持ち物には必ず名前を書く

📖 『「感じがいい人」になれる!クラスで好かれる50の魔法のルール』
ー 第3章:クラスで信頼される「自分を整える」習慣 ー
\ 毎日がもっと楽しくなる、すべての小学生へ贈るヒント /
持ち物には必ず名前を書く
全 50 ページ中 21 ページ目

持ち物には必ず名前を書く

学校の教室のうしろにある「落とし物コーナー」。そこをのぞいたことはありますか?そこには、だれのものかわからなくなった鉛筆、消しゴム、定規、ときにはハンカチやノートまでが、さびしそうに並んでいます。

「あ、これ、私のと同じだ。でも、名前が書いてないからわからないや」

そんな風に思った経験がある人も多いはずです。実は、自分の持ち物に名前を書くという、たったそれだけのことが、クラスでのあなたの「信頼度」を大きく左右することを知っていましたか?

「名前を書くだけで、感じがいい人になれるなんて大げさだよ」と思うかもしれません。でも、これは心や行動の仕組みを研究する学問でも証明されている、とても大切なルールなのです。今回は、名前を書くことがなぜあなたを輝かせるのか、その秘密を解き明かしていきましょう。

「だれのものかわからない」が引き起こす、クラスの小さなイライラ

まずは、ある日のクラスの様子を思い浮かべてみてください。算数の授業中、床に1本の鉛筆が落ちていました。名前は書いてありません。

親切な友達がそれを拾って、「これ、だれの?」とみんなに聞きます。でも、みんな自分のノートを書くのに忙しくて、すぐには気づきません。拾ってくれた子は、もう一度大きな声で「これ、だれのー?」と聞かなければなりません。先生も授業を一度止めて、「だれか鉛筆を落とした人はいませんか?」と確認します。やっと「あ、僕のだ」と持ち主が見つかりましたが、その間、クラス全員の貴重な時間が少しだけ奪われてしまいました。

もし、これが1日に何度もくり返されたらどうでしょう?

「まただれかの落とし物だ。だれのかな?」
「授業が止まっちゃって、つまらないな」

クラスのみんなの心の中に、ほんの少しずつですが、イライラがたまってしまいます。名前が書いていない落とし物は、クラス全体の「時間」と「良い雰囲気」を、こっそりぬすんでしまうドロボウのようなものなのです。

逆に、落ちている鉛筆に「すずき たろう」とはっきり名前が書いてあったらどうでしょうか。拾った人は、何も言わずにたろうくんの机にそっと置いてあげるだけでおしまいです。授業が止まることもなければ、だれかが困ることもありません。名前が書いてあるだけで、クラスの平和が守られるのです。

行動学でわかる!「名前」が持つ不思議なパワー

ここで、少し面白い学問のお話をしましょう。人間の行動や心の動きを研究する「行動学(こうどうがく)」という学問があります。この行動学によると、人間には「名前がついているものを、とても大切に扱う」という特別な心の仕組みがあることがわかっています。

想像してみてください。あなたが新しく買ってもらったばかりの、ピカピカのシャープペンシルがあります。まだ名前は書いていません。これを「ただのペン」として使っているとき、人間は無意識のうちに、少しだけ雑に扱ってしまうことがあります。机から落としても「あ、落ちちゃった」と思うだけかもしれません。

しかし、そのペンに自分の名前をていねいに書いた瞬間、あなたの心の中で大変化が起こります。そのペンは、世界にたくさんある「ただのペン」から、あなただけの「特別な相棒」に変身するのです。これを行動学では、自分に関係するものに強い愛着を感じる心の働きとして説明しています。

名前を書くことで、次のような行動の変化が自然に生まれます。

  • ものを置くときに、ていねいに置くようになる。
  • 使ったあと、すぐに筆箱や引き出しに戻すようになる。
  • 友達に貸すときも、「やさしく使ってね」と声をかけるようになる。

自分の持ち物を大切に扱っている人は、周りの人からどう見えるでしょうか?いつも道具をていねいに使い、整理整頓ができている人は、とても落ち着いていて、大人っぽく見えます。クラスの友達や先生は、あなたのその姿を見て「この人は、自分のことをしっかり管理できる、信頼できる人だな」と感じるのです。名前を書くという1秒でできる行動が、あなたの「信頼される行動」を作り出しています。

統計学が教えてくれる!「名前がないもの」の悲しいゆくえ

もうひとつ、たくさんのデータを集めて本当のことをつきとめる「統計学(とうけいがく)」という学問の視点から、落とし物の現実を見てみましょう。

ある学校で、1年間に集まった落とし物のデータを調べたことがあります。その結果、おどろくべきことがわかりました。

  • 名前が書いてある落とし物:なんと、95%以上が、持ち主の手元に無事に戻っていました。
  • 名前が書いていない落とし物:持ち主のもとに戻ったのは、わずか5%以下でした。

名前が書いていない落とし物のほとんどは、引き取り手がないまま、学期の終わりに処分されてしまいます。まだ使える鉛筆や、お気に入りだったはずの消しゴムが、ゴミになってしまうのです。これはとても悲しいことですよね。

さらに、この統計データには続きがあります。「ものをよくなくす人」と「クラスでの信頼度」を調べたアンケートでは、「いつも持ち物をなくしている人は、約束や時間を守らないことが多い気がする」と答えた人がとても多かったのです。

もちろん、そんなつもりはなくても、周りの人からは「ものを大切にしない人は、友達との約束も大切にしないかもしれない」と、無意識のうちに思われてしまう可能性があるのです。たかが名前、されど名前。名前を書かないだけで、あなたの知らないところで、あなたの信用がすり減ってしまっているかもしれないのです。これはとてももったいないことです。

明日からできる!「名前書き」の3つの魔法のルール

では、クラスのみんなから「あの人はしっかりしていて、感じがいいな」と思われるために、明日からすぐにできる「名前書きの魔法」を3つ紹介します。どれも今すぐ、おうちでできる簡単なことばかりです。

1.「見えやすい場所」に、はっきりと書く

名前は、隠すように小さく書くのではなく、だれが見てもすぐにわかる場所に書きましょう。
ノートなら表紙の右下、鉛筆ならおしりの部分、消しゴムならスリーブ(紙のカバー)だけでなく、中の白い消しゴム本体にも直接書いておくのがコツです。なぜなら、消しゴムのカバーは使っているうちに破れてなくなってしまうことが多いからです。
「見えやすい場所」に書くことは、拾ってくれた友達に対する「ここに名前があるよ、教えてくれてありがとう」という、やさしいメッセージになります。

2.小さなもの、丸いものにも工夫して書く

鉛筆のキャップや、丸い形のペンなど、名前が書きにくいものもありますよね。そんなときは、おうちの人と一緒に「お名前シール」を使ったり、細い油性ペンでイニシャル(名前の頭文字)だけでも書いておきましょう。
クラスの係活動で使うファイルや、のり、ハサミなどにも忘れずに書きます。みんなで一緒に使うものだからこそ、「これは私のものだよ」とはっきりさせておくことで、友達との「貸し借りトラブル」を未然に防ぐことができます。

3.「新しい持ち物」は、使う前に名前を書く

新しいノート、新しいペン。使うときはワクワクしますよね。でも、「学校に行ってから書こう」「あとで時間があるときに書こう」は禁物です。
行動学では、人間は「あとでやろう」と思ったことの約8割を忘れてしまうと言われています。新しく手に入れたものは、おうちでパッケージを開けた瞬間に、その場で名前を書く。これを自分の「絶対のルール」にしてください。名前を書くことで、その新しい道具に魂が吹き込まれ、明日学校へ持っていくのがもっと楽しみになりますよ。

名前を書くことは、自分と友達への「やさしさのサイン」

自分の持ち物に名前を書くこと。それは、自分のものを大切にするという「自分へのやさしさ」です。それと同時に、落とし物を探す手間を減らし、クラスの授業をスムーズに進めるという「友達や先生へのやさしさ」でもあります。

「感じがいい人」とは、特別な魔法が使える人のことではありません。周りの人が困らないように、先回りして小さな工夫ができる人のことです。名前を書くことは、その最も簡単で、最も効果的な方法なのです。

さあ、この記事を読み終わったら、今すぐあなたの筆箱を開けてみてください。お気に入りの鉛筆や、毎日使っている定規に、あなたの名前はきちんと書いてありますか?

もし書いていなかったら、お気に入りのマイペンを持って、ていねいに名前を書いてみましょう。その瞬間から、あなたの持ち物はあなただけの頼もしい相棒になり、あなたの「感じのよさ」がクラス中に伝わり始めますよ!

📖 『「感じがいい人」になれる!クラスで好かれる50の魔法のルール』
全 50 ページ中 21 ページ目

タイトルとURLをコピーしました