順番を待つ時は穏やかな顔でいる
給食の配膳のとき、図書室で借りたい本が重なったとき、そして体育館への移動の整列。学校生活は「順番を待つ時間」でいっぱいです。みなさんは、給食の列に並んでいるとき、どんな顔をしていますか?
「まだかな、お腹すいたな……」
「前の人、歩くの遅いなあ。早くしてよ」
そんなふうに、イライラした顔をしたり、大きなため息をついたりしていませんか? 実は、その「待っているときの顔」一つで、まわりの人からのあなたへの印象はガラリと変わってしまうのです。
イライラは周りにうつる? 行動経済学のふしぎな実験
ここで、「行動経済学(こうどうけいざいがく)」という、ちょっとかっこいい学問の話をします。行動経済学とは、「人間の心や行動のクセを研究する学問」です。
この行動経済学の中に、人間はまわりの人の態度や表情を無意識のうちにまねしてしまう、という面白い研究があります。これを心理学の言葉で「情動の伝染(じょうどうのでんせん)」と呼びます。
例えば、クラスの友だちが大きなあくびをすると、自分もうつってあくびをしたこと、ありませんか? あれと同じです。人間の脳には、「ミラーニューロン」という、鏡のように相手の表情や気持ちを自分のことのように映し出す仕組みが備わっています。
つまり、あなたが順番を待つときに、
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不機嫌な顔をしていると、そのイライラが前後の人や、並んでいるクラスメイトにどんどんうつってしまうのです。
逆に、あなたが穏やかな顔で落ち着いて待っていると、その安心感もまわりにしっかり伝わっていきます。
「たかが並んでいるときの顔でしょ?」と思うかもしれませんが、まわりの人はあなたが思っている以上に、あなたの横顔や後ろ姿をよく見ています。イライラしている人は「近づきにくいな」と思われてしまいますが、穏やかに待てる人は「大人っぽくて素敵だな」「余裕があってかっこいいな」と自然に好感度が上がるのです。
明日からできる!「穏やかな顔」を作る3つのステップ
では、どうすればイライラせずに、穏やかな顔で順番を待つことができるのでしょうか? 学校生活ですぐに使える具体的なコツを3つ紹介します。
1. 「口の力を抜いて、少しだけ口角(こうかく)を上げる」
人は、イライラしたり退屈したりすると、無意識に歯をくいしばったり、口をへの字に曲げたりしてしまいます。これが「不機嫌な顔」の正体です。
まずは、列に並んだ瞬間に、
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あごの力をフッと抜く
口を軽く閉じて、口の端(口角)をほんの1ミリだけ上に向けるイメージを持つ
これだけで、あなたの顔は「怒っている顔」から「優しいおだやかな顔」に変身します。鏡を見なくても、自分の力でいつでも作ることができますよ。
2. 「順番待ちを『脳内クエスト』の時間にする」
行列や順番待ちがイライラする最大の理由は、「退屈だから」です。ただ時間が過ぎるのを待っていると、どうしても「まだかな……」と不満がたまります。
そこで、待ち時間を「自分だけの小さなクエスト(冒険・ミッション)」に変えてしまいましょう。
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今日の給食のメニューの漢字を、頭の中で全部思い出してみる
窓の外の空を見上げて、今どんな形の雲があるか観察してみる
「前の人の背筋がすごくまっすぐだな、見習おう」と、いいところを見つけるゲームをする
このように頭の中で別のことを考えると、イライラする暇がなくなります。結果として、顔の表情も自然とリラックスした穏やかなものになります。
3. 「譲る気持ち」を心の中にスタンバイさせる
集団生活では、自分の前後にいる人へのちょっとした配慮が、おだやかな空気を作ります。
例えば、音楽室移動のときに後ろの人が急いで小走りしてきたら、ふっと振り返って「どうぞ」とアイコンタクトを送ってみる。あるいは、図書室で「あ、この本、先どうぞ」と笑顔で譲ってみる。
「いつでも先にどうぞ」というゆとりを持つと、不思議と自分の心にも余裕が生まれます。その余裕が、自然とあなたの表情を穏やかに整えてくれるのです。
「穏やかな待つ姿」が、クラスの空気を変える
クラス全体がザワザワしていたり、みんなが「早くしてよ!」とイライラしていたりする空気のとき、一人ひとりが自分のことだけで頭がいっぱいになっています。
そんなとき、あなたが一人だけ、スーッと息を吸って、穏やかな顔で静かに順番を待っていたとします。行動経済学の「情動の伝染」のルールに従えば、あなたのその落ち着いた雰囲気が、近くにいる友だちに必ず伝わります。
「なんか、この人と並んでいると落ち着くな」
そう思ってもらえる人は、クラスの中でなくてはならない存在になります。派手なことをしなくても、みんなを安心させることができるのです。
明日、学校で並ぶ場面があったら、ぜひ思い出してください。
「あ、いま私、どんな顔をしているかな?」
そして、口の力を抜いて、ちょっとだけ穏やかな顔を作ってみてください。その小さな魔法が、あなたをクラスで一番信頼される、すてきな「感じがいい人」にしてくれますよ。