相手の目を見てうなずく
キミは、友達とおしゃべりをしているとき、こんなふうに思ったことはありませんか?
「ボク(あたし)の話、ちゃんと聞いてくれているかな……?」
学校の休み時間、図書室、帰り道。友達が楽しそうに話しているとき、あるいは自分が今日あったワクワクする出来事を話しているとき、相手がスマホをいじっていたり、全然こっちを見てくれなかったりすると、なんだか少しさみしい気持ちになりますよね。「あぁ、私の話、つまらないのかな」って不安になって、口をつぐんでしまうこともあるかもしれません。
実は、人間というのは、誰しも「自分の話を最後まで聞いてほしい」「自分の気持ちをわかってほしい」という強い願いを持っています。これは心理学の世界でも証明されている、とても大切な心の特徴なのです。
クラスの中で「あの人と話すと、なんだか元気が出るな」「またお話ししたいな」とみんなから好かれる人は、特別な面白いジョークを言える人だけではありません。その秘密は、相手の目を見て、しっかりとうなずきながら話を聞くという「最高の聞き方」を知っているかどうかなのです。
今日は、相手を安心させ、自分も大好きになってもらえる「目と体の魔法のルール」についてお話しします。明日から、いや、今すぐ学校で試したくなるヒントが詰まっていますよ。
心理学でわかる!「うなずき」が持つすごいパワー
ここで少し、人間の心を探る「心理学」のお話をしましょう。
心理学の研究で、アメリカの有名な心理学者であるアルバート・メラビアンという人が、人が他人とコミュニケーションをとるとき、どこから情報を読み取っているのかを調べました。すると、私たちが言葉そのものよりも、声のトーンや、目線、表情、しぐさといった「見た目や態度(非言語コミュニケーション)」から、相手の気持ちを大きく受け取っていることがわかったのです。
さらに、心理学には「同調効果(どうちょうこうか)」や「認定的承認(にんていてきしょうにん)」という難しい名前の現象があります。簡単に言うと、こうです。
- 人は、自分と同じ動きをしてくれる人に親しみを持つ
- 人は、「あなたの話をしっかり受け止めていますよ」と態度で示されると、自分の存在を認められたと感じて嬉しくなる
- 目を見てうなずくことは、「私はあなたの味方だよ」という無言のメッセージになる
つまり、キミが友達の目を見て、コクコクとうなずくだけで、心理学的には「私はあなたを大切に思っていますよ」という強力なサインを相手の心に届けていることになるのです。言葉で「そうだね」と言わなくても、うなずき一つで相手の脳は「この人は安心できる人だ!」と判断し、キミに対してグッと好意を持つようになります。
逆に、話を聞いているときに、窓の外をぼんやり見ていたり、机の上の消しゴムをいじっていたりすると、心理学的には「私はあなたの話に興味がありません」「早く終わってほしいです」という冷たいメッセージとして伝わってしまいます。相手はどんどん元気がなくなって、話すのをやめてしまうでしょう。
「聞く」という行為は、ただ耳の穴に音を入れることではありません。目と体を使って、相手の心を包み込んであげる優しい行動なのです。
学校生活で実践!「目線とうなずき」の黄金バランス
では、具体的に学校でどうやって「目を見てうなずく」を実践すればいいのでしょうか? 教室でのシーンを思い浮かべながら、3つのステップで見ていきましょう。
ステップ1:目を見るのは「目と目の真ん中」か「鼻のあたり」でOK
「相手の目を見るって、なんだか恥ずかしそう……。ずっと見つめるなんて緊張しちゃう!」
そう思った人も多いはずです。小学生のみんなにとって、友達の目をまっすぐ見つめ続けるのは、ちょっと照れくさいし、見つめすぎると相手も「えっ、どうしたの?」とドキドキしてしまうかもしれません。
ここで安心するコツを教えます。ずっと目を合わせ続ける必要はありません。心理学のテクニックとして、相手の「目と目の真ん中」や「鼻のてっぺんあたり」を見るのが効果的とされています。ここを見ていると、相手からは「ちゃんと私の目を見てくれている!」と感じられます。キミのほうも、目そのものではなくて鼻のあたりを見ていれば、恥ずかしさがグッと減りますよ。
例えば、係の仕事を一緒にやっているとき、友達が「ねえ、次のポスター、どこに貼ろうか?」と相談してきたとします。そんなとき、手元のプリントを見るのをやめて、顔を上げ、相手の鼻のあたりをふんわりと見つめてみましょう。これだけで、相手は「あ、真剣に考えてくれているんだな」と嬉しくなります。
ステップ2:相手の言葉のスピードに合わせた「うなずき」
うなずくときの大切なコツは、「相手のリズムに合わせる」ことです。
友達がゆっくり、一生懸命に考えて話しているときは、キミもゆっくり、大きく1回か2回、うなずいてあげます。
逆に、友達が「聞いて聞いて!今日ね、体育のドッジボールですごいことがあってさ!」と、ワクワクしながら早口で話しているときは、キミも少し小刻みに、何度も「うん、うん、うん!」とうなずいてあげましょう。
この「うなずき」のスピードが相手とピッタリ合っているとき、人間は脳の中で「この人とは気が合うな」「すごく話しやすいな」という快感ホルモンを感じます。クラスの人気者は、意識してか無意識か、この「相手のリズムに合わせたうなずき」を自然にやっているのです。
ステップ3:相づちをプラスして「話を聞いているよ」をカンペキにする
目を見て、うなずくだけでも十分すごいのですが、ここに魔法の言葉を少しだけトッピングしてみましょう。
それが、短い「相づち(あいづち)」です。
- 「へぇー、そうなんだ!」
- 「それはすごいね!」
- 「大変だったね……」
- 「なるほどね!」
掃除の時間、ほうきを掃きながら友達が「昨日、テレビで見た動物がさ……」と話し始めたとします。そのとき、作業の手を少しだけ止めて、友達のほうを向き、目を見て、
「うん、うん。で、どうなったの?」
とうなずきながら相づちを打ってみてください。友達は、自分の大好きな話を全身全霊で受け止めてもらえたと感じて、すっごくハッピーな気持ちになります。「この前話した動物のこと、またこの子に話したいな!」と思ってもらえること間違いなしです。
家でもできる!家族を笑顔にする「聞き方のレッスン」
学校で上手にできるようになるために、まずは身近な家族を相手に「聞き方のレッスン」をしてみませんか?
おうちのお手伝いが終わったあとや、夕ご飯のときに、お父さんやお母さん、あるいは兄弟姉妹が今日の出来事を話してくれることがありますよね。「今日、仕事でこんなことがあってさ〜」とか「スーパーでこんなお買い得品を見つけたんだよ」といったお話です。
そんなとき、ついやってしまいがちなのが、
・ゲームやマンガを読んだまま「へー、そうなんだ」(目線は画面のまま)
・テレビを見ながら「ふーん」(うなずきなし)
という態度です。これでは、家族であっても少しさみしい気持ちになってしまいます。
今日からは、家族が話し始めたら、大チャンスだと思って次の3つをやってみましょう。
- 持っているものを一度おいて、両手をひざや机の上にする(体勢を整える)
- お父さんやお母さんの目(または鼻のあたり)を見る
- 「うん、うん」と大きくうなずきながら、「それからどうしたの?」と聞いてみる
きっと、家族はびっくりしたあとで、とっても嬉しそうな顔をするはずです。「うちの子、いつの間にこんなにしっかりお話を聞けるようになったんだろう?」と、感心してしまうかもしれません。
家族という一番身近な人たちに「目を見てうなずく」をしてあげることができたら、それはもうキミの「自然な習慣」になっています。学校の友達や先生に対しても、意識しなくても自然とできるようになっているはずです。
明日からクラスで実践!「感じがいい人」になるための小さな挑戦
いかがでしたか?
「相手の目を見てうなずく」というのは、特別な道具もいらないし、お金もかかりません。今すぐ、今日からでも、誰にでもできる最高の魔法です。
明日、学校に行ったら、まずはこんなふうに小さくスタートしてみましょう。
- 朝、教室に入って「おはよう!」と声をかけられたとき、相手の目を見て「おはよう!」と笑顔でうなずく。
- 給食の時間、近くの席の友達が今日の給食の感想を言ったとき、スプーンを一度おいて、目を見て「うん、美味しいよね!」とうなずく。
- 授業のあと、係の連絡事項などを友達が黒板の前で伝えてくれたとき、しっかりと目を見て「わかったよ!」とうなずく。
これらを実践していくと、不思議なことが起こります。クラスのまわりの友達が、キミにたくさん話しかけてくれるようになるのです。「この人に話すと、自分の気持ちをわかってもらえる」「なんだかホッとする」という安心感が、クラスの中に広がっていくからです。
人に好かれるというのは、自分が上手に話すことではありません。「目の前の友達の存在を、目とうなずきで大切にしてあげること」です。
明日、学校の扉をくぐるとき、心の中でこうつぶやいてみてください。
「今日は、クラスのみんなの目をしっかり見て、たくさんうなずいて、最高の聞き手になってみよう!」
その小さなうなずき一つが、キミのまわりにいる友達の心を温め、キミ自身をクラスで一番愛される「感じがいい人」に変えていく、最高の魔法のスタートになるのです。