「自分は自分、人は人」と心の中でつぶやく
クラスで過ごしていると、ときどき「どうしてあの人は、あんなことをするんだろう?」と、イライラしたり、モヤモヤしたりすることがありますよね。たとえば、給食の準備中にふざけている子を見て「真面目にやってよ!」と腹が立ったり、自分よりも足が速い子を見て「いいな、ずるいな」と心がチクリとしたりすることです。
でも、そんなときこそ、魔法の言葉を思い出してください。心の中でそっと、こうつぶやくのです。
「自分は自分、人は人」
この言葉は、ただの強がりではありません。実は、心の世界ではとても大切な「心のバリア」を作ってくれる魔法の呪文なのです。
なぜ、他人のことが気になってしまうのか?
心理学には「社会的比較(しゃかいてきひかく)」という考え方があります。これは、人間が「自分は今、どのくらいのレベルかな?」と確認するために、つい周りの人と自分を比べてしまう心のクセのことです。
学校は、同じ年齢の子たちが集まる場所です。テストの点数、運動会の走り、係の仕事のやり方など、比べようと思えばいくらでも比べられますよね。でも、この「比べっこ」をやりすぎると、心はどんどん疲れてしまいます。勝てばいい気分になりますが、負けた気がすると、急に自分に自信がなくなってしまうからです。
大切なのは、「人は人、自分は自分」と分けることで、自分の心を守ることです。相手がどんなにすごい成果を出していても、あるいはどんなに自分勝手なことをしていても、それは「相手の人生」であって、「あなたの人生」ではありません。
文化人類学が教えてくれる「みんな違って当たり前」
文化人類学という学問では、「世界にはいろんな場所があって、いろんな考え方がある」ということを研究します。そこでは、「普通」というルールは、場所やグループによって全然違うということが分かっています。
たとえば、ある国では「残すことがマナー」とされているのに、別の国では「完食するのがマナー」とされています。どちらが正しいかではなく、どちらも「その場所のルール」にすぎないのです。クラスという小さな社会も同じです。あの子がふざけてしまうのも、あの子がすごく真面目なのも、それぞれが持っている「その子だけのルール」から生まれています。
「なんであの人はこうなの?」と怒る代わりに、「へえ、あの人はそういう考え方をしているんだな」と、遠くの国を見るような気持ちで観察してみてください。そうすると、不思議とイライラがスーッと引いていくはずです。
明日からできる「心の余裕」を作る3つの習慣
「自分は自分、人は人」という考え方を、もっと上手につかうための具体的なアクションを紹介します。明日、学校で試してみてください。
- 「観察日記」を心の中でつける
誰かにイラッとしたら、心の中で「おっと、今あの子は調子に乗っているな。観察してみよう」と実況中継をしてみてください。怒るのではなく「観察する」という姿勢になると、心に余裕が生まれます。 - 「自分のゴール」を決めておく
周りと比べてしまうのは、自分のゴールがぼんやりしているからです。「今日は漢字テストで1点でも多く取る」「今日は係の仕事を最後までやり遂げる」という、自分だけの小さなゴールを持っていれば、他人の行動は気にならなくなります。 - 「すごいね」を言葉のプレゼントにする
誰かをうらやましいと思ったときこそ、チャンスです。「足が速いね、すごいね!」と相手をほめてみてください。相手を認めることは、自分自身を認めることと同じくらい、心に余裕がある人にしかできないカッコいい行動です。
「自分」という一番の味方でいよう
あなたには、あなたにしか歩めない道があります。誰かと比べる必要なんて、本当はどこにもないのです。クラスという場所は、いろんな色の花が咲く庭のようなものです。バラがチューリップに「どうして背が低いの?」と聞かないように、あなたもあなたの花を咲かせることに集中すればいいのです。
もし、また誰かのことが気になって苦しくなったら、深呼吸をして、心の中でこう唱えてください。
「あの人はあの人の道。私は私の道を行こう」
そうやって自分自身を大切にできる人は、周りからも「いつも落ち着いていて、一緒にいると安心する人だな」と、自然と好かれるようになります。自分を大切にする余裕が、結果として、クラスでいちばん愛される人になるための、いちばんの近道なのです。
さあ、明日の学校では、誰かと自分を比べそうになったら、心の中で小さく魔法の言葉をつぶやいてみてください。それだけで、あなたの学校生活はもっと軽やかで、楽しいものに変わるはずですよ。