怒っているときは静かな場所へ移動する

📖 『クラスのみんなと仲良く過ごすための「敵をつくらない」10の魔法』
ー 第5章:感情をコントロールしてトラブルを防ぐ ー
\ 毎日がもっと楽しくなる、すべての小学生へ贈るヒント /
怒っているときは静かな場所へ移動する
全 40 ページ中 18 ページ目

イライラバクダンが爆発しそう!そんな経験ないかな?

友達と休み時間にドッヂボールをしていて、「今のアウトだよ!」と強く言われたとき。

掃除の係で、自分は一生懸命やっているのに「ちゃんとお掃除してよ」と疑われたとき。

おうちで宿題をやろうと思っていたのに、おうちの人から「早く宿題しなさい!」と言われてカッとなったとき。

胸のあたりがカーッと熱くなって、頭の中がまっ白になる。そんな「イライラバクダン」が心の中で爆発しそうになること、だれにでもありますよね。

でも、そのあふれ出そうな怒りのままに、「なに言ってるんだよ!」「そっちこそサボってるじゃん!」と言い返してしまうと、どうなるでしょう?

言い争いが大きくなって大ゲンカになったり、周りの友達から「あいつ、すぐに怒るからこわいな」「あいつとは遊びたくないな」と思われてしまったりします。つまり、知らず知らずのうちに「敵」をつくってしまうのです。

本当は、あなたが悪かったわけではないのかもしれません。ただ自分の気持ちを分かってほしかっただけかもしれません。それなのに、カッとなったせいで自分が損をしてしまうなんて、すごくもったいないですよね!

でも、安心してください。怒ってしまうのは、あなたが「悪い子」だからではありません。実はこれ、あなたの「脳(のう)」が起こしている大事件なのです。

今回は、脳の仕組みを使って、一瞬で心を落ち着かせ、絶対に敵をつくらない「静かな場所へワープする魔法」をお伝えします!

脳のなかで何が起きているの?「怒り」のひみつ

なぜ人は、怒ると自分をコントロールできなくなってしまうのでしょうか? そのひみつは、頭の中にある「脳」にあります。脳科学(のうかがく)という学問では、脳の中に2人の住人がいると考えられています。

① 暴れん坊の「怪獣(かいじゅう)アミくん」

脳の奥深くにある「扁桃体(へんとうたい)」という部分は、危険を感じたり、嫌なことがあったりしたときに、一瞬で「キーッ!」と怒り出す暴れん坊です。ここでは、親しみやすく「怪獣アミくん」と呼びましょう。アミくんは、あなたを攻撃から守ろうとして、すぐに「戦え!」「言い返せ!」と命令を出します。

② 頭のいい「物知りハカセ」

おでこの奥にある「前頭前野(ぜんとうぜんや)」という部分は、言葉を考えたり、ガマンしたり、相手の気持ちを想像したりする賢い脳です。ここでは「物知りハカセ」と呼びましょう。ハカセは「落ち着いて話し合おうよ」「ここで怒ったら損するよ」と、正しいアドバイスをしてくれます。

友達から嫌なことを言われた瞬間、脳の中では怪獣アミくんが大暴れを始めます。アミくんのパワーが強すぎると、物知りハカセは吹き飛ばされてしまい、声が届かなくなってしまうのです。これが「カッとなって頭がまっ白になる」という状態です。

では、どうすれば暴れるアミくんを大人しくさせて、物知りハカセを呼び戻すことができるのでしょうか?

脳科学の研究で分かっている一番確実な方法は、「今いる場所から離れて、静かな場所へ移動すること」なのです!

どうして「静かな場所」へ移動すると心が落ち着くの?

怪獣アミくんは、「大きな音」「人混み」「相手の怒った顔や強い声」が大好物です。嫌なことがあった場所にそのまま居続けると、アミくんはどんどんエサを食べて、さらに巨大化して暴れてしまいます。

しかし、静かな場所に移動すると、脳に入ってくる情報(目に見えるものや聞こえる音)が一気に減ります。すると、エサをもらえなくなったアミくんは、すーっとエネルギーが切れて大人しくなっていくのです。

アミくんが静かになれば、物知りハカセが帰ってきます。

「よし、落ち着いたぞ。さっきの件は、後で優しく『さっきはビックリしたよ』って伝えればいいや」と、一番カッコいい解決策をハカセが教えてくれるようになるのです。

学校とおうちで見つけよう!自分だけの「避難基地(ひなんきち)」

怒りを感じたら、怪獣アミくんが暴れ出す前に「静かな場所」へ避難しましょう。学校やおうちの中で、あらかじめ「自分の避難基地」を決めておくと、いざというときに迷わずワープできますよ。

学校の中の「避難基地」おすすめスポット

  • 手洗い場(水場):手を洗ったり、鏡を見たりすることで、さらに脳が冷静になります。
  • 図書室:本がたくさんあり、みんなが静かに過ごす場所なので、アミくんが一瞬でおとなしくなります。
  • 階段の踊り場(おどりば):人があまり通らない静かな踊り場で、外の景色をふーっと眺めてみましょう。
  • トイレの個室:一人になれる最強の小部屋です。鍵をしめて深呼吸するのにピッタリです。
  • 保健室の前:静かで安心できる空気が流れている場所です。

おうちの中の「避難基地」おすすめスポット

  • 自分の部屋:ベッドに横になったり、好きなぬいぐるみを触ったりしてみましょう。
  • トイレ:おうちでもトイレは一人になれる最高の静かな空間です。
  • ベランダや庭:外の風に当たると、脳に酸素がいきわたり、ハカセがすぐに戻ってきます。

今日からできる!「静かな場所へワープする」3つのステップ

それでは、実際にイライラしたときにどう行動すればいいのか、3つのステップで練習してみましょう! 明日学校でトラブルが起きそうになったら、この順番で試してみてくださいね。

ステップ1:自分の身体の「イライラサイン」に気づく

怪獣アミくんが暴れ出す前には、必ず体に合図が出ます。

  • 手がギューッと握りこぶしになっている
  • 奥歯をカチッとかみしめている
  • 心臓がドキドキ速くなっている
  • 顔や耳が熱くなってくる

この変化に気づいたら、「あ! アミくんが出現したぞ!」と心の中で叫びましょう。自分の状態に気づくだけで、物知りハカセが少し目を覚まします。

ステップ2:「合言葉」を言って、その場をそっと離れる

イライラサインを感じたら、すぐに静かな場所へ移動します。でも、何も言わずに急にいなくなると、友達は「なんで急にいなくなるの?」と怒ってしまうかもしれません。

そんなときは、「魔法の合言葉」を使いましょう。

  • 「ちょっとトイレに行ってくるね!」
  • 「ちょっと手を洗ってくる!」
  • 「汗まいちゃったから、ハンカチ取ってくるね」

このように言えば、誰もあなたを責めませんし、自然とその場を離れることができます。

ステップ3:静かな場所で「6秒間」の深呼吸をする

静かな場所にたどり着いたら、怪獣アミくんを完全に眠らせる仕上げです。脳科学では、怒りのピークは「約6秒間」だと言われています。この6秒間をやり過ごせば、怒りの波は必ず小さくなります。

壁や鏡を見ながら、心の中でゆっくり数をかぞえましょう。

「鼻から息を吸って〜(3秒)」
「口から細く長く吐き出す〜(6秒)」

これを2〜3回繰り返すと、体の力が抜けていくのが分かります。おでこの奥で物知りハカセが「もう大丈夫だよ」と微笑んでいるはずです。

こんなときどうする?学校のシチュエーション別テクニック

学校生活でよくある場面で、この魔法をどう使えばいいのか、具体例を見ていきましょう。

【場面1】ドッヂボールで「当たった!」「当たってない!」の言い合いになったとき

× ダメな対応:「当たってないし! お前こそずるいよ!」と怒鳴り散らす。
(アミくん同士が激突して、大ゲンカになり、周りからも「乱暴な人」と思われる)

〇 魔法の対応:胸がカッと熱くなったら、「タイム! ちょっとお水飲んでくる」と言って水飲み場へ行く。冷たい水で手を洗い、深呼吸を6秒。
戻ってきたら、物知りハカセの声に従って「さっきは熱くなっちゃった。もう一回やり直そうか!」と笑って言えるようになる。

【場面2】係の仕事で、自分ばかり大変な役目を押し付けられたとき

× ダメな対応:「なんで私ばっかり! もうやらない!」とプリントを叩きつける。
(クラスの雰囲気が悪くなり、係の仕事が進まなくなってしまう)

〇 魔法の対応:「ちょっとトイレ行ってくるね」と言って個室へ入る。静かな空間で「なんで私だけなんだろう?」という気持ちを整理する。
戻ってきたら、落ち着いた声で「ねえ、この作業大変だから、半分こして手伝ってくれない?」と冷静にお願いができる。

【場面3】家でお手伝いを頼まれて、イラッとしたとき

× ダメな対応:「いまやろうと思ってたのに! うるさいな!」とドアをバタンと閉める。
(おうちの人も怒って、お互いに嫌な気持ちで一日を過ごすことになる)

〇 魔法の対応:何も言い返さずに、一度自分の部屋へ行く。ベッドの上で深呼吸を3回。
アミくんが静まったらリビングに戻り、「さっきはイラッとしちゃってごめんね。今からお皿洗い手伝うね」と言える。おうちの人も「大人だなあ」と感心してくれます。

静かな場所から戻ってきたら…「敵をつくらない」最強の魔法

静かな場所へ移動して、心を落ち着かせることができたあなた。それだけでもう、クラスの誰よりも自分の心をコントロールできる「心のプロフェッショナル」です。

そして、静かな場所からみんなのところへ戻ったら、最後にこの言葉を添えてみてください。

「さっきは、心がモヤッとしちゃったから、少し頭を冷やしてきたよ。話を聞いてくれる?」

どうでしょうか? こんなセリフを言える小学生がいたら、すごく知的で、カッコいいと思いませんか?

感情にまかせて怒りをぶつける人は、周りに恐怖を与え、敵をつくってしまいます。でも、自分で自分の感情をコントロールし、静かに戻ってこられる人は、周りのみんなから「信頼される人」になれるのです。

怒りを感じることは、恥ずかしいことでも、悪いことでもありません。人間なら当たり前の大切な感情です。

大切なのは、「怒りに振り回されず、静かな場所へ逃げてあげること」

明日、もし学校で胸がカーッと熱くなることがあったら、迷わず心の中で叫んでみてください。

「よし、怪獣アミくんが出たぞ! 静かな場所へワープだ!」

この小さな魔法が、あなたをトラブルから守り、クラスのみんなと笑顔で過ごすための最強の武器になってくれるはずです!

📖 『クラスのみんなと仲良く過ごすための「敵をつくらない」10の魔法』
全 40 ページ中 18 ページ目

タイトルとURLをコピーしました