なぜ「あいさつ」で敵が消えちゃうの?
朝、学校のくつ箱で友達に会ったとき、どんなふうにあいさつをしていますか?
「おはよう」と口のなかでゴニョゴニョ言ったり、下を向いたまま通り過ぎたりしていませんか? もしかしたら、「相手が何も言ってこないから、自分からも言わなくていいや」なんて思っているかもしれませんね。
でも、ちょっと待ってください! じつは、この朝の一瞬のあいさつこそが、あなたのまわりから「敵(てき)」を完全に消し去ってしまう最高の魔法なのです。
「えっ、あいさつだけで敵がいなくなるの?」と不思議に思うかもしれません。でも、これはちゃんとした「言葉の科学」で証明されている本当のお話です。
「ごようろん」って知ってる? あいさつの「本当のパワー」
社会言語学(しゃかいげんごがく)や語用論(ごようろん)という、言葉の使い方を研究する学問があります。難しそうな名前に聞こえますが、言っていることはとてもシンプルです。
語用論では、言葉には2つの役目があると考えます。
- 1つ目:「意味」を伝える役目(例:「明日は晴れるよ」という情報)
- 2つ目:「関係」をつくる役目(例:「ぼくは君の味方だよ」というサイン)
あいさつは、まさにこの「2つ目の役目(関係をつくること)」のためにある言葉なのです。
語用論の世界では、あいさつのことを「あなたを攻撃(こうげき)するつもりはありませんよ」「あなたのことを大切に思っていますよ」という【安全宣言(あんぜんせんげん)のサイン】と呼びます。
人間も動物とおなじです。相手が自分に気づいていないフリをしたり、目をそらしたりすると、心の中のレーダーが「あの人は自分を嫌っているのかな?」「敵なのかな?」と勝手に危険を感じてしまいます。
でも、しっかり目を見て明るく「おはよう!」と言うだけで、相手の心の中の危険レーダーはオフになります。「あ、この人は安全だ! ぼくの味方だ!」と相手の脳が勝手に判断してくれるのです。
「敵をつくらない」あいさつ、3つの魔法テクニック
ただ「おはよう」と言うだけでは、魔法の力は半分しか発揮されません。語用論のルールを使った、完璧な「魔法のあいさつ」のやり方を教えますね。
魔法1:相手の「目の色」をたしかめる(3秒アイコンタクト)
一番大切なのは、「相手の目を見ること」です。
でも、「目を見るのって、なんだかはずかしい…」と思う人もいますよね。そんなときは、「相手の目の色を確かめるゲーム」だと思ってみてください。
「〇〇くんの目は、黒っぽいかな? 茶色っぽいかな?」と心の中で思いながら、3秒間だけ目を見つめます。これだけで、語用論でいう「あなたをしっかりと認識しました」という最高のサインが相手に届きます。
魔法2:名前をプラスして「特別感」をプレゼントする
ただ「おはよう!」と言うよりも、100倍パワーがアップする方法があります。それは、相手の名前を最初に呼ぶことです。
「〇〇さん、おはよう!」「〇〇くん、おはよう!」と言ってみましょう。
人は、自分の名前を呼ばれると、脳の中で「うれしい!」と感じる物質が出ます。「大ぜいの中の1人」としてではなく、「大切なあなた」として見られていると感じるからです。これだけで、相手はあなたに敵意(てきい)をもてなくなります。
魔法3:声のトーンは「ドレミファソ」の「ソ」
ボソボソとした低い声は、相手に「おこっているのかな?」「めんどくさいのかな?」と誤解(ごかい)されてしまいます。
あいさつをするときは、ドレミファソの「ソ」の音を意識してみましょう。少し高めの明るい声です。「ソ」のトーンで話すだけで、言葉のうしろに「あなたに会えてうれしいよ」という温かい気持ちがくっついて相手に届きます。
学校生活の「こんな時」どうする? 場面別トレーニング
それでは、実際の学校生活でどのようにこの魔法を使うか、具体的な場面を見ていきましょう!
場面1:朝の教室に入るとき(朝の会・朝の準備)
教室のドアを開けるとき、心の中で「魔法のスイッチ」をオンにします。自分の席に歩いていきながら、目が合った友達全員に魔法をかけましょう。
「(目を見て)〇〇ちゃん、おはよう!」「(ソのトーンで)〇〇くん、おはよう!」
もし相手の声が小さくて返事が聞こえなくても、落ち込まなくて大丈夫。相手の脳には「安全な味方が入ってきた」というサインがしっかりと届いています。
場面2:給食当番や係の活動のとき
給食の配膳(はいぜん)でパンをもらうとき、日直の仕事で黒板消しを渡すとき。ここも魔法を使う大チャンスです。
「はい、どうぞ」と渡すときや、「ありがとう」と受け取るときに、相手の目を2秒見てニッコリ笑ってみてください。
言葉の語用論では、こうした短いやり取りの重ね着が、「クラスの仲良しグループ」の枠(わく)を超えた強い絆(きずな)をつくると言われています。係の仕事がスムーズになるだけでなく、周りから「〇〇さんって、すごく感じが良いよね!」と大評判になりますよ。
場面3:ちょっと気まずい相手・あまり話したことがない友達
「昨日、ちょっとケンカしちゃった友達」「まだ一回も話したことがない隣のクラスの友達」。そんな相手にこそ、この魔法は絶大な効果を発揮します。
気まずいときほど、人間は目をそらしたくなるものです。でも、そこであえて「明るく目を見てあいさつ」をします。
すると相手は、「あ、昨日のことを引きずっていないんだ!」「ぼくのことを嫌いになっていないんだ!」とホッと安心します。あいさつは、こじれた関係を元通りにする「仲直りのショートカットキー」なのです。
明日から使える!「あいさつマスター」へのレベルアップ作戦
さあ、魔法の使い方はバッチリですね! 明日の朝、学校に行くのがちょっと楽しみになってきませんか?
いきなりクラス全員にやるのはドキドキするかもしれないので、明日は「3人チャレンジ」から始めてみましょう。
- ミッション1:朝、教室で一番最初に目が合った友達に、名前をつけて「〇〇くん、おはよう!」と言う。
- ミッション2:あまり話したことがない席が近い友達の「目の色」を確かめながら「おはよう!」と言う。
- ミッション3:担任の先生の目をしっかり見て「ソ」のトーンで「先生、おはようございます!」と言う。
この3人をクリアできたとき、あなたの周りの空気が少しだけ温かく、優しく変わっていることに気づくはずです。
相手の目を見て明るくあいさつすること。それは、相手の「心のドア」を優しくトントンとノックして、「入ってもいい? ぼくは味方だよ」と伝える素晴らしい行為です。
自分から心のドアを開ける人に、敵は絶対に作れません。明日の朝、あなたがかける魔法で、クラスのみんなを笑顔に変えていきましょう!