学校の朝、こんなことになっていない?
朝、学校のげた箱に入ったときや、教室のドアをあけたときのことです。友だちや先生に、こんなあいさつをしていないでしょうか。
- うつむいたまま、「おはようございまーす」と机に向かう
- 黒板のほうを向いたまま、「あ、おはよう」と言う
- スマホやマンガに夢中になっているお母さんに、背中を向けたまま「いってきまーす」と言う
心当たりがある人は、ちょっとドキッとしたかもしれませんね。でも、安心してください。きょうからこのページを読めば、あなたの朝はまるで魔法にかかったように、パッと明るく生まれ変わります。
きみは、「人に好かれる子」と聞いて、どんな姿をそうぞうしますか? 足が速い子? おもしろいギャグを言う子? 勉強ができる子?
ちがいます。実は、クラスでみんなから愛され、だれとでもすぐに仲よくなれる子の一番のひみつは、とってもシンプル。それは「自分から、きもちのいいたましいあいさつができること」なのです。
「えっ、それだけ? そんなの毎日やっているよ」と思ったかもしれませんね。でも、ちょっとまってください。ただ「おはよう」と言っているだけでは、じつは半分ももったいないことをしているのです。
この章では、まわりの人を一瞬でハッピーにして、あなた自身のまわりに「大好きオーマン」をまとわせるための、とっておきの魔法を伝授します。その名も「相手の目を見て、名前を呼んであいさつする」大作戦です!
ただの「おはよう」じゃもったいない! 言葉のプロが教えるひみつ
「どうして目を見たり、名前を呼んだりするだけで、そんなに仲よくなれるの?」
そう思いますよね。ここで少しだけ、むずかしい言葉の科学のお話をしましょう。大学などで勉強されている「社会言語学(しゃかいげんごがく)」という、言葉と人間関係のふしぎを研究する学問があります。
社会言語学では、人間が言葉をかわすとき、「ただ情報をやりとりしているだけではない」と考えます。言葉とは、いわば「わたしたちは仲よしですよ」と確かめ合うための特別なスキンシップなのです。
ためしに、次の2つの場面をそうぞうしてください。
- Aくん:うつむいたまま、教室全体に向けて「おはよー」とつぶやく。
- Bくん:クラスの入り口で立ち止まり、あなたと目をあわせて、「〇〇ちゃん、おはよう!」と笑顔で言う。
どちらを言われたほうが、「あ、この人はわたしを見てくれているんだな」「なんだかうれしいな」と感じますか? まちがいなく、Bくんですよね。
社会言語学の考え方によると、人間の脳は、自分に向かって発せられたサイン(めがね、声、そして「名前」)をキャッチしたとき、その相手に対して一瞬で心をひらくようにできています。
相手の目を見ることは、「あなたに心を許していますよ」というサイン。そして、相手の名前を呼ぶことは、「あなたは、その他大勢ではなく、わたしにとって大切な『たった一人のあなた』ですよ」という最高のプレゼントなのです。この2つがそろったあいさつは、どんな高級なプレゼントよりも、相手の心を温かくする魔法の力を持っています。
明日からできる!「魔法のあいさつ」3つのステップ
「でも、なんだか恥ずかしくて、人の目を見るのがこわいな……」
「急に名前を呼んだら、変に思われないかな?」
そんなふうに不安になった人もいるでしょう。大丈夫です。いきなり学校のアイドルや、ちょっと苦手な先生にやろうとしなくていいのです。まずは、学校や家でのちいさな場面から、ゲーム感覚で練習してみましょう。
「魔法のあいさつ」をマスターするための、具体的な3つのステップを紹介します。
ステップ1:まずは「目のあいだ」を見ることから始めよう
人の「目」をまっすぐ見るのって、最初はちょっとドキドキしますよね。まるで、相手のなかに吸い込まれそうな気さえして、目そらしちゃいたくなります。
そんなときは、無理して黒目のあたりをジッと見つめなくてもいいのです。コツは、「相手のまゆげのあいだ(ひたいのあたり)」や「鼻のてっぺん」を見ること。
これ、実は大人の社会でもよく使われているテクニックです。見ているほうは少し気が楽になりますが、相手からは「ちゃんとこっちを見て、あいさつしてくれている!」と感じられます。まずは、朝の教室で、先生や係の相方に「ひたいを見るつもり」であいさつをしてみましょう。
ステップ2:「名前」をあいさつのトッピングにしよう
いつものあいさつに、魔法のスパイスをくわえます。それが「名前」です。
人は、自分の名前を呼ばれると、無意識のうちに「あっ!」と耳をかたむけ、親近感をいだく性質があります(心理学では「カクテルパーティ効果」なんて呼ばれたりもします)。
たとえば、こんなふうに変えてみましょう。
- ふだん:「おはようございます」
- 魔法のあいさつ:「〇〇先生、おはようございます!」
- ふだん:「あ、お疲れ」
- 魔法のあいさつ:「〇〇くん、今日もお疲れ!」
どうですか? 名前が入るだけで、急にその人との距離がギュッと縮まった気がしませんか? クサいセリフだと思わずに、まずは仲のいいお友だちから「名前+おはよう」をためしてみましょう。
ステップ3:家のお手伝いタイムでも使ってみよう
学校だけではなく、おうちでもこの魔法は使えます。家族は、世界で一番身近な人間関係の練習台です。
学校からただいまーと帰ってきたとき、リビングのソファにすわっているお母さんやお父さんに、背中を向けたまま話していませんか?
学校での練習のチャンスだと思って、こう言ってみてください。
「お母さん、ただいま!」と、ちゃんと顔を向けて、目をあわせて言ってみるのです。お母さんはきっと、「おっ、今日はどうしたの?」とうれしそうにびっくりして、いつもより美味しいおやつを出してくれるかもしれませんよ。
「あいさつ」がもたらす最高の奇跡
「相手の目を見て、名前を呼んであいさつする」
言葉にすれば、たったこれだけのシンプルなことです。お金もかからないし、特別な道具もいりません。明日の朝、教室のドアを開けたその瞬間から、だれにだってお金持ちと同じように使えます。
でもね、この魔法を使い始めると、あなたのまわりの世界が、まるで魔法のようにガラリと変わりはじめます。
あなたが目を見て名前を呼んでくれたら、あいさつされた相手はどんな気持ちになるでしょう?
「あ、この子は私のことをちゃんと認めてくれたんだ」
「なんだか今日は、一日いい気分で過ごせそうだな」
そう思って、あなたに優しい笑顔をかえしてくれるはずです。あなたが周りの人に「安心感」と「うれしい気持ち」をプレゼントすると、不思議なことに、その何倍もの温かいエネルギーが、ブーメランのようにあなた自身に戻ってくるのです。
クラスでなんとなく孤立している気がする子も、自分に自信が持てない子も、「自分から目を合わせて名前を呼ぶ」を一日一回やってみるだけでいいのです。それだけで、「あの子はいつも気持ちのいいあいさつをしてくれる素敵な人だ」という評判が、自然とあなたのまわりに広がっていきます。
さあ、カレンダーを見てください。明日も学校がありますね。起きた瞬間から、家族に、そして教室の友達に、最高の笑顔と「目を見て名前を呼ぶあいさつ」を届ける準備はいいですか?
きみが一歩ふみだすその勇気が、だれとでも仲よくなれる、まぶしい未来への第一歩です。明日から、いや、今すぐ、あなたのまわりを温かくする小さな魔法使いになってみましょう!