話の途中でさえぎらない――それが「聞き上手」への第一歩
休み時間に、友達が「昨日ね、すっごくおもしろいことがあってさ!」と、目をキラキラさせて話しかけてくれたときのこと。あなたなら、どうしますか?
「あ!それ知ってる!」「ぼくも昨日ね!」と、つい自分の話をかぶせてしまったことはありませんか?実はその瞬間、相手の心の中では、小さな「がっかり」が生まれているかもしれません。
「もっと話を聞いてほしかったな」「私の話はつまらないのかな?」そんなふうに思わせてしまうと、せっかくの楽しい時間が台無しになってしまいます。クラスでいちばん人気がある子は、みんな「最後まで聞く力」という魔法を持っています。
脳は「さえぎられる」とシャッターを下ろす
なぜ、相手の話を途中で止めてはいけないのでしょうか。これには、私たちの脳の仕組みが大きく関係しています。
脳科学の世界では、人が何かを話しているとき、その人の脳は「自分の考えを言葉にする」という、とってもエネルギーを使う作業をフル回転で行っていると考えられています。たとえるなら、頭の中に「言葉のパズル」を組み立てているような状態です。
そこに、あなたが「あ、それ知ってる!」と割り込んでしまうとどうなるでしょう?せっかく組み立てていた「言葉のパズル」が、バラバラに崩れてしまいますよね。脳は、せっかくの楽しい気持ちが邪魔されたと感じて、「もう話すのはやめよう」と、心のシャッターをガラガラと閉じてしまうのです。
一方で、最後までしっかりと話を聞いてもらうと、脳は「自分のことを大切に扱ってくれた!」と喜びを感じます。すると、相手はもっとあなたを信頼し、「この子ともっと話したい!」と思うようになります。これが、人気者になるための脳のメカニズムなのです。
「語用論(ごようろん)」で考える、言葉のルール
ことばの使い方を研究する「語用論」という学問では、会話を「キャッチボール」にたとえます。ボールを投げる人(話し手)と、キャッチする人(聞き手)がいて、初めて会話は成立します。
あなたが話の途中でさえぎってしまうのは、相手が投げようとしているボールを、空中で奪い取ってしまうようなもの。これでは、キャッチボールになりませんよね。
「話の途中でさえぎらない」ということは、相手のボールを最後までしっかりと受け止めるという、会話の基本ルールを守るということ。このルールを守るだけで、あなたは「この子と話すと、なんだか気持ちがいいな」と思われる存在になれるのです。
明日からできる「聞き方の魔法」3つのステップ
では、具体的にどうすれば「聞き上手」になれるのでしょうか。明日、学校で試せる簡単なコツを紹介します。
- 「3秒ルール」を自分に課す
相手の話が終わったあと、すぐに話し出さず、心の中で「1、2、3」と数えてみましょう。この3秒の間に、相手は「まだ何か言い足りないことはないかな?」と考える余裕が生まれます。あなたが待ってくれることで、相手は安心して最後まで話すことができます。 - 「あいづち」で受け止める
話を聞いている間は、「うんうん」「へぇー!」「それでどうなったの?」と、小さなボールを投げ返してあげてください。これは「あなたの話をちゃんと聞いているよ」というサインです。言葉をさえぎるのではなく、言葉の橋渡しをしてあげるイメージです。 - 「質問」は最後にとっておく
「ここはどういうこと?」と聞きたくなっても、ぐっとこらえて最後まで聞きましょう。話の最後に「それって、つまりこういうこと?」と聞き返すと、相手は「わかってくれた!」と感動してくれます。
係活動やグループワークで試してみよう
たとえば、係の話し合いのとき。意見を言っている子の話をさえぎって、「ぼくはそう思わない!」と言いたくなることもあるかもしれません。でも、そこをぐっとこらえて最後まで聞いてみてください。
「最後まで言いたいことを言わせてくれた」という事実は、相手にとって大きな安心感になります。そのあとに、「なるほどね。ぼくはこう思うんだけど、どうかな?」と伝えると、相手もあなたの意見をしっかりと聞いてくれるようになります。
人の話をさえぎらないことは、相手を尊重するということです。相手を尊重する人は、必ず周りから大切にされます。あなたが相手の話を大切に扱うとき、相手もまた、あなたの話を大切にしてくれるようになるのです。
今日から、誰かが話しているとき、頭の中に「信号機」をイメージしてみてください。相手が話している間は「赤信号」。止まって、じっと待つ。相手の話が終わって、あなたが3秒数えたら「青信号」。そこから、あなたの番です。
この小さな習慣が、あなたの学校生活を、もっともっと輝くものに変えてくれるはずですよ。