「あ、それ好きだったよね!」の一言で、魔法がかかる
クラスの休み時間、友達と話しているときに、こんなことを言われた経験はありませんか?
「そういえば〇〇ちゃん、すみっコぐらしの、トカゲが好きだったよね! 新しい文房具見つけたよ」
「〇〇くん、サッカーの〇〇選手が好きって言ってたでしょ? 昨日の試合、すごかったね!」
どうでしょう。自分の「好きなもの」を覚えていてもらえたときって、胸の奥がぽっと温かくなって、とっても嬉しくなりませんか? 「えっ、覚えていてくれたの!?」とびっくりすると同時に、その友達のことが一気に大好きになってしまうはずです。
実は、クラスでみんなから「あの子と話すと楽しいな」「もっと仲良くなりたいな」と思われる愛され上手な子は、みんな「友達の好きなものを覚えておく」という小さな魔法を使っています。
特別なプレゼントをあげたり、面白いギャグを言ったりする必要はありません。ただ、相手が大切にしている「好き」を覚えておくだけ。たったそれだけで、あなたはクラスで一番の「コミュニケーションの達人」になれてしまうのです。
どうして「好きなものを覚えてもらう」と嬉しくなるの?【文化人類学のヒミツ】
でも、どうして人間は、自分の好きなものを覚えてもらうと、こんなに嬉しくなって相手を好きになるのでしょうか? そこには、大昔から人間の中に眠っている「心のルール」があります。
ここで登場するのが「文化人類学(ぶんかいんるいがく)」という学問です。これは、大昔から人間がどのように仲間と協力して、心をつないで生きてきたかを調べる学問です。
今から何万年も前、大昔の人類は、ジャングルや草原で大きな動物から身を守りながら、みんなで協力して暮らしていました。そのころから人間には、とっても大切な本能がありました。それは「自分を仲間として大切にしてくれる人を、自分も大切にする」というルールです。
昔の人たちにとって、仲間の「得意なこと」や「好きな食べもの」を覚えることは、「あなたのことをちゃんと見ていますよ」「あなたは大切な仲間ですよ」という安全のサインでした。自分の好みを覚えてくれている人は、「自分を傷つけない、最高の味方」だと心が判断するのです。
つまり、あなたが友達の好きなものを覚えて伝えることは、相手の心の中に「あなたは僕(私)の特別な仲間だよ!」という温かいメッセージを届けることと同じなのです。
好かれる子がこっそりやっている「心のデータ集め」【統計学のヒミツ】
「でも、クラスのみんなの好きなものを覚えるなんて、頭がよくないとできないんじゃない?」と思うかもしれませんね。ううん、そんなことはありません!
ここで役に立つのが、ふたつめの学問「統計学(とうけいがく)」です。統計学とは、たくさんのデータを集めて整理し、「どうすれば成功しやすいか?」というルールを見つけ出す学問です。
世界中の「人に好かれる人」を集めて調べた統計データ(データ集め)によると、面白いことが分かっています。人気者だからといって、必ずしも話が得意なわけではありません。むしろ「周りの人の小さな情報をたくさん集めている人」ほど、人から好かれる確率が圧倒的に高いというデータが出ているのです!
人気者は、頭の良さで覚えているのではなく、まるで「友達の図鑑」を作るように、楽しんでデータを集めています。
- 「〇〇ちゃんは、給食の揚げパンが好き」
- 「〇〇くんは、雨の日の図書室が好き」
- 「〇〇ちゃんは、柴犬の動画を見るのが好き」
このように、ほんの少しの「好きデータ」をノートや頭の中に集めておくだけで、友達と仲良くなれる確率(統計)がグググッと上がっていきます。データが増えれば増えるほど、あなたは友達にとって「自分のことを一番わかってくれる人」になっていくのです。
今日からできる!「すきメモ」マスターになる3つのステップ
それでは、具体的にどうやって友達の「好き」を見つけて、覚えておけばいいのでしょうか? 明日から学校ですぐに試せる、簡単な3つのステップを紹介します!
ステップ1:休み時間の会話から「きらりワード」を見つける
友達と話しているとき、友達が少しだけ声を弾ませたり、笑顔になったりする瞬間があります。それが「好き」のサイン、「きらりワード」です。
例えば、こんな言葉の中に「きらりワード」が隠れています。
- 「昨日、家で〇〇のYouTube見ちゃった!」(〇〇が好き!)
- 「今日の体育、ドッジボールだから楽しみだな」(ドッジボールが好き!)
- 「この筆箱、色が好きで買ったんだ」(その色がすき!)
- 「おばあちゃん家に行ったら、ネコとあそぶんだ」(ネコが好き!)
相手が楽しそうに話したテーマを、「あ、これがこの子の『好き』なんだな」と心の中でピカッと光らせてみましょう。
ステップ2:おうちで「こっそりメモ」をとってみよう
人の記憶は、時間がたつと忘れてしまうものです。学校から帰ってきたら、連絡帳のすみに書くように、おうちのノートに「こっそりメモ」を書いてみましょう。(おうちの人に見せながら話すのも楽しいですよ!)
【すきメモの書きかた例】
・たなかくん:ルービックキューブ、ドラゴンボール
・さとうさん:いちごのクレープ、イラストを描くこと、水色
・すずきくん:お兄ちゃんとやるゲーム、走ること
メモに書くことで、脳の中にしっかりと友達の顔と「好きなもの」がセットで残ります。家のお手伝い(お皿洗いや洗濯物をたたむとき)をしながら、「今日は〇〇くんがゲーム好きって言ってたな〜」と思い返すのも、すごく良い方法です。
ステップ3:「さりげなく」言葉にして届ける
ここが一番のポイントです! 覚えた「好き」を、会話のなかでさりげなく使ってみましょう。「覚えてたよ!」と自慢するのではなく、ついでに思い出してあげるような優しさが大切です。
例えば、こんな風に使ってみてください。
- 【図書室で】「あ、〇〇ちゃんが好きって言ってた恐竜の図鑑、新しいのが入ってたよ!」
- 【係活動で】「ポスター描くの、〇〇くん黄色が好きだから、黄色の画用紙にする?」
- 【おそうじの時間に】「〇〇ちゃん、折り紙が得意って言ってたよね。この掲示物、畳むの手伝ってくれる?」
自分の好きなものを覚えていてくれたと知った友達は、驚きと嬉しさで、パッと満面の笑顔になるはずです!
学校生活が100倍楽しくなる!シチュエーション別テクニック
友達の「好きなもの」を覚えておくと、学校のあらゆる場面でハッピーなことが起こります。具体的にどんなシチュエーションで使えるか、見てみましょう。
1. 給食の時間
「〇〇くん、今日の献立、大好きなカレーだよ!」「〇〇ちゃん、冷凍みかん好きだったよね、減らしに行くならもらう?」など、食の好みは一番覚えやすくて、会話が弾みやすいチャンスです。
2. 班決めやグループワーク
班で何かを決めるとき、「〇〇ちゃんは絵を描くのが好きだから、イラスト担当はどう?」「〇〇くんは調べるのが好きだから、パソコン係がぴったりじゃない?」と提案してあげましょう。「自分の得意や好きを分かってくれている!」と、班のみんなから感謝されます。
3. お誕生日やイベント
お誕生日に「おめでとう!」と言うときに、「そういえば〇〇ちゃん、チョコが好きだったよね! チョコの折り紙でハート折ってきたよ」と小さなプレゼントを添えてみてください。高価なものじゃなくても、その「気持ち」が一生の宝物になります。
※気をつけるべき「ちいさな注意点」
この魔法を使うときに、ひとつだけ気をつけてほしい「約束」があります。
それは、「相手が嫌がること」や「秘密にしてほしそうなこと」は覚えるメモに入れない、ということです。
「〇〇ちゃんは、テストで間違えた」「〇〇くんは、虫が嫌い」といったネガティブなデータは、あえて忘れてあげるのが本当のやさしさです。覚えるのは、相手が嬉しくなる「ハッピーな好き」だけにしましょうね。
明日、学校に行くのが楽しみになるあなたへ
友達の「好きなもの」を覚えておくこと。それは、相手の心に「あなたは大切な存在だよ」と温かい光をあてることです。
明日学校に行ったら、まずは隣の席の友達や、班の友達の会話に、そっと耳を傾けてみてください。友達がキラキラした目で話している「大好きなもの」は何でしょうか?
それを見つけた瞬間から、あなたと友達をつなぐ新しい絆が生まれ始めます。さあ、明日からあなたも「友達の好き」を集める、最高のトレジャーハンターになって、学校生活をもっともっとワクワクさせていきましょう!