相手の感情に合わせた表情をする
クラスで「この子と話すと、なんだかホッとするな」「もっとお話ししたいな」と思われる子には、ある共通点があります。それは、相手が話している内容に合わせて、自分の表情を「パッ」と変えていることです。
「えっ、そんなこと?」「そんなの当たり前じゃない?」と思ったかもしれませんね。でも、じつはこれ、みんなが思っている以上に、とってもすごい「魔法」なんです。
「ミラーリング」で相手の心を開こう
脳科学の世界では、人間の脳には「ミラーニューロン」という特別な仕組みがあることがわかっています。これは、鏡(ミラー)のように、相手の動きや表情を自分の脳でもマネして感じ取る力のことです。
たとえば、友達がとってもうれしそうに「昨日ね、お誕生日に新しいゲームを買ってもらったんだ!」と話しているとき、あなたも一緒に口角を上げて、目をキラキラさせたとします。すると、相手の脳はこう感じます。
- 「この子は、ぼくのうれしさを一緒にわかってくれている!」
- 「この子は、ぼくの味方だ!」
逆に、相手が一生懸命話しているのに、あなたがずっと真顔だったり、あくびをしていたりしたらどうでしょう? 相手は「あれ、話さないほうがよかったかな?」と不安になって、すぐに話を終わらせてしまうかもしれません。
相手の感情をあなたの表情で「うつし鏡」のように映し出すこと。これが、だれとでもすぐに仲よくなれる、いちばんの近道なのです。
「言葉」よりも「表情」が伝えること
ことばのやり取りを研究する「語用論(ごようろん)」という学問では、「メッセージの本当の意味は、言葉そのものよりも、顔の表情や声のトーンに隠されている」と教えています。
たとえば、テストで百点をとった友達に「すごいね」と言うとき、どんな顔をしていますか?
- パターンA:目を見開いて、心からびっくりしたような笑顔で「すごいね!」と言う。
- パターンB:教科書を見ながら、ぼんやりした顔で「すごいね」と言う。
どちらが「本当にすごいと思っている」と伝わるかは、言うまでもありませんよね。パターンBだと、たとえ「すごいね」という言葉を使っていても、相手には「ぜんぜん興味ないんだな」という冷たいメッセージが届いてしまいます。
言葉はあとからついてくる「飾り」のようなもの。あなたの表情こそが、相手に届く「メインのメッセージ」なのです。
明日からできる!「感情キャッチボール」の練習
では、具体的にどうすればいいのか、学校生活のシーンで練習してみましょう。まずは、次の3つのポイントを意識してみてください。
- うれしい話には「スマイル」を:友達が楽しい話をしているときは、少しだけ口角を上げてみましょう。それだけで、相手は「もっと話したい!」という気持ちになります。
- かなしい話には「まゆげ」を:友達が「消しゴムをなくしちゃった…」と困っていたら、少しだけ眉間にしわを寄せて、心配そうな顔をしてみてください。「うんうん、大変だったね」という表情をするだけで、相手は「わかってくれる人がいる」と安心します。
- おどろく話には「目」を:「昨日、すごい大きな犬を見たんだよ!」と言われたら、目を大きく見開いてみましょう。あなたの目が丸くなるだけで、相手は「すごい体験をしたんだ!」という実感をもう一度味わうことができます。
ポイントは、大げさに演技をする必要はないということです。あなたの心が「そうなんだ!」と動いたとき、その気持ちを少しだけ顔に出してあげるだけで十分です。
「係活動」で試してみよう
たとえば、クラスの係活動の話し合いをしているとき。だれかが一生懸命アイデアを出してくれたら、その子の顔を見て、大きくうなずきながら「それ、いいね!」と笑顔を向けてみてください。
たったそれだけで、あなたの周りには「自分の意見をちゃんと聞いてくれる人」として、自然と人が集まってくるようになります。みんな、自分の気持ちをわかってくれる人のそばにいたいと思うからです。
今日から、友達と話すときには「言葉」だけでなく「表情」にも注目してみましょう。相手の顔を見ながら、「今、どんな気持ちかな?」「ぼくも同じ気持ちだよ!」と表情で伝えてみるのです。
最初は少しはずかしいかもしれませんが、大丈夫。あなたのその「相手に合わせようとするやさしい表情」は、必ず相手の心に届きます。明日、学校で友達と話すとき、ぜひ「表情の魔法」を使ってみてくださいね。きっと、いつもより会話が楽しくて、時間が過ぎるのがあっという間に感じられるはずですよ。