すれ違う人に「おはよう」と声をかける
朝、学校のこうていやろうか、くつばこのあたりで、先生やほかのクラスの友だちとすれ違うこと、あるよね。そんなとき、みんなはどんなふうにしているかな?
「目があっても、どうしていいか分からなくて、下を向いちゃう……」
「なんだかはずかしくて、声が出ないなあ」
そんなふうに思っていませんか? じつは、それってもったいないことです! 朝のあいさつは、みんながもっと仲良くなれる「魔法の合言葉(あいことば)」なんですよ。この章では、自分から元気に「おはよう」と言えるようになって、みんなの人気者になるコツをお伝えします。
学校生活の「あるある」シーンで考えてみよう
みんなの毎日の学校生活を思い出してみましょう。こんな場面、ありませんか?
廊下で目が合ったのに…
あ、3組の○○ちゃんだ。いつもなら通りすぎちゃうところだけど、今日は目が合った! でも、「なんて声をかけたらいいんだろう」と考えているうちに、すれ違ってしまって……。「あー、あいさつすればよかったな」と、あとでちょっぴり後悔(こうかい)する。
登校班(とうこうはん)の上級生にドキドキ
いつも一緒に登校しているけれど、班長(はんちょう)さんや高学年のお兄さん、お姉さんはなんだか大人っぽくて緊張(きんちょう)する。「おはようございます」って言ったはいいけれど、声が小さくて聞こえてなかったかも……と心配になる。
こんなとき、勇気を出して自分から「おはよう!」と声をかけられたら、すごく気持ちがいいし、相手も「あ、話しかけてくれてうれしいな!」って思うはずです。では、どうすれば自然に声が出るようになるのでしょうか? その秘密を、ちょっとアカデミックな視点から見てみましょう。
ことばの科学「社会言語学」ってなに?
みなさんは「社会言語学(しゃかいげんごがく)」という言葉を聞いたことがありますか? むずかしそうに聞こえますが、かんたんに言うと「人間がどのように言葉を使って、まわりの人と仲良くなったり、社会のルールを作ったりしているのかをしらべる学問」のことです。
社会言語学の研究では、あいさつは単なる「情報(じょうほう)のやりとり」ではないことが分かっています。たとえば、「おはよう」と言われても、「今、朝ですよ」という情報を教え合っているわけではありませんよね。
社会言語学では、あいさつを「私たちは敵(てき)じゃありませんよ、仲良くしましょうね」と心を開くための大切なサインだと考えています。これを専門的(せんもんてき)には「ファースト・コンタクト(最初につながること)」と呼びます。
クラス替えをしたばかりのときや、あまり話したことがない友だちと「おはよう」を交わすだけで、「私はあなたに話しかけても大丈夫だよ」というメッセージが相手の心に届くのです。つまり、あいさつは小さな一言ですが、人間関係のビルを建てるための「いちばん最初の大切な土台」なんですね。
明日からできる!「おはよう」レベルアップ作戦
社会言語学の力もわかったところで、さっそく明日から学校でできる具体的なテクニックを紹介(しょうかい)します。どれもカンタンにできることばかりですよ!
作戦1:まず「目」を見てから、0.5秒後に言う
すれ違うとき、地面(じめん)を見ながら「おはよう」と言っていませんか? これだと、相手に声が届きにくくなってしまいます。
- ステップ1:すれ違う人の顔(目と目のあいだあたり)をチラッと見る。
- ステップ2:「あ、目が合ったな」と思ってから、心の中で「いち、に」と数えるつもりで0.5秒まつ。
- ステップ3:笑顔で「おはよう!」と言う。
これだけで、相手は「自分に言ってくれたんだ!」とハッキリ分かります。目を見るのがはずかしいときは、相手の「おでこ」や「ネクタイ・名札(なふだ)」を見るのがコツです。
作戦2:「おはよう+名前」の魔法を使う
ただ「おはよう」と言うだけでも素敵(すてき)ですが、さらに好印象(こういんしょう)をあたえる技があります。それは、相手の名前をよぶことです!
- 「あ、○○くん、おはよう!」
- 「○○ちゃん、おはよう!」
人間は、自分の名前をよんでくれる人のことが大好きになるという心理(しんり)があります。いつもより少しだけ親しみを感じてもらえますよ。仲良くなりたいお友だちに、ぜひ使ってみてください。
作戦3:あかるい声の「トーン」を意識する
声の大きさも大切ですが、それ以上に大切なのが「声の高さ(トーン)」です。低い声で「おはよー…」と言うと、なんだか機嫌(きげん)が悪いように聞こえてしまうことがあります。
いつもより「ドレミファソ」の「ソ」くらいの、ちょっぴり高めの明るい声で「おはよう!」と言ってみましょう。それだけで、まわりの空気がパッと明るくなります。クラスの太陽(たいよう)のような存在になれますよ。
お家でもやってみよう!家族への「おはよう」
学校だけじゃなく、お家の中でも「おはよう」の練習をしてみましょう。
朝、自分の部屋から起きてリビング(居間)に入るとき、おうちの人にどんなふうに言っていますか? もしかして、テレビやスマホを見ながら、ボソッと言っていませんか?
明日からは、お家の人にむかって、パッと顔を上げて、
「お母さん、おはよう!」
「お父さん、おはよう!」
「おじいちゃん、おばあちゃん、おはよう!」
と、学校と同じように明るく言ってみてください。おうちの人も、きっとびっくりするくらいニッコリ笑顔をかえしてくれますよ。家族みんなが朝からハッピーな気持ちになると、その日一日がすごく楽しく過ごせるようになります。
まとめのワーク:明日の自分に「作戦」をメモしよう
いかがでしたか? すれ違う人に「おはよう」と声をかけることは、みんなが思っているよりもずっとパワフルで、素敵なコミュニケーションです。
最後に、ノートのすみに、明日学校でためしてみたいことをひとつだけ書いてみましょう。
- 「明日、登校班の班長さんに名前をつけて『おはよう』と言ってみる」
- 「廊下ですれ違った女子グループに、目を見て『おはよう』と言ってみる」
- 「いつもは声が小さいから、明日だけは『ソ』の音の高さで言ってみる」
どれかひとつで十分です。失敗(しっぱい)しても大丈夫。まずは自分から「おはよう」の魔法をかけてみましょう。きっと、まわりのみんなとの距離(きょり)がぐっと縮まって、学校に行くのがもっと楽しみになりますよ!