自分の話ばかりせず相手にも話題を振る

📖 『「感じがいい人」になれる!クラスで好かれる50の魔法のルール』
ー 第1章:友達との距離がグッと縮まる「あいさつと会話」の習慣 ー
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自分の話ばかりせず相手にも話題を振る
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自分の話ばかりせず、相手にもパスをまわそう!

学校の休み時間、大好きな友達とおしゃべりをするのは、とっても楽しい時間ですよね。ゲームのこと、アニメのこと、昨日あったおもしろい出来事……。話したいことが山ほどあって、胸がワクワクしてくるはずです。

でも、ちょっとだけ立ち止まって、思い出してみてください。あなたが一生懸命に話しているとき、目の前にいる友達はどんな表情をしていますか?

「うん、うん」とニコニコしながら聞いてくれていますか? それとも、少しだけ退屈そうに、地面を見つめたり、ほかの場所をキョロキョロ見たりしているでしょうか。

もし後者だとしたら、もしかするとあなたは、知らず知らずのうちに「自分だけのワンマンショー」を開いてしまっているのかもしれません。会話は、ひとりだけでおこなうサッカーのドリブルではありません。みんなでボールをパスし合う「キャッチボール」や「パスまわし」と同じなのです。

今回は、友達から「この人と話していると、すごく楽しい!」と一瞬で思ってもらえるような、おしゃべりの魔法のルールをお話しします。明日からすぐにクラスで使える、とっておきのテクニックですよ!

会話は「言葉のキャッチボール」。でも、どうして自分の話ばかりになっちゃうの?

私たちは、自分の好きなことや、がんばったこと、うれしかったことがあると、どうしても「誰かに聞いてほしい!」という気持ちになります。これは、人間の心として、とても自然なことです。脳科学のせかいでも、自分のことを話すとき、人間の脳は「ごほうびをもらったとき」と同じくらい、ハッピーな状態になることがわかっています。だから、自分の話をするのは、とっても気持ちがいいことなのです。

しかし、ここに大きな落とし穴があります。あなたが「気持ちいい!」と感じておしゃべりを続けているとき、お話を聞いている友達の脳は、すこし退屈しているかもしれないのです。

大学などで研究されている「語用論(ごようろん)」という、言葉の使い方やコミュニケーションのルールを調べる学問があります。この学問のなかに、とても有名な「会話の協調の原理(きょうちょうのげんり)」というきまりがあります。すこし難しい言葉ですが、かんたんに言うと「おしゃべりをするときは、お互いに協力し合って、ちょうどいいバランスにしようね」という約束事です。

このルールには、いくつかの大切なポイントがあります。

  • 量のルール:しゃべりすぎず、少なすぎず、ちょうどいい量だけ話すこと。
  • 関係のルール:今、みんなで話しているテーマに関係のある話をすること。
  • 様態(ようたい)のルール:相手にわかりやすく、順番を守って話すこと。

自分の話ばかりをずっと続けてしまうのは、このなかの「量のルール」をやぶってしまっている状態です。相手にボール(話す順番)を返さずに、自分だけでずっとボールを抱え込んでいるようなものです。これでは、相手はキャッチボールに参加できず、ただ見ているだけになってしまいますよね。だから、だんだんとつまらなくなってしまうのです。

あなたはやっていない?クラスの「おしゃべりドロボー」

ここで、学校生活でよくある、2つの場面を見てみましょう。悪気はなくても、やってしまいがちな「おしゃべりドロボー」の瞬間です。

【場面①】休み時間のゲームの話題

友達のたかし君が、うれしそうな顔であなたに話しかけてきました。
「ねえねえ!昨日、お父さんに新しいゲームを買ってもらったんだ!ずっとほしかったやつでさ……」

ここで、あなたならどう返事をしますか?
「あ、それ俺も持ってる!俺なんかもう全クリアしたし、裏ボスも倒したよ。あの裏ボスってさあ、めちゃくちゃ強くて、こういう武器を使わないと倒せないんだよね。それでね……」

……どうでしょうか。たかし君は、自分がゲームを買ってもらって「うれしかった気持ち」を話したかったのに、あなたがその話題を奪って、自分の自慢話にしてしまいました。これでは、たかし君は「あ、そうなんだ……」と言うしかなくなり、心がしぼんでしまいます。これが「おしゃべりドロボー」です。

【場面②】係活動の話し合い

あなたはクラスの「新聞係」です。次の壁新聞にどんな記事を書くか、みんなで話し合っています。
「絶対にクイズコーナーがいい!だってクイズはおもしろいし、僕クイズの本たくさん持ってるから、僕が問題を作るね!あとね、なぞなぞも入れたらいいと思うんだ。みんなはどう思う?」

最後に「みんなはどう思う?」と聞いてはいますが、自分のやりたいことや、自分の持っている本のことを一気にしゃべりすぎてしまいました。これでは、周りの友達は「もう全部決まっちゃってるじゃん……」と感じてしまい、意見を言いづらくなってしまいます。

こうした「おしゃべりドロボー」をくり返していると、周りの人から「あの人と話しても、自分の話ばかりでつまらないな」「私の話は聞いてくれないんだな」と思われてしまい、すこしずつ人が離れていってしまうのです。

社会言語学から学ぶ!「ターン・テイキング(順番こ)」のまほう

では、どうすれば「感じがいい人」になれるのでしょうか。ここで役に立つのが、人と社会のつながりと言葉の関係を研究する「社会言語学(しゃかいげんごがく)」の考え方です。

社会言語学では、会話のなかで話す人が入れ替わることを「ターン・テイキング(話者交代)」と呼びます。これは、公園のブランコを「順番こ」で使うのと同じです。「1、2、3……10、はい、交代!」と交代するように、会話でも「自分のターン」が終わったら、自然に「相手のターン」へバトンをわたす必要があります。

感じがいい人は、この「ターン・テイキング」がものすごく上手です。自分の話をする時間は短めにして、すぐに相手にパスをだします。そのための魔法のテクニックが「パス出し質問」です。

パス出し質問とは、自分の話をすこしだけ話したあとに、「〇〇ちゃんはどう?」と、相手に主役の座をゆずる質問のことです。これを使うだけで、会話のキャッチボールは驚くほどスムーズに、そして楽しくまわり始めます。

明日からできる!「パス出し質問」の3つのコツ

「パス出し質問」をマスターするために、次の3つのコツを覚えておきましょう。明日、学校についたらすぐに試せる簡単な方法です。

  • コツ①:相手の言葉を「オウム返し」してから、自分の話を少しだけする
    相手が「昨日、家族でカレーを食べたんだ」と言ったら、まずは「いいな、カレー食べたんだね!」と、相手の言葉をそのままくり返します(これをオウム返しと言います)。そのあとに「うちは一昨日カレーだったよ」と自分の話を一言だけして、すぐにパスを出します。
  • コツ②:「はい」「いいえ」で終わらない質問(オープン・クエスチョン)をする
    「カレーは好き?」と聞くと、相手は「うん、好きだよ」としか答えられず、キャッチボールが止まってしまいます。そうではなく、「カレーの具は何が一番好き?」や「トッピングは何にする?」というように、相手が自由に言葉を返せる質問(オープン・クエスチョン)をしてみましょう。
  • コツ③:相手の「目のキラキラ」を見逃さない
    友達が話しているとき、何について話しているときに一番目がキラキラしているか、声が弾んでいるかをよく観察してください。その「キラキラしている部分」について、「それってどういうこと?もっと教えて!」と質問を投げかけると、相手は最高にうれしい気持ちになります。

この3つのコツを使うと、おしゃべりの黄金バランスである「自分3:相手7」が自然にできあがります。自分が話すのは3割だけ。残りの7割は、相手に気持ちよく話してもらう時間にするのです。すると、友達は「あなたと話していると、自分のことをたくさん知ってもらえて、すごくうれしい!」と感じるようになります。

お家のごはんの時間にできる!「きく・はなす」のトレーニング

この魔法のルールは、学校だけでなく、お家でも簡単に練習することができます。一番おすすめの練習場所は、家族で囲む「夕飯(ゆうはん)のテーブル」です。

お母さんやお父さん、きょうだいが席についたら、まずはあなたから、元気よく「パス出し質問」をしてみましょう。

「お母さん、今日のお仕事はどうだった? 楽しかった?」
「お兄ちゃん、今日の部活、何かいいことあった?」

こうやって質問をすると、家族はきっとうれしそうに、今日の出来事を話してくれるはずです。家族が話してくれたら、しっかりと目を見て「へえ、そうなんだ!」「それはすごかったね!」と相づちを打ちます。自分の学校の出来事を話すのは、そのあとです。家族の話をしっかり聞いてから、「実は、僕も今日ね……」と話し始めてみてください。

また、お家のお手伝いをするときも練習のチャンスです。お皿洗いや、お部屋の片づけをするときに、「これ、どこに置いたら使いやすいかな?」「次は何を手伝ったらいい?」と、相手の意見を聞く質問をしてみましょう。相手の気持ちを考えて行動する練習になり、お家の人からも「気がきくね!」と、たくさん褒められるようになりますよ。

クラスの人気者になれる!魔法のセリフ集

最後に、明日から学校のいろいろな場面で使える、具体的な「魔法のセリフ」を紹介します。そのまま使うだけで、あなたの「感じのよさ」がクラス中に伝わります!

【休み時間に、友達が新しい文房具を持っていたとき】

「わあ、その消しゴム、形がすごくおもしろいね! どこで見つけたの?」
(相手の持ち物をほめて、さらに「どこで」という質問のパスをだします)

【係の仕事で、意見がわかれたとき】

「私は〇〇がいいと思うんだけど、みんなの意見も聞きたいな。〇〇君は、どういうのがいいと思う?」
(自分の意見を短く言ったあと、すぐに友達の名前を呼んでパスをだします)

【友達が、テストでいい点を取ったと教えてくれたとき】

「すごい!100点じゃん! めちゃくちゃがんばったんだね。どうやって勉強したの? コツを教えてほしいな!」
(相手のがんばりを全力で拍手し、相手を「先生」にして質問をします)

会話は、お互いの心を通わせるための、世界で一番素敵な道具です。自分ばかりが楽しむのではなく、目の前の友達にも「楽しんでもらう」という優しい気持ちを持つこと。それこそが、語用論や社会言語学が教えてくれる、一番大切なコミュニケーションのヒミツなのです。

さあ、明日の朝、教室に入ったら、まずは近くにいる友達に笑顔で話しかけてみましょう。そして、あなたの素敵なパスで、クラスのみんなを笑顔の主役に変えてあげてくださいね!

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