一人でいる子を遊びに誘う魔法
休み時間、教室のすみっこで一人で本を読んでいる子や、校庭のすみにぽつんと立っている子を見かけたことはありませんか?
「話しかけてみようかな……でも、断られたらどうしよう」
「急に声をかけたら、変に思われないかな?」
そんなふうに思って、素通りしてしまうこともあるかもしれませんね。でも、実はここに、「クラスの中で絶対に敵をつくらない人」になれる、とびきりの秘密がかくされているのです。
一人でいる子に声をかけて、遊びやグループの中に上手に「混ぜて」あげる技術。これを使えるようになると、あなたの周りには自然と笑顔が増え、クラス全体があなたにとって「安心できる最高の場所」に変わっていきます。
今回は、だれでも簡単にできて、明日からすぐに試したくなる「仲間まぜまぜの魔法」をお伝えします!
どうして一人でいる子を誘うと「敵」がなくなるの?
本題に入る前に、少しだけ大人っぽい「世の中の仕組み」のお話をしましょう。
大人の研究(組織社会学という、みんなが集まる場所のルールを調べる学問です)では、面白いことが分かっています。それは、「仲良しグループの中だけで固まっていると、グループの外の人とケンカが起きやすくなる」ということです。
仲良し同士でいつも集まっていると、どうしても「自分たちグループ」と「それ以外の人たち」という見えない「壁」ができてしまいます。壁の向こうにいる人の気持ちが分からなくなると、ちょっとしたことで「あの子、なんだか嫌だな」と勘違いしたり、敵意をもったりしやすくなるのです。
ですが、その見えない壁に「橋」をかける人が一人でもいると、クラスの空気がガラリと変わります。
一人でいる子と、自分のグループ。その二つをつなぐ「橋」に、あなた自身がなるのです。橋が増えれば増えるほど、クラスの壁はなくなっていきます。壁がなくなれば、あなたを嫌う人や、敵になる人は一人もいなくなります。みんなが「あの子はだれにでも優しい、信頼できる人だ」と思うようになるからです。
さあ、クラスの中に素敵な「橋」をかける方法を学んでいきましょう!
魔法①:大げさに誘わない!「軽いパス」のテクニック
一人でいる子を誘うとき、やってしまいがちなのが「ねえ!一人で寂しそうだから、一緒に遊ぼうよ!」と大きな声で言ってしまうことです。
言われた相手は、ちょっとはずかしくなったり、「寂しそうに見えたのかな……」と気にしたりしてしまうことがあります。誘うあなたも、少し緊張してしまいますよね。
そこで使いたいのが、「軽いパス」の魔法です。
サッカーやバスケットボールで、軽い気持ちでポンッとボールを投げるように、小さな言葉をかけてみるのです。
【休み時間の具体例】ドッジボールや鬼ごっこに誘うとき
いきなり「仲間に入って!」と言うのではなく、まずは相手の近くに行って、こんなふうに声をかけてみましょう。
- 「いまからドッジボールやるんだけど、ボール投げるの好き?」
- 「外に行くところなんだけど、一緒にあるいていかない?」
- 「人数がちょうど奇数になっちゃってさ、あと一人いると助かるんだよね!」
ポイントは、相手に「あなたが一人でかわいそうだから」ではなく、「あなたが来てくれると、みんなが嬉しい・助かる」という気持ちを伝えることです。
人は、「助けてほしい」と言われると、心が開きやすくなります。「自分が必要とされているんだ」と感じて、安心してグループに入ることができるのです。
魔法②:二人でやる「係活動・お手伝い」をチャンスにする
「遊びに誘うのは、やっぱりちょっと勇気がいるな……」と思う人は、まず「学校の日常の小さなお仕事」から始めてみましょう。
実は、遊びの場よりも、係活動や日直、掃除の時間などの「やるべきこと」がある時間のほうが、一人でいる子を誘う絶好のチャンスなのです。
【お掃除や係活動の具体例】
掃除の時間、黒板を消したり、重い机を運んだりするときに、ポツンとしている子がいたら、こう言ってみてください。
- 「この大きな机、重いから一緒に運んでくれる?」
- 「花壇のお水やり、ホース持つ人とバケツ運ぶ人でチーム組まない?」
- 「プリント配るの、半分こして配ろうよ!」
家でのお手伝いでも同じです。兄弟やおうちの人と何かをするとき、「これ一緒にやろう!」と言われると、すんなり一緒に動けますよね。
「作業」を一緒にやると、会話が自然に生まれます。「これ、どこに置く?」「あそこだよ」という短いやり取りをするだけで、お互いの心がぐっと近づきます。
一度「一緒にお仕事をした」という経験ができると、次の休み時間に「さっきはありがとう!今からなにして遊ぶ?」と、すごく自然に誘えるようになりますよ。
魔法③:自分のグループの友達にも「安心」をプレゼントする
一人でいる子を自分のグループに誘うとき、もう一つ気をつけることがあります。それは、「もともと一緒にいた友達」の気持ちです。
あなたが急に一人でいる子を連れてくると、仲良しの友達が「えっ、急にどうしたの?」とびっくりしたり、気まずい雰囲気になったりすることがあります。
組織社会学では、みんなが納得して新しいメンバーを受け入れる状態を「インクルージョン(包み込むこと)」と呼びます。これを成功させるには、もともといる友達にも「安心」をプレゼントしてあげることが大切です。
【グループの友達への魔法のひとこと】
新しい子を連れてくる前に、または連れてくるときに、友達にこう伝えましょう。
- 「○○ちゃん、ドッジボールめちゃくちゃ上手なんだって!一緒にやろうよ!」
- 「あと一人入ってくれたら、チームの人数がピッタリになって面白くなるよ!」
- 「〇〇くんも一緒にやったほうが、みんなでワイワイできて絶対楽しいよ!」
このように、「新しい子が入ることで、自分たちにとっても良いことがある」という理由をひと言添えてあげるのです。
すると、グループの友達も「いいね!やろうやろう!」と笑顔で迎え入れることができます。誘われた子も、あたたかく迎え入れられたことで、「このグループにいていいんだ」と心から安心できます。
もし断られたら?「大人の心」で対応しよう
勇気を出して声をかけたのに、「ううん、今日はいいや」「一人で本を読みたいから」と断られてしまうこともあるかもしれません。
そんなとき、「せっかく誘ったのに……」「嫌われちゃったのかな」と落ち込む必要はまったくありません!
人はだれでも、「一人で静かに過ごしたい気分の日」があります。読んでいる本がすごく面白くて、続きをどうしても読みたいときだってありますよね。
もし断られたら、にっこり笑ってこう言いましょう。
「そっか!じゃあ、また今度あそぼうね!」
これだけで100点満点です!
相手は「自分の気持ちを尊重してくれた」「断っても怒らない優しい人だな」と感じます。それだけで、あなたに対する信頼は一気に跳ね上がります。
「誘って断られたこと」は、失敗ではありません。「あなたに優しく声をかけた」という事実が、相手の心の中に温かい思い出としてしっかりと残るのです。
明日から使える!一人でいる子を「混ぜる」3つのステップ
それでは、明日学校に行ったらすぐにできる、秘密の3ステップをおさらいしましょう!
ステップ1:朝の読書タイムや放課後に「チラ見チェック」
まずは、クラスの中で一人でいる子や、少し退屈そうにしている子がいないか、優しく観察してみましょう。「あ、あの子いま一人だな」と気づくことが第一歩です。
ステップ2:「小さな用事」をつくって声をかける
「休み時間、一緒にあそぼう」でもいいですし、「プリント配るのを手伝って!」「一緒に体育館に行こう」でもOK。小さな用事という「パス」を投げてみましょう。
ステップ3:みんなに「○○さんも一緒だよ!」と笑顔で紹介する
自分のグループに合流したら、「○○さんも一緒にやるともっと楽しいよ!」と明るくみんなに伝えましょう。これで、クラスの中に素敵な「橋」が一本完成します!
「仲間を混ぜる魔法」が、あなたをクラスの主人公にする
クラスの中で一人でいる子に声をかけるのは、最初はほんの少しだけ勇気がいるかもしれません。
でも、思い出してください。あなたがかけたその小さなひと言は、一人でいた子の心をパッと明るく照らす、本物の魔法になります。
そして、いろいろな人をグループの中に上手に「混ぜる」ことができる人は、クラスのみんなから深く信頼され、だれからも愛されるようになります。敵をつくろうにも、あなたの優しさにみんながファンになってしまうからです。
さあ、明日の休み時間。教室を見回して、小さな「橋」を架ける冒険に出かけてみませんか?