがもっと大好きになるはずです。
まとめのワーク:今日の「聞き上手」大作戦
今日、学校や家でだれかと話すとき、一つの「実験」をしてみましょう。
それは、「相手が話し終わるまで、絶対に言葉をかぶせない」ということです。お母さんが今日のごはんの話をしているときも、友達が今日のテストの愚痴を言っているときも、ただただ、うなずきながら最後まで聞いてみてください。
きっと、相手の表情がパッと明るくなったり、いつもよりもっと楽しくおしゃべりが弾んだりするのを感じられるはずです。人の話を最後まで聞くことは、相手に「あなたは大切な人だよ」と伝える、世界で一番やさしい魔法の言葉なのです。