グループワークで友達の名前を呼ぶ
「ねえねえ、これどうする?」
学校の図工の時間や、生活科のグループ活動で、班のメンバーに話しかけるとき、あなたはいつもどんなふうに声をかけていますか?もしかしたら、「ねえ」とか「これ」だけですませてはいないでしょうか。
クラスのなかには、いつもまわりに人が集まっていて、なぜか「感じがいいな」と思われる人っていませんか?特別なことを言っているわけでもないのに、その人がいるだけで班の話し合いがパッと明るくなって、意見もどんどんまとまる。そんなふうにうらやましく思ったことはありませんか?
実は、まわりから好かれる「感じがいい人」たちが、グループワークでこっそり使っている秘密のテクニックがあるのです。それは、とてもシンプルで、明日からすぐに真似できること。
その魔法のルールとは、「話しかけるときに、相手の名前を呼ぶこと」です。たったこれだけ?と思うかもしれませんが、このひと手間に、人間の脳をびっくりさせるすごい秘密がかくされているのです。
なぜ「名前」を呼ばれると、脳はうれしくなるの?
ここで、少しだけ脳の科学のお話をしますね。人間の脳には、自分にとって大切なものや、自分に関係する情報を特別にキャッチするエリアがあります。その中でも、「自分の名前」は、脳にとってスペシャル中のスペシャルな言葉として登録されています。
心理学や脳科学の研究で、人間は自分の名前を耳にしたとき、脳の奥テンションが上がる場所(報酬系といいます)がピカッと光ることが分かっています。人が大勢いるがやがやした場所でも、誰かが自分の名前を呼んだ声だけは、不思議とハッキリ聞き取ることができますよね。これを「カクテルパーティー効果」と呼ぶのですが、私たちの脳は、いつでも自分の名前を探しているアンテナをはっているのです。
だからこそ、友達から「ねえ」ではなく、「〇〇さん、これどう思う?」と名前を呼ばれた瞬間、脳はこう思います。
- 「おっ、自分に話しかけてくれたぞ!」
- 「自分を大切な人として見てくれている!」
- 「この人と話すのは安全で楽しいな!」
名前を呼ばれただけで、相手への親しみやすさがグッとアップしてしまうのです。これは心理学で「自己関連づけ効果」とも呼ばれていて、人は自分に関連する情報に強い好感を抱く性質があるからなんです。
名前を呼ばないときの「もったいない」すれ違い
では、逆に名前を呼ばないと、どうなってしまうでしょうか。
例えば、班のみんなでポスターを作る場面を想像してみてください。
あなたが「ねえ、ここの色塗り手伝ってよ」と言いました。このとき、あなたは班のリーダーのAくんに頼みたかったとします。でも、名前を呼ばなかったので、Aくんは「自分のことかな?それとも隣のBくんのことかな?」と一瞬迷ってしまいます。
人によっては、「自分のことじゃないや」と聞き流してしまうかもしれません。あるいは、みんながスマホやタブレット、ノートに夢中になっているとき、「ねえ」とだけ言われても、誰も自分が呼ばれていることに気づかず、気まずい沈黙が流れてしまうことも……。
これでは、せっかくのいいアイデアもみんなに届きませんし、なんとなく「冷たい人だな」「そっけないな」という印象を与えてしまう原因になってしまいます。名前を省いてしまうのは、とってももったいないことなのです。
明日からできる!「名前呼び」3つのステップ
「でも、いきなり友達の名前を呼ぶのは、ちょっぴり恥ずかしいな……」
そんなふうに思ったあなたへ!学校生活のさまざまな場面で使える、名前を呼ぶための3つのステップを紹介します。無理なく、ゲーム感覚で試してみましょう。
ステップ1:会話の最初は「〇〇ちゃん」「〇〇くん」からスタートする
朝、教室に入って席についたとき、隣の席の友達に話しかける場面を思い出してください。
× ざんねんな例:「ねえ、今日の宿題やった?」
〇 感じがいい例:「〇〇くん、今日の宿題って終わった?」
たったこれだけです。「〇〇くん」と名前をプラスするだけで、相手に向けられた特別なメッセージに変わります。相手も「おっ、僕に聞いてくれたんだな」と安心してニコッと返事をしやすくなりますよ。
ステップ2:意見を求めるときに名前を呼ぶ
図工や理科の実験、総合的な学習の時間でのグループワークで、意見をまとめるときに使ってみましょう。
班のみんなが黙ってしまっているとき、「ねえ、どうする?」と言う代わりに、こんなふうに声をかけてみます。
- 「〇〇ちゃんは、このアイデアについてどう思う?」
- 「〇〇くん、さっき言ってた意見の続き、詳しく教えてよ!」
名前を呼ばれた人は、「自分の意見を聞いてもらえた!」とうれしくなり、話し合いが活発になります。意見を言いやすい雰囲気を作ってくれるあなたに対して、みんなは「この人といると話しやすいな」「すごいな」と好感を持つようになるのです。
ステップ3:ありがとうを伝えるときに名前を呼ぶ
これが一番強力な魔法です。係の仕事を手伝ってもらったときや、給食当番で食器を配るのを手伝ってもらったとき、お礼の言葉に名前を添えてみましょう。
- 「〇〇さん、プリント配るのを手伝ってくれてありがとう!」
- 「〇〇くん、消しゴム貸してくれて助かったよ、ありがとう!」
ただ「ありがとう」と言うだけでも嬉しいですが、自分の名前をセットで言われると、うれしさは2倍にも3倍にも膨らみます。言われた相手は、あなたに対して「自分のことを見ていてくれたんだな」「優しい人だな」という温かい気持ちを抱くようになります。
お家でもやってみよう!家族の名前を呼ぶトレーニング
「学校でいきなり実践するのは、やっぱりドキドキする……」という人は、まずはお家の中からスタートしてみるのがおすすめです。
お母さんや、お父さん、お兄ちゃんや弟、妹に話しかけるときにも、この魔法を使ってみましょう。
「お母さん、ただいま!今日ね、学校でこんなことがあったんだよ」
「お兄ちゃん、これ教えてくれる?」
家族に対しても、名前や「お母さん」「お父さん」といった呼びかけをハッキリと言葉にしてから話すようにすると、お家の中の空気がパッと明るくなります。家族が笑顔で「おかえり」「いいよ」と返してくれると、あなた自身の気分もウキウキしてきますよね。お家での練習は、学校で自然に名前を呼ぶための最高のウォーミングアップになります。
まとめの代わりに:あなたの声は、みんなを笑顔にする
グループワークで友達の名前を呼ぶことは、ただの「話し方のテクニック」ではありません。それは、「私はあなたに興味を持っていますよ」「あなたを大切なお友達だと思っていますよ」という気持ちを伝えるための、最高のラブレターのようなものです。
人の脳は、自分の名前を呼んでくれる人、自分を認めてくれる人のことが大好きです。あなたが友達の名前を呼ぶたびに、友達の心には小さな花が咲くように、あたたかい気持ちが広がっていきます。
さあ、明日学校に行ったら、まずは隣の席の友達の顔を見て、名前を呼んであいさつをすることから始めてみませんか?
「おはよう、〇〇さん!」
その一言から、あなたのまわりにすてきな笑顔と「感じがいいね」という輪が、どんどん広がっていくはずです。