困っている人に「大丈夫?」と声をかける
休み時間の教室。机の下に筆箱を落として、中身をぶちまけてしまった友達がいます。あるいは、体育の授業で転んでしまい、ひざをさすっている子がいます。そんなとき、あなたはどんな気持ちになりますか? 「声をかけたいけれど、なんだかはずかしいな」「なんて言えばいいのか分からない」と、ドキドキしてしまうかもしれませんね。
実は、困っている人に「大丈夫?」と声をかけることは、クラスでいちばん好かれる子になるための、最強の魔法なんです。この一言には、相手の心をパッと明るくする不思議な力があります。
「言葉」は相手との距離を縮める魔法
ことばの研究の世界では、私たちが話す言葉には「相手を助ける力」があると考えられています。これを難しく言うと「語用論(ごようろん)」といいます。簡単に言うと、「どんな場面で、どんな言葉を使うと、相手がうれしくなるか」というルールのことです。
たとえば、転んだ友達に「大丈夫?」と聞くのは、単に「ケガをしたかどうか」を知りたいからではありませんよね。「あなたのことを見ているよ」「私はあなたの味方だよ」という気持ちを伝えているのです。言葉の裏側にある「あなたのことを大切に思っているよ」というメッセージこそが、相手の心を温かくする正体なのです。
「大丈夫?」を伝える3つのステップ
とはいえ、いきなり声をかけるのは勇気がいりますよね。失敗しないための「魔法のステップ」を教えます。これを意識するだけで、あなたはクラスでいちばん頼りになる存在になれます。
- まずは「気づいた」という合図を送る
いきなり大きな声で「大丈夫!?」と聞くと、相手がびっくりしてしまうことがあります。まずは相手の目を見て、少しだけ近づいてみましょう。 - 「大丈夫?」と優しく聞く
声のトーンは、いつもより少しだけ低く、ゆっくりと。「だいじょうぶ?」と、相手の様子をうかがうように声をかけてみてください。 - 相手の答えを待つ
もし相手が「ううん、いたいよ」と言ったら、「どこがいたい?」「先生を呼ぼうか?」と、相手がしてほしいことを一緒に考えてあげましょう。
こんなとき、どうする? 具体的な場面で練習しよう
学校生活には、声をかけるチャンスがたくさんあります。明日から使える「声かけのヒント」を紹介しますね。
- 係活動で忙しそうなとき
「プリント配り、手伝おうか?」と声をかけてみましょう。相手が「ううん、大丈夫」と言ったら、「そっか、頑張ってね!」と笑顔で離れるだけで十分です。「気にかけてくれた」という事実が、相手を笑顔にします。 - 給食の配膳でこぼしてしまったとき
「大丈夫? ふきん、持ってくるね」と、言葉と一緒に「行動」をプラスしてみてください。言葉と行動がセットになると、相手はもっと安心します。 - 休み時間に一人で静かにしているとき
無理に話しかける必要はありません。ただ隣に座って「今日、暑いね」と、何でもないことを話しかけるだけでも、「大丈夫?」というメッセージになります。
「敵を作らない」ための大切なルール
社会言語学という研究では、「相手が何を求めているかを考えること」が、人間関係をスムーズにする一番のコツだと言われています。これを「思いやり」と言い換えてもいいですね。
ここで一つだけ、気をつけてほしいことがあります。それは「相手の気持ちを優先する」ということです。もし、友達が「一人にしてほしい」という雰囲気をだしていたら、無理に声をかけ続けるのは逆効果かもしれません。そんなときは、「何かあったら言ってね」と一言だけ伝えて、そっとしておいてあげるのも、とてもかっこいい「優しさ」です。
「大丈夫?」という言葉は、相手との間に「安心の橋」をかけるようなものです。一度橋がかかれば、その友達とはもっと仲良くなれます。そして、あなたが困ったときには、きっと誰かがその橋を渡って、あなたを助けに来てくれるはずです。
明日、学校に行ったら、誰かの小さな「困った」を探してみてください。筆箱を拾うとき、消しゴムを貸すとき、あるいはただ隣にいるとき。勇気を出して「大丈夫?」と声をかけてみましょう。その一言が、あなたの学校生活をもっと楽しく、もっとキラキラしたものに変えてくれるはずですよ。
さあ、魔法の言葉を使う準備はできましたか? あなたのその優しさは、必ず誰かに届きます。