「でも」「だって」という否定語を控える
クラスのみんなと話しているとき、気がつかないうちに「でも」や「だって」を口にしていませんか?
たとえば、友達から「今日の休み時間、ドッジボールしようよ!」と誘われたとき。「でも、宿題が終わってないから……」と返したり、係の仕事で「こうしたらどう?」と意見をもらったときに「だって、それは大変だよ」と返したり。自分では「ただの事実を言っているだけ」だと思っていても、相手は少しだけ悲しい気持ちになっているかもしれません。
言葉には、相手の心を動かす不思議な力があります。今日は、あなたの言葉がもっと輝いて、みんなから「また話したいな」と思われるようになるための、とっておきの魔法をお伝えします。
「でも」は、相手の心を閉ざすカギになる
言葉の研究をしている専門家のあいだでは、会話には「相手との関係を築くためのルール」があると考えられています。これを「語用論(ごようろん)」といいます。簡単に言うと、「言葉を使って、どうやって仲良くなるか」という作戦のことです。
このルールによると、相手が何かを言ったとき、最初に「でも」と否定してしまうと、相手は「自分の言ったことが受け入れられなかった」と感じてしまいます。これを「拒絶(きょぜつ)」といいます。たとえあなたが正しいことを言っていたとしても、相手は「否定された」というショックの方が大きくなってしまうのです。これでは、どんなに良い意見でも、相手の心には届きません。
「でも」を「そうなんだね」に変える魔法
では、どうすればいいのでしょうか? 答えはとてもシンプルです。「でも」を言う前に、一度相手の言葉を受け止める「クッション言葉」を挟むのです。
相手の言葉を一度「そうなんだね」と受け止めるだけで、会話の雰囲気はガラリと変わります。これを「社会言語学」では、相手の気持ちを大切にする「ポライトネス(丁寧さ)」と呼びます。相手を尊重する姿勢を見せることが、敵を作らず、好かれるための最大の近道なのです。
具体的に、こんなふうに変えてみましょう。
- 友達:「今日の給食、カレーがいいな!」
- ×悪い例:「でも、今日はパンだよ。」
- ○良い例:「カレー、おいしいよね! 今日はパンだけど、カレー味のスープも出るといいよね。」
どうですか? 「カレーがおいしい」という相手の気持ちを先に受け止めるだけで、会話が温かくなりますよね。
否定したくなったときの「3つのステップ」
どうしても意見が違うときや、相手が間違っているように感じるときもありますよね。そんなときこそ、この「3ステップ」を試してみてください。
1.まずは一度、相手の言葉を繰り返す
「なるほど、あなたはそう考えているんだね」と、相手の言葉をそのまま受け止めます。これだけで相手は「自分のことをわかってくれた!」と安心します。
2.「それもいいね」と一度肯定する
相手の意見の中に、ひとつでも良いところを見つけてみましょう。「そのアイディア、面白いね!」と褒めるだけで、相手の心は大きく開きます。
3.自分の意見を「提案」として伝える
ここで初めて、自分の考えを伝えます。「でも」ではなく「私はこう思うんだけど、どうかな?」と言い換えてみてください。否定ではなく「相談」の形にするのです。
明日からできる「言葉のトレーニング」
明日、学校でこんなことに挑戦してみませんか?
- 「相づち」を意識する:友達の話を聞くとき、まずは「うんうん」「なるほどね」と言ってから自分の意見を言ってみる。
- 「だって」を「実はね」に変える:言い訳をしたくなったとき、「だって」の代わりに「実はね、こういう理由があって……」と言ってみる。これだけで、相手に伝わる丁寧さが全然違います。
- 「でも」を「それと同時に」に変える:反対意見を言いたいときは、「でも」ではなく「それと同時に、こういう考え方もあるかもしれないよ」と言ってみる。
言葉は、あなたと友達をつなぐ架け橋です。「でも」という壁をなくして、「そうなんだね」という架け橋をたくさん作っていきましょう。
あなたが「でも」を使わずに相手の話を聞くようになると、不思議なことに、周りのみんなもあなたに対して優しくなります。あなたが相手を尊重すれば、相手もあなたを尊重してくれる。これが、人間関係のいちばん大切なルールなのです。
さあ、明日の休み時間、友達が何か言ってきたら、まずは「そうなんだね」と口にしてみてください。そこから、あなたの周りにはきっと、今まで以上に温かい笑顔の輪が広がっていくはずですよ。