重い荷物を持っている人を開ける
「ねえ、聞いてよ!」
学校から帰るなり、ランドセルをポーンと放り出して、君はソファーに倒れこみます。今日の学校はなんだか疲れたなあ、そう思いながらぼんやり天井を見上げているところです。
ふと、こんな場面を思い出してみてください。
給食の時間、牛乳のケースや、スープの大鍋を運ぶ当番の友達が、よろよろと歩いていました。「うう、重いよ〜」と顔を真っ赤にしています。君は自分の席で、ストローの袋を開けながら、その様子をなんとなく見ていました。
「手伝おうか?」
そう声をかけて、サッと手を貸してあげられたらカッコいいけれど、「めんどくさいな」「私、関係ないし」と思って、見ないふりをしてしまったことはありませんか?
もし、あのとき「手伝うよ!」と言えていたら、友達はどんな顔をしたでしょう。きっと、「助かったよ!ありがとう!」と、パッと花が咲いたような笑顔になったはずです。そして、その笑顔を見た君の胸の中も、ポカポカとあたたかい気持ちでいっぱいになったに違いありません。
今回は、学校生活の中で「困っている人を助ける」こと、とくに「重い荷物を持っている人を助ける」というアクションが、どうして周りの人との絆を強くするのか、そして君をクラスの人気者にするのかについてお話しします。
「見ないふり」をしてしまう本当メンタル
重い荷物を持っている人を見かけても、なぜか体が動かない。声をかけたいのに、足がすくんでしまう。
これって、君が冷たい人間だからではありません。人間には、たくさんの人がいる前だと「誰かがやるだろう」「自分がやらなくてもいいか」と思ってしまう、ちょっぴり不思議なクセがあるのです。
組織社会学という、人間が集まって作る集団の仕組みを研究する学問があります。この学問では、「人が集まれば集まるほど、一人ひとりの責任感が薄れてしまう」という現象を教えてくれます。
たとえば、クラス全員で使うほうきやちりとりが、廊下の隅でバラバラに散らばっているとします。「あとで誰かが片付けるだろう」と思って、みんな通り過ぎてしまいますよね。あれと同じです。
でもね、周りの人がどうしていようと、「あ、困っているな」「荷物が重そうだな」と気づいたその瞬間に、パッと動ける人は、みんなの中で「特別な存在」になります。組織社会学の言葉では、これを「自発的なリーダーシップ」と呼びます。
誰かに言われてイヤイヤ動くのではなく、自分の目で見て、自分で考えて、自分の足で一歩を踏み出すこと。これができる人は、クラスの中で圧倒的な信頼を集めるのです。
明日からできる!「荷物オープン」の3つのステップ
では、具体的にどうすればいいのでしょうか。「重い荷物を持っている人を助ける」といっても、ただ「持ってあげる」だけではありません。相手が「助かった!」と思わず笑顔になる、秘密のステップを教えます。
ステップ1:3メートル手前から「目」を合わせる
図工の時間、大きな画用紙や粘土のセットを両手いっぱいに抱えて、廊下を歩いてくる友達がいます。そのとき、まずは3メートル手前で目が合うようにしましょう。
- 遠くからじっと見つめるのは、ちょっとこわがらせちゃうので注意です。
- 「あ、大変そうだな」と気づいたよ、という合図をアイコンタクト(目と目を合わせること)で送ります。
- これだけで、相手は「あ、この人、私を見てくれている!」と安心します。
ステップ2:「半分こ」の魔法の言葉をかける
近づいていったら、すれ違う瞬間に声をかけます。ここで大切なのは、荷物を全部奪い取るのではなく、「一部を分ける」ことです。
- 「上半分、持つよ!」
- 「それ重そうだね、こっちの袋持つよ!」
- 「一緒にはこぼうか!」
全部を持ってあげると、相手は「申し訳ないな」と感じてしまうことがあります。でも「半分こ」にしたり、ちょっとだけ手伝ったりすると、お互いに気まずくならず、楽しく運べます。これが組織社会学でいう「助け合いのバランス」のコツです。
ステップ3:笑顔で「バイバイ」と離れる
目的地まで荷物を運んだら、相手が「ありがとう!」と言ってくれます。そのときの返事がとっても大事。
- 「ううん、どういたしまして!」と、とびきりの笑顔を返します。
- いつまでもベタベタついていかず、サッと自分の席や教室に戻ります。
- この「サッとさわやかに去る姿」が、ものすごくカッコいいのです。
おうちでもやってみよう!家族への「プチお手伝い」
学校でできるようになったら、次は「おうち」で練習してみましょう。家の中こそ、みんなが気づかない「重い荷物」がたくさん転がっています。
- お母さんがスーパーの買い出しから帰ってきて、両手にレジ袋をぶら下げているとき:「玄関まで、その袋一つ持つね!」と声をかけてみる。
- お父さんが重い段ボールをリビングに運んでいるとき:「どこに置けばいい?」と聞いてみる。
- お兄ちゃんや妹が、学校の教科書や道具箱をたくさん持って移動しているとき:「手伝おうか?」と声をかけてみる。
家族という小さなチームの中で、重い荷物を助け合う練習をしていると、学校でも自然と体が動くようになります。不思議なことに、家でお手伝いをした日は、自分自身の気分もすごくすっきりして、宿題もいつもより早く終わったりするのです。
人に好かれる人は、「気づく人」ではなく「動く人」
世の中には、「優しい人」がたくさんいます。「あ、あの人困っているな」と心の中で思う人は、クラスの全員、いや、日本中にたくさんいるでしょう。
でも、心の中で思うだけでは、相手には伝わりません。「優しい人」で終わるのか、「だれからも好かれる神コミュニケーションができる人」になるのか。その違いは、「知っていること」を「実際の行動にするかどうか」のたった一歩だけです。
重い荷物を持っている人を見かけたら、心の中で「大変そうだな」と思うだけで終わりにしないでください。
「手伝おうか?」の一言を勇気を出して言ってみてください。
その一歩は、最初はちょっぴりドキドキするかもしれません。声をかけて無視されたらどうしよう、なんて不安になるかもしれません。でも、心配いりません。君が差し出したその手は、100%相手の心に届きます。
明日、学校の廊下や教室で、誰かが荷物を持ってよろよろしていたら……。チャンス到来です!
ニコッと笑って、「持つよ!」と言葉の扉を開けてみましょう。その瞬間から、君のまわりにいる人たちは、もっと君のことが大好きになりますよ。