失敗しても「次は大丈夫」と言い聞かせる

📖 『「感じがいい人」になれる!クラスで好かれる10の魔法のルール』
ー 第7章:自分の機嫌を自分でとる ー
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失敗しても「次は大丈夫」と言い聞かせる
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テストで真っ赤な点数…そのとき脳の中では何が起きている?

算数のテストが配られたときのことです。名前を書いて、ドキドキしながら1枚目をめくった瞬間、「……えっ?」と思わず声が出そうになったことはありませんか?

大きな赤いバツ印。そして、思っていたよりもずっと低い点数。まわりの友達は「やったー、90点だった!」と笑っているのに、自分だけがどん底につき落とされたような気持ちになる。頭の中が真っ白になって、顔がカッと熱くなり、心臓が「ドキン、ドキン」とすごい速さで音を立てる……。

こんなとき、みんなはどんな気持ちになりますか?

  • 「あーあ、自分って本当にダメだな…」
  • 「次のテストも、どうせまた失敗するに決まってる」
  • 「みんなにバカにされた気がする。もう学校に行きたくないな…」

こんなふうに、イヤな気持ちが心のなかに広がっていくよね。テストだけでなく、運動会のリレーでバトンを落としてしまったり、係の仕事をうっかり忘れて先生に怒られてしまったり。生きていると、「あぁ、やっちゃった!」と大失敗してしまう日は、どうしてもあるものです。

でもね、ちょっと待ってほしいのです。ここで知ってほしい大切な秘密があります。それは、「失敗したこと」そのものが問題なのではないということ。

問題なのは、失敗したあとに、自分の脳の中でどんな「おしゃべり」をしているかなのです。

実は、脳科学というお勉強の世界では、人間の脳はとても正直で、「自分が自分に言った言葉」をそのまま信じてしまうという面白い特徴があることがわかっています。脳科学の言葉でいうと、これを「自己対話(じこたいわ)」と言います。

「どうせ私なんて…」と心の中でつぶやくと、脳は「よし、私たちはダメな人間なんだな!」と勘違いして、本当にダメな状態をつくるためのパワーを使い始めてしまいます。これじゃあ、まるで自分で自分の足をひっぱっているようなものですよね。

逆に、「今回はうまくいかなかったけど、次は大丈夫!」と言い聞かせることができたらどうでしょう? 脳は「おっ、次に向けて作戦を立てるんだな!」と理解して、次の成功に向けてスイッチを入れてくれるのです。

つまり、失敗したときに自分の機嫌を自分でとり、上手に気持ちを切り替えることは、脳の仕組みを味方につけるための「最高の魔法」なのです。今日から使えるその具体的なコツを、一緒に見ていきましょう!

脳の仕組みを知ればこわくない!「お疲れさまセンサー」を働かせよう

「失敗したときに、すぐに『次、頑張ろう!』なんて思えないよ……」

そう思った人も多いはずです。大失敗した直後って、心がシュンとしおれていて、前向きな気持ちになかなかなれないものですよね。無理に「元気を出そう!」とする必要はありません。まずは、私たちの脳と体の中で何が起きているのかを、少しだけ覗いてみましょう。

脳科学の世界では、人間にはもともと「ネガティブ・バイアス」という生まれ持った本能があることが分かっています。難しい言葉に聞こえるけれど、要するに「イヤなことや危険なことを、すごく強く記憶してしまう仕組み」のことです。

大昔、人間がジャングルで暮らしていたころを想像してみてください。目の前にトラが現れたとき、「まあ、なんとかなるさ!」とのんきに構えていたら、あっという間に食べられてしまいますよね。だから人間は、命を守るために「危ないこと」「失敗したこと」を強く覚えて、次に備えるように脳が進化してきたのです。

つまり、テストの失敗をいつまでも引きずったり、「どうせダメだ」と落ち込んだりしてしまうのは、あなたがダメな人間だからではなく、脳があなたを守ろうと一生懸命に働いている証拠なのです。

「そっか、私の脳は今、一生懸命わたしを守ろうとしてくれているんだな」

そう気づくだけで、少し心がフッと軽くなりませんか?この「脳の仕組みに気づくこと」を、私たちは「お疲れさまセンサー」を働かせると呼んでいます。

心がざわざわしたときの実況中継

失敗して心がざわざわしたときは、心の中で自分を実況中継(じっきょうちゅうけい)してみてください。テレビのスポーツアナウンサーになったつもりで、こうつぶやいてみるのです。

  • 「おっと、ここでテストの点数を見て、心がショックを受けているぞ」
  • 「頭が真っ白になって、顔が赤くなっている。本能のネガティブ・バイアスが全開だ!」
  • 「でも大丈夫、これは脳が守ろうとしてくれているだけだぞ」

このように、自分の気持ちを少し離れた場所から眺めることを、脳科学では「メタ認知(めたにんち)」と言います。メタ認知ができるようになると、イヤな感情の波に飲みこまれにくくなり、「よし、ここからどう立て直そうか?」と冷静に考えることができるようになるのです。

「次は大丈夫」に変える!魔法のコーピング・リストを作ろう

自分の脳の仕組みがわかったところで、いよいよ実践編です!失敗して落ち込んだとき、自分をすばやく元気にして、もう一度「次は大丈夫!」と思えるようにするための、とっておきの秘密兵器を紹介します。

それは、「コーピング・リスト」を作るということです。

「コーピング」なんて聞きなれない言葉が出てきたぞ、と思ったよね。これは簡単に言うと、「自分の機嫌をとるための、楽しいこと・リラックスすることのリスト」のことです。ゲームのアイテム図鑑のようなものだと思ってください。

人間は、心がピンチのときに「さあ、何をすれば元気になるだっけ?」とゼロから考えるのがとても苦手です。だからこそ、元気なうちに「これをすれば私はご機嫌になる!」というリストをあらかじめ作っておくのです。ノートの端っこでもいいので、自分がホッとすることや、ワクワクすることを書き出してみましょう。

小学生のためのコーピング・リストの例

  • お気に入りのアニメのオープニング曲を1回だけ大音量で聴く
  • 冷たい麦茶をコップ1杯、ゆっくり味わって飲む
  • 飼っているペット(犬や猫、ハムスターなど)を3分間なでまくる
  • スケッチブックに、今考えているイヤなことを全部ぐちゃぐちゃに書き殴って、パーンと破り捨てる
  • お母さんや仲の良い友達に「今日、算数でやっちゃったんだよねー」と笑いながら話す

どうですか?「これならできそう!」と思えるものがあったのではないでしょうか。ポイントは、どれも「自分の力ですぐにできる小さなこと」だということです。「テストで100点をとる」のような結果は自分だけではコントロールできないけれど、「冷たいお茶を飲む」ことは100%自分の力でできますよね。

失敗して「もうダメだ…」と思ったときは、このコーピング・リストの中から、今の自分にできそうなものを1つだけ選んで実行してみてください。心がフッと軽くなって、「まあ、今回はこうだったけど、次は大丈夫!」という言葉が、自然と心から湧き出てくるはずです。

学校生活で実践!「次は大丈夫」の言葉の魔法

コーピング・リストで心を落ち着かせたら、いよいよ仕上げです。脳に正しいメッセージを届けるための「言葉の魔法」を、具体的な学校の場面に合わせて使ってみましょう。

学校生活では、思わぬところで「あ、やっちゃった!」という瞬間がやってきます。そんなとき、どんなふうに自分に声をかければいいのか、3つの場面で見ていきましょう。

場面1:係の黒板係で、今日やるべき連絡を書き忘れたとき

放課後、先生に「今日の連絡が黒板に書いてないよ」と言われて、「あっ!」と青ざめる。クラスのみんなの前で少し恥ずかしい思いをしたし、先生にも「気をつけなさい」と言われてしまった……。

【今までのあなた】
「あー、私って本当にドジだな。みんなに迷惑かけちゃった。明日から黒板係やりたくないな……」

【魔法のルールを使ったあなた】
心の中でまず「お、今ショックを受けてるぞ」とメタ認知(実況中継)をします。そして、深呼吸を1回して、こうつぶやきます。
「忘れたのはショックだけど、次から帰る前にチェックリストを見るようにすれば『次は大丈夫!』

場面2:図工の時間、つくっていた作品のパーツがポキッと折れてしまったとき

一生懸命にていねいに粘土(または木工)で形を作っていたのに、最後にうっかり力を入れすぎて、一番大切なところが折れてしまった。「今までのはなんだったんだ……」と涙が出そうになる。

【今までのあなた】
「もう全部おしまいだ!ぐちゃぐちゃにして捨てちゃえ!」

【魔法のルールを使ったあなた】
手がプルプル震えたら、コーピング・リストを思い出して窓の外を10秒だけ見つめる。そして、こうつぶやきます。
「折れちゃったのは悲しいけれど、ここからボンドでくっつけたり、別の形に作り直したりすればもっと面白くなるかも。『次は大丈夫!』

場面3:給食当番で、牛乳をクラスの床に盛大にこぼしてしまったとき

みんなが注目する中、ガシャーンと音がして牛乳の海が広がる。「キャー!」という声が聞こえて、顔から火が出るほど恥ずかしい。

【今までのあなた】
「消えてしまいたい……。明日から給食時間になりたくない……」

【魔法のルールを使ったあなた】
雑巾を取りに行きながら、「うわあ、びっくりした!私の脳、今すごいパニックを起こしてるぞ」と実況中継。そして、雑巾で床を拭きながら、心の中でこう言います。
「人間だれしもうっかりはある!きれいに拭き終われば元通り。明日からはゆっくり運ぼう、『次は大丈夫!』

このように、失敗したその場で「次は大丈夫!」と自分に声をかける習慣をつけていくと、脳の神経回路が少しずつ書き換わっていきます。脳科学の世界では、これを「神経可塑性(しんけいかそせい)」と呼びます。脳は、何歳からでも、どんなときからでも、新しいトレーニングによって成長させることができるのです。

失敗しない人なんて、この世には一人もいません。クラスの人気者や、いつもニコニコしている「感じがいい人」たちも、実はみんな心の中でたくさん失敗して、そのたびに「次は大丈夫!」と自分の機嫌を上手に直しているのです。

失敗は、あなたが成長するための「大チャンス」の合図です。
次に何かうまくいかないことがあったときは、ぜひ思い出してください。

深呼吸を1回して、自分にこう声をかけてあげましょう。

「大丈夫、次はもっとうまくいく!」

その瞬間から、あなたのまわりの空気がフッと明るくなり、クラスで一番ステキな「感じがいい人」への扉がひらくのです。

📖 『「感じがいい人」になれる!クラスで好かれる10の魔法のルール』
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