「これ、使ってもいい?」のあとに続く大切な約束
学校で、となりの席の子に「消しゴム貸して」「そのカラーペン、ちょっと使わせて」と頼むこと、よくありますよね。みんなはそんなとき、どんな気持ちでモノを貸し借りしていますか?
「いいよ!」と言われてすぐに借りられると、とっても助かります。でも、使い終わったあとに、そのままポイッと返していませんか? もしかすると、その何気ない行動で、クラスのみんなから「あの人に貸すのはちょっとイヤだな……」と思われているかもしれません。
実は、行動学という科学の視点から見ても、「ものを丁寧に扱うかどうか」は、まわりの人からの信頼を一瞬で決るとても大切なポイントであることが分かっています。今回は、借りたものを返す前にきれいにすることで、まわりの人からグッと好かれる「魔法のルール」についてお話しします。明日からすぐに学校でできることばかりですよ。
行動学でわかる!「モノの扱い方=あなたの信頼度」のひみつ
まずは、行動学の考え方を見てみましょう。行動学では、人間の行動には必ず「理由」があり、その行動を見た周囲の人は「この人はこういう性格にちがいない」という無意識のジャッジ(判断)をすることが研究で分かっています。
たとえば、友達からお気に入りの漫画を借りたとします。読み終わったとき、表紙が折れ曲がっていたり、ページにジュースのしみがついていたりしたら、あなたはどう思いますか?
- 「大事な本なのに、雑に扱われたな……」
- 「もう二度とこの人には貸したくないな」
- 「私のことも、あまり大切に思ってくれていないのかも」
- 「自分の持ち物も、きっと同じようにぐちゃぐちゃなんだろうな」
このように、人間の脳はとても正直です。「目の前にあるモノ=その持ち主や、モノを扱っている人」を重ね合わせて見てしまうクセがあります。つまり、モノを丁寧に扱う人は、「私のことも、周りの人のことも、そして自分自身のことも大切にしてくれる信頼できる人だ」という最高の印象を、周りにプレゼントしていることになるのです。
逆に、借りたものを雑に扱ってしまうと、「自分勝手な人だな」「約束を守れない人だな」という悪印象を、知らず知らずのうちにまわりに与えてしまいます。これが、行動学が教える「モノを通した心のコミュニケーション」の正体です。
クラスの「信頼王」はここが違う!返却前の3つのチェックポイント
では、具体的に「借りたものをきれいにして返す」とは、どういうことなのでしょうか? クラスでみんなから「この人なら安心して貸せる!」と大人気のAくんの秘密をのぞいてみましょう。
Aくんは、友達から色鉛筆やノート、工作の道具などを借りたとき、返す直前に必ず心の中で「3つのチェック」をしています。あなたも明日からマネできることばかりです。
1. 汚れやゴミがついていないか「点検する」
消しゴムを借りて使ったあと、消しカスがくっついたまま返していませんか? カラーペンなら、キャップがしっかり閉まっているか、ペン先に汚れがついていないかを確認します。
【具体的なアクション】
返す直前に、自分の服の袖やハンカチなどで、さっと表面を拭いてみましょう。「きれいにして返してくれたんだな」と、それだけで貸してくれた人の笑顔を引き出すことができます。
2. 形や状態を「元通りにする」
ノートやプリントを借りたとき、角が折れ曲がっていませんか? 本を借りて、ページを開いたまま机にパタンと伏せて置いていませんか?
【具体的なアクション】
折れ曲がっていたら手で優しくまっすぐに直す、本だったら正しいページにしおりを挟むなど、「借りたときよりも美しい状態にする」くらいの気持ちで整えてみましょう。このひと手間で、あなたの知性と優しさが光ります。
3. 「ありがとう」の気持ちを言葉と行動にのせる
ただ無言で机の上に「はい」と置くだけでは、せっかくきれいにしたのに台無しになってしまいます。行動学では、モノを返すときの「態度」も大きな印象の要素です。
【具体的なアクション】
両手でしっかりと手渡ししながら、
「これ、すごく使いやすかったよ! ありがとう。きれいにしておいたよ」
と、笑顔で言葉を添えて返してみましょう。この一言があるだけで、貸してくれた人は「貸して本当によかったな。また何かあったら助けてあげたいな」という温かい気持ちになります。
こんなときどうする?おうちのお手伝いや係の仕事でも大活躍!
この「借りたものを丁寧に扱い、きれいにして返す」というルールは、学校の友達との間だけではありません。おうちのお手伝いや、学校の係の仕事でも大活躍します。
おうちの人からゲームや本を借りるとき
お兄ちゃんやお姉ちゃん、またはお父さんやお母さんから、ゲームソフトや漫画を借りることがありますよね。「家族だからいっか!」と、床に放り出したり、ホコリだらけのままにしておいたりするのは危険です。
家族であっても、他人の大切にしているものを丁寧に扱うことは、社会の基本です。遊び終わったらケースにきちんとしまい、もとの場所に戻す。次に使う家族が気持ちよく使えるようにしておくことで、おうちの人からの信頼がグッとアップします。「この子はしっかりしてきたな」と、お小遣いアップや新しいおねだりも通りやすくなる……かも知れませんよ!
係の仕事でみんなの道具を使うとき
図書係や美化係、理科の実験道具の管理など、学校にはみんなで使う大切な道具がたくさんあります。クラスの代表として係の仕事でそれらを借りて使うときも同じです。
「どうせみんなの物だし」と雑に扱って壊してしまったり、汚したまま片付けたりすると、先生やクラスのみんなからの信頼を失ってしまいます。「みんなの大切な共有財産を、自分のもの以上に大切に扱う」という姿勢を持つだけで、クラスの中で圧倒的に頼られるリーダー的存在になれます。
明日からできる!「きれいな返却」で好印象の連鎖を起こそう
「借りたものは返却前にきれいにする」というルールは、決して難しいことではありません。ほんの数秒の「ひと手間」と「思いやり」をプラスするだけです。
行動学の考え方では、あなたが良い行動をすると、それを見た周りの人もあなたに対して優しく優しさを返してくれる「好意の返報性(こういのへんぽうせい)」という現象が起きます。あなたが友達のものを大切に扱えば、友達もあなたのものを大切にしてくれるようになります。
さあ、明日の学校ではどう過ごしますか?
消しゴムを借りるとき、定規を貸してもらうとき、プリントを回してもらうとき。そのすべての場面が、あなたを「感じがいい人」「クラスで好かれる人」に変えてくれるチャンスです。
「これ、ありがとう!きれいにしといたよ」
その一言と丁寧な行動で、あなたの周りにたくさんの笑顔と信頼の輪を広げていきましょう。明日からの学校生活が、もっと楽しく、もっとステキな時間になること間違いなしです!