貸し借りの約束は時間を守って行う
学校で、こんなことってありませんか?
「ねえ、このマンガ、次の水曜日にかして!」
「うん、いいよ。水曜日のそうじの時間ね」
友達とのマンガや消しゴム、ノートの貸し借り。ワクワクして楽しみですよね。でも、もしあなたが約束した水曜日のそうじの時間をわすれてしまったり、「あ、今日持ってきちゃったけど、かばんに入れ忘れた!」なんて言ってしまったら……。
友達は、心のどこかで「あれ? 約束したのに……」と、ちょっとだけさみしい気持ちや、もやもやした気持ちになってしまいます。もしかすると、次に何かを貸すのをためらってしまうかもしれません。
実は、たった「時間を守る」というだけのことが、お友達とずっと仲良くできるかどうかの、とっても大きな分かれ道なんです。
今日は、なぜ時間を守ることがそんなに大切なのか、そして、どうすれば絶対に約束を破らずにいられるのかという「秘密のルール」を、とっておきの科学のお話と一緒にひも解いていきましょう。
時間を守るとなぜ「好かれる子」になれるの?
学校生活を思い浮かべてみてください。あなたの周りに「この人との約束なら安心だな」「いつも時間をきっちり守ってくれるから信頼できるな」と思えるお友達はいませんか?
そういう子は、クラスのみんなから自然と「かっこいいな」「信頼できるな」と一目置かれているはずです。なぜなら、「時間を守る」ということは、「あなたの時間を大切に思っていますよ」というメッセージを体で表しているからなんです。
信頼は「小さな約束」の積み重ねでできている
大きな約束なんて、小学生のうちはめったにありません。「将来、同じ会社で働こうね」なんて約束はまだ先のことです。私たちが毎日している約束は、次のようなとっても小さなものです。
- 「明日、図書室の本を返すね」
- 「消しゴム、今日の帰りの会までに返すね」
- 「校庭のすべり台のところで、15分に待ち合わせね」
こうした小さな約束を、ちゃんと言われた時間通りに守る。これができると、お友達はあなたのことを「この子はウソをつかない」「約束をちゃんとする優しい人だ」と心から信じるようになります。この「信頼」こそが、だれとでも仲良くなれる一番の魔法なのです。
ゲーム理論でわかる!「約束を守る」が最強の得をする理由
ここで、少しだけ大人っぽいお話をしましょう。大学などで勉強する「ゲーム理論(げーむりろん)」という、人と人のかけひきを研究する学問があります。
ゲーム理論の中に、「囚人のジレンマ(しゅうじんのジれんま)」という有名な考え方があります。少しむずかしく聞こえるかもしれませんが、小学生のみんなにもバッチリ分かるように言いかえますね。
ここに、あなたとA君というお友達がいます。2人は、ある秘密のゲームをしています。ルールはかんたん。「お互いに相手を信じるか、それとも裏切るか」です。
- 2人とも相手を信じて約束を守ったとき: 2人とも最高にハッピーな気持ちになり、もっと仲良しになれます(得点:大吉!)
- 自分が約束を破って、相手をがっかりさせたとき: 自分はちょっと得をした(マンガを長く読めたなど)気がするかもしれないけれど、相手は怒ります(得点:自分だけ少し得、相手は大損)
- 2人とも約束を守らなかったとき: お互いに「あいつは信用できない」と思い合い、二度と貸し借りをしなくなります(得点:大凶!)
ゲーム理論が教えてくれる一番大切な結論は、「お互いに信じ合って約束を守り続けることが、長い目で見て自分にとっても一番得をする(幸せになれる)」ということです。
もしあなたが、「まあいっか、返却の時間が遅れても死なないし」と、軽い気持ちで約束の時間を破ってしまったとします。それは、ゲーム理論でいう「相手を裏切る」という行動になってしまいます。
最初は「いいよ、気にしないで」と言ってくれる優しい友達でも、それが何回も続くと、「この人にお願いすると、いつも嫌な気持ちになるな」と学習してしまいます。その結果、そのお友達はあなたに大切なものを貸してくれなくなるだけでなく、いっしょに遊ぶことも減ってしまうのです。
「時間を守る」という行動は、じつは自分が損をしないため、そしてずっと大好きな友達と一緒に楽しく過ごすための、最高の作戦(ゲームの勝ち方)なのです。
明日からできる!「時間を絶対忘れない」3つの魔法
「時間を守るのが大切なのはわかったけど、うっかり忘れちゃうんだよなぁ……」
そんな声が聞こえてきそうですね。
大丈夫です! 人間は、大事なことでもうっかり忘れてしまう生き物です。だからこそ、「忘れちゃいけない」と気合いを入れるのではなく、「忘れられない仕組み」を自分のまわりに作ってしまえばいいのです。
明日からすぐに学校で試せる、3つの魔法を紹介します。
1. 自分の手のひらに「時・日」をめもする魔法
ものすごくかんたんだけど、ものすごい効果がある方法です。それは、友達から何かを借りたその瞬間に、連絡帳や、あるいは自分の手のひら(手の甲でもOK!)に、こう書くことです。
「もくようび かえす!」
スマホや時計を持たない小学生にとって、自分の目に入る「文字」は最強の目覚まし時計です。手のひらに書いておけば、手を洗うときにいやでも目に入ります。「あ、そういえば返すんだった!」と思い出せるので、返し忘れることが絶対になくなります。
2. ランドセルの「一番目立つ場所」を定位置にする魔法
借りた本や、お友達に返すものを、ランドセルの奥のほうにしまい込んでいませんか? 奥に入れてしまうと、帰るころにはすっかり忘れて、家にかえってから「あ!」と思い出すことになります。
そうならないために、借りたものは「ランドセルの開けたら一番最初に見える場所(一番上のポケットなど)」に入れるというルールを自分で作りましょう。
学校に着いてランドセルを開けたとき、真っ先にそれが目に入れば、「今日もちゃんと持ってきたよ!」と自分に言い聞かせることができます。
3. 返す時間を「イベント」にしちゃう魔法
ただ「返す」だけだと、ついめんどくさくなって後回しにしてしまいがちです。だからこそ、返す時間を楽しいイベントにしてしまいましょう!
「今日の給食のあと、黒板の前で『はい、ミッション完了!』って言って返そう!」
「そうじが始まったら、一番に走って行って『ありがとう! 面白かったよ!』って渡そう!」
このように、時間を守るだけでなく、「どうやって楽しく返すか」をセットで考えるのです。そうすると、時間を守ることが義務ではなく、ワクワクする楽しいイベントに大変身します。
今日から「信頼される人」になろう
約束の時間に遅れないこと。借りたものを約束通りに返すこと。
それは、ただの「きまり」ではありません。
「あなたのことを大切に思っていますよ」
「これからもずっと、仲良くしてね」
そんな、言葉には出さない温かい気持ちを、相手に伝えるための最高のプレゼントなんです。
ゲーム理論の考え方を思い出してくださいね。あなたが時間を守り、お友達を大切にすれば、お友達もあなたのことを大切にしてくれます。その小さな「信頼のキャッチボール」が、あなたをクラスの人気者で、だれからも愛される「好かれる子」に育ててくれます。
さあ、今日の放課後、そして明日の学校生活から、さっそく「時間を守る魔法」を使ってみませんか?
きっと、お友達のあなたを見る目が、昨日よりももっと優しく、もっとステキな笑顔に変わっているはずですよ。