小さなことでも「ありがとう」と言う
給食当番のとき、友達が重い牛乳のケースをいっしょに持ってくれた。「ノートを配るのを手伝ってくれて助かったよ」と、隣の席の子が消しゴムを拾ってくれた。そんなとき、みなさんはどんな言葉を返していますか?
「うん」「いいよ」「どういたしまして」……いろいろあるかもしれません。でも、ここで一番大切な魔法の言葉を思い出してみましょう。そう、「ありがとう」です。
「そんなの、あたりまえに言っているよ」と思った人もいるかもしれませんね。でも、本当に「小さなこと」まで見逃さずに「ありがとう」を伝えられているでしょうか? 実は、この「ありがとう」という言葉には、クラスの空気を一瞬でパッと明るくし、あなた自身を「まわりから愛される人」に変えてしまう、すごい秘密がかくされているのです。
「ありがとう」は、みんなの心をあたためる最強の呪文
文化人類学(ぶんかじんるいがく)という、世界中の人間が昔からどうやって暮らしてきたのかを調べる学問があります。この学問の研究で、人間は太古の昔から「何かをもらったら、お返しをする」というルールを心の奥に持っていることがわかっています。これを専門用語で「返報性(へんぽうせい)の原理」と言います。
むずかしい言葉に聞こえますが、かんたんです。「親切にされたら、自分も親切にし返したくなる」という、人間の生まれつきの性質のことです。
たとえば、あなたが友達に「消しゴムを貸してくれてありがとう!」と笑顔で言ったとします。言われた友達は、「どういたしまして!」とうれしい気持ちになりますよね。すると、その友達は「今度、もっと優しくしてあげよう」「こんどはこっちから何か手伝ってあげよう」という気持ちになるのです。
つまり、「ありがとう」と言うことは、友達との間に「ニコニコのキャッチボール」をスタートさせる合図なのです。逆に、「ありがとう」を言わないままでいると、親切にされたほうも「なんだか当たり前だと思われているのかな……」と、ちょっとさみしい気持ちになってしまいます。小さな「ありがとう」の積み重ねが、クラスのみんなとあなたを強い絆で結んでくれるのです。
学校生活のこんな場面で使ってみよう!
では、明日からどんなときに「ありがとう」を言えばいいのでしょうか? クラスや家での具体的な場面を見ていきましょう。ここに載せたのは、ほんの一例です。みなさんのまわりには、もっとたくさんの「ありがとうのチャンス」があふれていますよ。
1. 係の仕事を手伝ってもらったとき
黒板係や日直、給食当番など、学校にはたくさんの係がありますよね。一人では大変なとき、そっと手伝ってくれる友達がいます。
- 具体的なくるま(場面):黒板を消すのが大変そうだなと思って、隣の子が半分消してくれたとき。
- 魔法の言葉:「わあ、助かった!手伝ってくれてありがとう!」
- ポイント:ただ「ありがとう」と言うだけでなく、「助かったよ」という気持ちをプラスすると、相手のうれしさは2倍になります。
2. 友達が落としたものを拾ってくれたとき
鉛筆を落として転がっていってしまったときや、ノートが床にパラパラと落ちてしまったときです。
- 具体的なくるま(場面):落とした色鉛筆を、近くの席の子が拾って机の上に置いてくれたとき。
- 魔法の言葉:「拾ってくれてありがとう。助かったよ」
- ポイント:下を向いたままでボソッと言うのではなく、顔を上げて相手の目を見て言うのがコツです。
3. お家の人に「当たり前」のサポートをしてもらったとき
学校から帰ると、ごはんができていたり、洋服がきれいに洗ってあったりしますよね。これらは実は、お家の大人が毎日がんばってくれている「すごいこと」です。
- 具体的なくるま(場面):夕ごはんのときにお箸を出してもらったときや、お弁当箱を洗ってもらったとき。
- 魔法の言葉:「ごはん、用意してくれてありがとう!」「お弁当箱洗っといてくれたんだね、ありがとう!」
- ポイント:お家の人にとっても、子どもからの「ありがとう」は何よりも元気が出るごほうびです。
「小さなこと」に気づける人が、いちばんカッコいい
「ありがとう」をたくさん言える人は、実は「周りをよく見ている人」でもあります。
みんなが自分のことでいそがしいときでも、「あ、この子は私のために窓を開けてくれたんだな」「あ、この子は消しゴムを拾いやすくしてくれたんだな」と、小さな親切に気づける人は、心にゆとりがあって、まわりから見てもすごく大人っぽくてカッコよく映ります。
最初から大きな声で言えなくても大丈夫です。まずは、自分に親切にしてくれた人の顔を見て、少しだけ口角を上げて「ありがとう」とつぶやいてみてください。それだけで、あなたの周りの空気がふわっと優しく変わるのを感じるはずです。
明日、学校に行ったら、まずはクラスの誰か一人に、意識して「ありがとう」を届けてみましょう。その小さな一言が、あなたとクラスの友達の毎日を、もっともっと楽しくて温かいものに変えてくれるはずですよ。