魔法のルール:友達の「ちいさな変化」を見つけて褒めよう
あたらしく髪の毛を切った日や、お気に入りのあたらしい消しゴムを学校に持ってきた日。「だれか気づいてくれないかな?」と、なんだかワクワクした気持ちになったことはありませんか?
それなのに、クラスの誰も何も言ってくれなくて、ちょっとだけさびしい気持ちになった……。そんな経験がある人もいるかもしれません。
じつは、これと同じ気持ちを、あなたの周りにいる友達もみんな感じています。人はだれでも「自分のちいさな変化に気づいてほしい」と思っているのです。
だからこそ、友達のちいさな変化にいち早く気づいて、「あ、髪切った? すごく似合ってるね!」「あたらしい筆箱、かっこいいね!」と声をかけられる人は、クラスでとびきり「感じがいい人」になれます。
大げさなお世辞をいう必要はありません。あなたがパッと見て気づいた「ちいさな変化」を、そのまま言葉にしてあげるだけ。それだけで、あなたは友達にとって「一緒にいると、自分をしっかり見てくれて安心できる特別な存在」になれるのです。
なぜ「ちいさな変化」に気づくと、友達はハッピーになるの?(脳科学と心理学のひみつ)
「どうして、ちいさな変化を褒められると、そんなにうれしくなるんだろう?」
そう思った人のために、こころと脳のふしぎな仕組みを2つ紹介しますね。
1.心の中の「注目スポットライト」がピカッと光るから(自己承認欲求)
心理学では、人間の心には「自分の存在を認めてほしい!」「がんばっているところを見てほしい!」という強い気持ちがあることが分かっています。これを専門用語で「自己承認欲求(じこしょうにんよっきゅう)」と呼びます。
人間の脳は、だれかに自分の変化やがんばりに気づいてもらうと、暗いステージの上で自分だけに「ピカッ!」と温かいスポットライトが当たったような安心感をおぼえます。
あなたが友達の変化を褒めた瞬間、友達の脳のなかでは「ドーパミン」という「ハッピーな気持ちになれる心の栄養」がパーッとあふれでます。だから、あなたと話すだけで友達はとってもいい気分になれるのです。
2.「あなたのことを大切に思っています」というサインになるから(返報性の原理)
心理学には「返報性(へんほうせい)のルール」というものがあります。これは、「人に優しくされると、自分もその人に優しくしたくなる」という心のはたらきです。
友達のちいさな変化に気づくということは、友達に「わたしはいつも、あなたのことを大切に見ているよ」という見えないメッセージを送っているのと同じです。
メッセージを受け取った友達は、「この人は自分のことを気にかけてくれているんだな」と安心し、あなたのことも同じように大切にしてくれるようになります。こうして、お互いに信頼できる最高の友達関係が生まれていくのです。
クラスで使える!友達の「ちいさな変化」を見つける3つのメガネ
「でも、友達の変化なんて、どうやって見つければいいの?」と迷ってしまう人もいますよね。大丈夫です! 明日から学校で使える「3つの観察メガネ」をコッソリ教えます。
①「見た目」のちいさな変化メガネ
一番わかりやすくて、すぐに褒められるメガネです。友達の全身をパッと見てみましょう。
- 髪型や髪飾り:「髪切った? さっぱりしていいね!」「今日のヘアゴム、リボンがついててかわいいね!」
- 文房具や持ち物:「あ、消しゴム新しくした? そのキャラクター好きなの?」「新しいノート、色が見やすくていいね!」
- 服装や身だしなみ:「今日のハンカチ、おしゃれだね!」「上履き、ピカピカに洗ってあって気持ちがいいね!」
高価なものや珍しいものでなくても構いません。「昨日とちがうところ」を見つけたら、それが褒め言葉のスタートです。
②「行動とがんばり」のちいさな変化メガネ
目に見える持ち物だけでなく、友達が「やっていること」にも注目してみましょう。ここがつかめると、あなたはクラスの「褒め名人」です。
- 係や日直の仕事:「黒板のすみっこまでキレイに消してくれてありがとう!」「プリント配るの、すごく早くて助かったよ!」
- 普段のちょっとした行動:「落ちてたシャープペンの芯、サッと拾ってあげてて優しかったね!」「休み時間から授業へのきりかえ、今日すごく早かったね!」
- お手伝いや配膳:「給食の盛り付け、いつもピッタリ同じ量にできててすごいね!」
誰も見ていないような地味な努力や、親切な行動に気づいてあげると、友達は「えっ、そこまで見ててくれたの!?」と飛び上がるほどうれしくなります。
③「表情と気分」のちいさな変化メガネ
心の中の気持ちに気づいてあげるメガネです。相手の表情をよく見てみましょう。
- うれしそうな時:「テスト返ってきたとき、ニコニコだったね! いい点数だったの?」「今日なんだか楽しそうだね、何かいいことあった?」
- ちょっと疲れている時:「今日、ちょっと眠そう? 体育がんばったもんね」「なんだか少し元気がないみたいだけど、大丈夫?」
悲しそうな気分のときに「大丈夫?」と声をかけるのも、相手の変化に気づいているからこそできる「思いやりの褒め(気遣い)」です。
明日からできる!「褒め上手」になれる魔法の3ステップ
変化を見つけるメガネを手に入れたら、次は友達に伝えるステップです。はずかしがり屋の人でも絶対に失敗しない、簡単な3つのステップを紹介します。
ステップ1:友達の「いつもの姿」をよく見る
変化に気づくためには、まず「いつもの友達」を知っておく必要があります。朝、学校についたら、周りの友達の顔や持ち物をパラパラと眺めてみましょう。「いつもの姿」が頭に入っていると、ちょっとした違いに「あ!」と気づけるようになります。
ステップ2:「気づいたその瞬間」に、ボソッと伝える
わざわざクラス全員の前で大声でいう必要はありません。むしろ、大きな声で言われると恥ずかしくなってしまう友達もいます。
朝の会が始まる前や、移動教室でとなりに並んだとき、休み時間にすれ違ったときなどに、となりに並んでボソッと優しく伝えるのが一番スマートでカッコいい言い方です。
ステップ3:「どこが」「どう良かったか」をセットで話す
ただ「いいね!」と言うよりも、具体的に伝えると説得力がアップします。
× おしい例:「そのペン、いいね。」
○ 魔法の例:「そのペン、青色と緑色の組み合わせがすごくおしゃれでいいね!」
「どこが好きなのか」「どうして良いと思ったのか」をワンセットにして伝えると、あなたの心が言葉に乗って、相手の胸にしっかり届きます。
家でも練習してみよう!家族のちいさな変化を褒める大作戦
「学校で急に友達を褒めるのは、ちょっと緊張するな……」という人は、まずお家で練習してみるのがおすすめです! 家族は最高の練習相手ですよ。
- お母さんへ:「今日のお味噌汁、いつもより具がたくさん入っていてすごく美味しいよ!」「あたらしい服、色がお母さんに似合ってるね!」
- お父さんへ:「お父さん、今日髪の毛セットしててカッコいいね!」「お仕事のおかたづけ、すごく手際がいいね!」
- 兄弟・姉妹へ:「宿題のお習字、線のところがすごく力強くて上手だね!」「おもちゃのおかたづけ、自分からできてすごいや!」
家族のちいさな変化を褒めると、お家の中がパッと明るくなって、お父さんやお母さんもニコニコ笑顔になります。「お小遣いが増えるかも!?」……なんて魔法もあるかもしれませんね。
やってはいけない!おしい「褒めかた」注意報
せっかく友達の変化に気づいたのに、言い方をまちがえると「悪印象」になってしまうことがあります。次の3つには気をつけましょう!
- 「前よりはマシだね」と余計な一言をつける:
せっかく髪型を褒めても、「前のボサボサより全然いいよ!」なんて言ってしまうと相手を傷つけます。前のことと比べず、「今の良さ」だけを伝えましょう。 - 思ってもいないのにウソで褒める:
心の中で「変だな」と思っているのに無理に褒めると、相手にウソだとバレてしまいます。心から「あ、いいな」「すごいな」と思ったことだけを言葉にしましょう。 - コンプレックス(気にしていること)には触れない:
背が急に伸びたことや、体型のことなどを気にしている友達もいます。体にまつわる変化は、相手が嫌がることもあるので、持ち物や行動、がんばりを褒めるのが安全で優しいルールです。
明日、学校でチャレンジしてみよう!
友達のちいさな変化に気づく人は、クラスに「安心」と「笑顔」を広げる魔法使いです。
あなたが声をかけたその一言で、友達は今日という一日をハッピーな気持ちで過ごすことができます。そして、気づけばあなたの周りには、あなたを大好きな友達がたくさん集まっているはずです。
明日、学校の門をくぐったら、まずは一番近くにいる友達をじっくり見てみましょう。
「あ、消しゴムが変わったかな?」「黒板をキレイに消してくれたな」
小さな宝物のような変化を見つけたら、ニッコリ笑って声をかけてみてくださいね。あなたのその一言から、新しい素敵な友情が動き出しますよ!