「ありがとう」を1日3回以上言う
クラスのなかで、いつもまわりに人が集まっている子はいませんか? その子のまわりは、なぜかいつも明るくて、トラブルが少ないものです。もしかすると、その秘密は「ありがとう」という言葉の魔法にあるのかもしれません。
「ありがとう」は、ただのあいさつではありません。相手のしたことを「認める」という、とても力強いメッセージです。言葉の研究(語用論)の世界では、これを「ポジティブ・ポライトネス」と呼びます。むずかしい言葉に聞こえますが、かんたんに言うと「あなたのことを大切に思っていますよ」という気持ちを伝えるための、最高のツールのことです。
人はだれでも「自分のことを見ていてほしい」「自分のしたことを認めてほしい」という気持ちを持っています。「ありがとう」と言われると、相手は「自分は役に立ったんだ」「この人は自分のことを見てくれている」と安心して、あなたに心を開くようになります。これが、敵を作らないための第一歩なのです。
「ありがとう」を数えるゲームを始めよう
「ありがとう」なんて、そんなに言うことあるかな? と思うかもしれません。でも、よーく観察してみてください。学校生活は、だれかの「親切」でできていることに気づくはずです。まずは、1日に3回だけ、「ありがとう」を探すゲームをしてみましょう。
- 係の仕事を手伝ってもらったとき:黒板消しを代わってくれたり、プリントを配るのを手伝ってくれたりしたとき。「ごめん」と言う代わりに「ありがとう」と言ってみましょう。
- 友達が消しゴムを拾ってくれたとき:「あ、どうも」で終わらせず、目を見て「拾ってくれてありがとう」と伝えます。
- 家でお手伝いをしたとき:お母さんやお父さんが夕飯を作ってくれたとき。「いただきます」のあとに「作ってくれてありがとう」と付け加えるだけで、食卓の空気がガラリと変わります。
たったこれだけで、相手の心はポカポカになります。社会言語学という学問では、「言葉は、人と人のあいだに橋をかけるもの」と考えます。「ありがとう」という橋をたくさんかけるほど、あなたのまわりには人が集まり、敵なんて入り込むスキがなくなるのです。
「ありがとう」がもっと輝く3つのコツ
ただ「ありがとう」と言うだけでも十分すてきですが、ほんの少し工夫すると、その言葉はもっと強力な魔法になります。
1.「名前」を呼んでから伝える
「ありがとう」の前に、相手の名前を呼んでみてください。「〇〇ちゃん、ありがとう」「〇〇くん、手伝ってくれてありがとう」と言うだけで、相手は「自分のために言ってくれている!」と強く感じます。名前は、相手にとって世界で一番心地よい音楽のようなものなのです。
2.「具体的に」伝える
ただ「ありがとう」と言うよりも、何に対して感謝しているかを付け加えると、相手はもっとうれしくなります。「プリントを配ってくれてありがとう」と言われると、相手は「自分の行動がちゃんと見てもらえた!」と自信を持つことができます。
3.「笑顔」をセットにする
言葉は、表情とセットで初めて完成します。仏頂面で「ありがとう」と言うのと、少し口角を上げて言うのとでは、相手に届く温かさがちがいます。鏡の前で、自分の一番すてきな笑顔を練習してみるのもいいですね。
「ありがとう」は、自分を守る盾にもなる
「ありがとう」をたくさん言っていると、不思議なことが起こります。それは、あなた自身が、まわりの人から大切にされるようになるということです。これを「返報性の原理」といいます。人は、親切にされると「お返しをしたい」と思う生き物なのです。
もし、あなたがちょっと失敗をしてしまったり、意見がちがってぶつかりそうになったときでも、ふだんから「ありがとう」を言っているあなたなら、まわりの友達は「いつもいいことをしてくれる〇〇ちゃんだから、今回は許してあげよう」「〇〇くんの意見も聞いてみよう」と、あなたの味方になってくれるはずです。
「ありがとう」は、相手を笑顔にする魔法であると同時に、あなたを守ってくれる最高の盾(たて)にもなるのです。
明日、学校でさっそくやってみよう!
さあ、明日の学校で、まずは3回、「ありがとう」を言ってみませんか?
朝、教室に入ったとき。授業中。休み時間。掃除の時間。あなたのまわりには、感謝の種がたくさん落ちています。それを拾い上げて「ありがとう」という言葉をかけるだけで、クラスの空気はもっとやさしく、もっと楽しくなります。
「ありがとう」は、だれでも持っている、お金のかからない魔法です。今日からその魔法を、惜しみなく使ってみてください。きっと、あなたのまわりには、たくさんの笑顔と、すてきな友達があふれるはずですよ。