「あ、落ちた!」そのしゅんかん、クラスの全員があなたを見ている?
しんと静まりかえったテスト中や、先生が黒板に大切な文字を書いている授業中。あなたの机から、お気に入りの消しゴムが「コトッ」と音を立てて床に落ちました。あなたなら、そのときどうしますか?
「授業中だし、先生に見つかると恥ずかしいから、あとで拾おう」
「となりの子の足の近くまで転がっちゃったから、授業が終わるまで見ないふりをしよう」
そんなふうに思って、落ちた消しゴムをそのままにしておいた経験は、だれにでもあるはずです。でも、実はこの「消しゴムが落ちたしゅんかん」こそ、あなたがクラスで「一緒にいて安心できる、感じがいい人」になれるかどうかの、大きな分かれ道なのです。
「えっ? たかが消しゴムが落ちただけで、そんな大げさな!」と思うかもしれません。しかし、人間の心と頭の仕組み(心理学や、のうの科学)を調べてみると、この「落ちた消しゴムをすぐに拾うかどうか」が、周りの友達にとても大きな影響を与えていることがわかっています。あなたが何気なくしているその行動が、クラスの友達をホッとさせたり、逆にイライラさせてしまったりしているのです。
のうの科学でわかる!「落ちたもの」が気になってしまう人間のヒミツ
なぜ、教室で消しゴムが落ちると、みんながそちらを見てしまうのでしょうか。それは、みんなが意地悪だからでも、あなたの邪魔をしたいからでもありません。人間の「のう(脳)」には、生まれつき「動くものや、いつもと違う音に、どうしても反応してしまう」という特別なセンサーがついているからです。
大昔、人間がまだジャングルで暮らしていたころ、草むらが「ガサガサッ」と揺れたり、何かが「コツン」と落ちたりしたとき、すぐにそちらを向かないと、ライオンなどの危険な動物に襲われてしまいました。そのため、人間ののうは、静かな場所で突然音がしたり、何かが動いたりすると、自動的に「あそこに何があるんだろう?」と注目するように作られているのです。
つまり、授業中にあなたの消しゴムが床に落ちたしゅんかん、クラスの友達全員ののうのセンサーが「ピピピッ!」と反応しています。友達は授業に集中しようと思っているのに、あなたの消しゴムに、一瞬だけ心をうばわれてしまうのです。
そして、ここからがとても大切なポイントです。もし、あなたがその消しゴムをすぐに拾わないで、そのままにしておいたらどうなるでしょうか?
友達ののうのセンサーは、「落ちた消しゴムが、まだそこにある」ということを、ずっと気にし続けてしまいます。
「いつ拾うんだろう?」
「足でふんじゃったらどうしよう」
「授業の邪魔だな」
このように、友達の頭の中に小さな「モヤモヤ(ストレス)」が生まれ、それが消えないまま残り続けてしまうのです。あなたが悪気なく消しゴムを放置しているだけで、周りの人の集中力をうばい、心に小さなイライラをプレゼントしてしまっていることになります。これでは、「感じがいい人」から遠ざかってしまいますよね。
すぐに拾うだけで「安心のバリア」が生まれる心の科学
では逆に、消しゴムが落ちたしゅんかんに、あなたがサッと手を伸ばして、すぐにそれを拾い上げたらどうなるでしょうか?
友達ののうのセンサーは、あなたが消しゴムを拾ったのを見て、「あ、問題が解決した。もう安心だ」と判断します。そして、すぐにまた先生の話やノートを取ることに、頭を切り替えることができるのです。
心の科学(心理学)では、自分の周りの環境がいつも通りで、安全だと感じられる状態のことを「心理的安全性(しんりてきあんぜんせい)」と呼びます。簡単にいうと、「ここにいれば、嫌なことが起きないから安心だな」と思える気持ちのことです。
あなたが自分の消しゴムをすぐに拾うことは、クラスの中にこの「安心のバリア」を作るお手伝いになります。周りの友達に対して、言葉を使わずに、このようなメッセージを送っているのと同じなのです。
「私のせいで音を立ててごめんね。でも、もう拾ったから大丈夫だよ。安心して授業を続けてね!」
このメッセージを受け取った友達は、無意識のうちにあなたに対して「この人と一緒にいると、なんだか落ち着くな」「安心できるな」という、とても良い印象(好印象)を持つようになります。これこそが、クラスで自然と好かれる人が持っている「魔法のルール」なのです。
クラスで本当によくある「もったいない」3つのパターン
ここで、学校生活の中でよく見かける、友達に「モヤモヤ」を与えてしまうもったいないパターンを紹介します。あなたも、こんな行動をしてしまっていませんか?
- パターン①:「あとで拾えばいいや」と、めんどくさがって放置する
「次の休み時間まで、あと10分だし、そのままでいいや」と、足元に消しゴムを転がしたままにするパターンです。これは周りの人から見ると、「だらしないな」「物を大切にしない人だな」という印象になってしまいます。さらに、となりの席の人がうっかり踏んでしまい、消しゴムが汚れたり、友達がすべって転びそうになったりする危険もあります。 - パターン②:となりの席の人の足元に転がってしまい、気まずくて見ないふりをする
自分の消しゴムが、となりの席の男の子や女の子の足元まで転がっていってしまったとき、恥ずかしくて、わざと気づかないふりをしてしまうパターンです。となりの席の友達は、「落ちているのはわかっているけれど、勝手に触ったら怒られるかな」「でも、足元にあって邪魔だな」と、あなた以上に気まずい思いをすることになります。 - パターン③:授業に集中しているアピールをしたくて、わざと無視する
「私は今、真剣に勉強しています!」というところを先生に見せたくて、消しゴムが落ちた音を聞こえないふりをして、ノートを書き続けるパターンです。これは一見、がんばっているように見えますが、周りの人からは「自分のことしか考えていない、冷たい人」に見えてしまうことがあります。本当に勉強ができる人は、自分の周りのことにもしっかり気を配れる人です。
明日からできる!「感じがいい人」の消しゴムキャッチ&レスキュー
それでは、明日から学校で実践できる、クラスの友達から「あの子、なんだか素敵だな!」と思われるための、具体的な3つのステップを紹介します。この通りにやるだけで、あなたの「感じのよさ」は一気にアップしますよ!
ステップ①:落ちたら「1秒以内」に動く!「スピードスター作戦」
消しゴムが落ちたら、恥ずかしがったり、迷ったりする時間は必要ありません。「あ、落ちた」と思ったしゅんかん、1秒以内にサッと体を動かして拾いましょう。
早く拾えば拾うほど、消しゴムが遠くへ転がっていくのを防ぐことができます。また、周りの友達ののうが「何が起きたんだろう?」と反応しきる前に片付けることができるので、クラスの集中力をまったく乱さずにすみます。すばやく動くあなたの姿は、周りから見てとてもスマートで、かっこよく映りますよ。
ステップ②:となりの人の席にいったら「アイコンタクト」と「小さなごめんね」
もしも、消しゴムがとなりの席の人のエリア(机の下や足元)まで転がっていってしまったら、ここが最大のチャンスです!
人間の心には、自分の周りのスペースを「自分のなわばり(パーソナルスペース)」と感じる仕組みがあります。そのため、いくら自分の消しゴムだからといって、だまってとなりの人の足元に手を伸ばすと、相手は少しだけ「びっくり」したり、嫌な気持ちになったりします。
そこで、手を伸ばす前に、となりの友達と「アイコンタクト(目を合わせること)」をしましょう。そして、声は出さずに、口の形だけで「ごめんね」と言ったり、ペコリと小さく頭を下げたりしながら、手を伸ばして拾います。
拾い終わったら、もう一度目を見て、小さく「ありがとう」と微笑みましょう。
このほんの少しの思いやりがあるだけで、となりの友達は「自分の場所を大切にしてくれた」「ていねいな人だな」と感じ、あなたに対してとても温かい気持ちになります。気まずい瞬間が、一瞬で「仲良くなれるチャンス」に変わるのです。
ステップ③:拾ったあとは「机のまんなか」に避難させる
せっかくサッと拾っても、またすぐに机の端っこに置いて、何度も落としてしまっては意味がありません。何度も同じ音が響くと、クラスの友達も「またか……」とあきれてしまいます。
拾った消しゴムは、机の端ではなく、「机のまんなか」や「筆箱(ふでばこ)の中」など、絶対に落ちない安全な場所に避難(ひなん)させましょう。
自分の持ち物をしっかりとコントロールできている人は、周りの人から「落ち着きがあって、信頼できる人」という素晴らしい印象を持たれます。
おまけ:もしも友達の消しゴムが落ちたら?「スーパーヒーローになれる瞬間」
ここまでは、自分の消しゴムが落ちたときのお話をしてきましたが、最後に、もっとクラスで人気者になれる「とっておきの裏ワザ」をお教えします。
もしも、となりの席の友達や、近くの席の友達の消しゴムが、あなたの足元に転がってきたらどうしますか?
そんなときは、迷わずサッと拾って、「はい、どうぞ」と笑顔で渡してあげましょう。
心の科学には「返報性の法則(へんぽうせいのほうそく)」というルールがあります。これは、「人から親切にされたら、自分もその人に親切をお返ししたくなる」という、人間の素敵な心の仕組みです。
あなたが友達の消しゴムをサッと拾ってあげるだけで、その友達は「助かったな、嬉しいな」と感じ、今度はあなたが困っているときに、絶対に助けてくれるようになります。
「消しゴムが落ちる」という、学校生活の何気ない小さな出来事は、実はクラスの中にたくさんの「ありがとう」と「思いやり」を増やすための、魔法のきっかけなのです。
さあ、明日の授業中、もしも「コトッ」と音が聞こえたら、あなたの優しさとスマートさを見せるチャンスです。ワクワクしながら、サッと動く準備をしておいてくださいね!