グループで一人ぼっちの子に声をかける
図工の時間、「4人グループを作ってください」と先生が言いました。教室が一気にざわつきます。「やったー、一緒にやろう!」と、あちこちでグループができていきます。そんな中、ポツンと一人で机に座っている友達を見かけたことはありませんか?
「声をかけたいけれど、なんと声をかけたらいいか分からない……」
「自分が声をかけて、変な空気になったらどうしよう……」
そんなふうにドキドキして、結局見て見ぬふりをしてしまったことはありませんか?実は、この「グループ作り」や「班決め」の時間は、学校生活の中で一番ハラハラする瞬間ですよね。でも、ここで思い切って「ねえ、一緒にやろう!」と声をかけられる人は、クラスの中で圧倒的に「感じがいい人」になれるのです。
今回は、一人ぼっちの子にそっと手を差し伸べることで、みんなが居心地のいいクラスをつくる「魔法のルール」を一緒に見ていきましょう。
なぜ、「声かけ」がクラスの空気を変えるの?
「困っている子を助けましょう」というのは、道徳の時間によく聞くお話かもしれません。でも、ここではもっとすごい秘密をお教えします。実は、組織社会学(そしきしゃかいがく)という、人間が集まったときのグループのルールを研究する学問でも、この「声かけ」のパワーはとても重要視されています。
組織社会学では、人間が集まるときに一番大切なのは「誰もが安心していられる場所(心理的安全性:しんりてきあんぜんせい)」だと言われています。「ここにいてもいいんだ」「自分は仲間外れにされないんだ」という安心感があるチームは、失敗を恐れずに挑戦できるし、何よりみんなが笑顔で過ごせます。
逆に、クラスの中に「一人でポツンと寂しそうにしている子」がいるとどうでしょう?見ている周りの子たちも、なんとなくモヤモヤした気持ちになったり、「自分もいつか一人ぼっちになるかもしれない……」と不安な気持ち(心理的不安)になってしまいますよね。
小さな一歩が、クラス全体の空気を変える
組織社会学の「ネットワーク理論」という考え方によると、人と人をつなぐ「最初の一本の線」を引く人のことを「ブリッジ(橋渡し役)」と呼びます。このブリッジ役になる人は、グループの中で特別なリーダーでなくても、みんなから信頼され、自然と人気者になれることが分かっています。
つまり、あなたが一人ぼっちの子に声をかけることは、ただの「親切」ではなく、クラスという小さな社会を「全員が居心地のいい場所」に変える、とてもかっこいい大仕事なのです。
明日からできる!「自然な声かけ」の3つのステップ
「そうは言っても、いきなり声をかけるのはやっぱり勇気がいるよ……」という人のために、明日からすぐに使える具体的なステップを紹介します。気負わず、ゲームのミッションをクリアするような気持ちで試してみましょう。
ステップ1:まずは「アイコンタクト」と「笑顔」から
いきなり言葉をかけるのが難しければ、まずは目を合わせてニコッと笑ってみましょう。それだけで、「私はあなたを敵だと思っていないよ」「見ているよ」というサインになります。人間は、目と目が合うだけで安心する生き物です。これなら、席が離れていても今すぐできますね。
ステップ2:「困っている理由」をあえて聞かない
一人でいる子に「どうして一人なの?」と聞くのは、ちょっぴり恥ずかしさを感じさせてしまうことがあります。だから、理由は聞かずに、今やることだけを伝えましょう。
- 「ねえ、机をこっちにくっつけない?」
- 「画用紙、余ってるから一緒に使おうよ」
- 「次の移動教室、一緒に行かない?」
このように、そのときの「作業」や「移動」を一緒にする誘い方をすると、相手も自然な流れでグループに入りやすくなります。
ステップ3:グループのメンバーを巻き込む
あなた一人で声をかけるのが不安なら、あらかじめ仲のいい友達に「ねえ、あの子も一緒に誘わない?」と相談しておくのも大正解です。組織社会学では、これを「仲間を増やす同調のパワー」と言います。あなたが「一緒にやろうよ」と言ったあと、すぐ隣の友達が「うんうん、一緒にやろう!」と頷いてくれたら、一人ぼっちだった子の不安は一気に吹き飛びます。
声をかけるときの「3つのNG行動」に気をつけよう
優しい気持ちで行った声かけが、相手を傷つけてしまってはもったいないですよね。「感じがいい人」になるために、次の3つには少しだけ気をつけましょう。
- 上から目線で「入れてあげる」という態度をとる:「しょうがないからウチの班に入れてあげるよ」という態度は禁物です。あくまで対等に、「一緒にやろうよ」というフラットな気持ちで接しましょう。
- まわりの目を気にして「こっそり」声をかける:まわりの目を気にしてコソコソ声をかけると、かえって「かわいそうだからやっている」という変な空気が生まれます。堂々と、明るい声で話しかけるのがポイントです。
- 無理やり話を合わせようとする:声をかけたあとに、相手がもしあまり喋りたくなさそうだったら、無理に質問攻めにしなくて大丈夫です。ただ「同じ空間に一緒にいる」だけで、安心感は十分に伝わっています。
一人ぼっちの子に声をかけることは、自分を成長させる魔法
クラスで一人ぼっちの子に声をかけるのは、最初は少しドキドキします。「断られたらどうしよう」「変に思われたらどうしよう」と不安になるのは、あなたが優しい心を持っている証拠です。
でも、思い切って声をかけたあとの相手の表情を想像してみてください。パッと顔が明るくなって、ホッとしたような笑顔を見せてくれたとき、声をかけたあなた自身も、胸が温かくて誇らしい気持ちになるはずです。
組織社会学の言葉を借りるなら、あなたの一言は、クラス全員の「安心感」をつくるための最高の一歩です。誰もが居心地よく、笑顔で過ごせるクラスは、一人の大きなリーダーが作るのではなく、あなたのような「小さな優しさを持つ人たち」のネットワークがつくり上げていきます。
明日の学校で、もし一人で困っている友達を見かけたら、深呼吸をして、こう言ってみてください。
「ねえ、一緒にやろう!」
その一言で、あなたも、そしてその友達も、今日の学校生活が何倍も楽しく、温かいものに変わるはずです。