否定せずに最後まで話を聞く
あなたは、友達が話している途中で「でも、それはちがうよ!」と、つい口をはさんでしまったことはありませんか?
もし心当たりがあるなら、今日からそれを「魔法のストップ」に変えてみましょう。実は、人の話を最後まで聞くことは、あなたをクラスでいちばんの「聞き上手」にするための、もっとも強力なテクニックなのです。
「否定」は、相手の心にシャッターを下ろすスイッチ
脳科学の世界では、人間には「自分の考えを認めてほしい」という強い本能があることがわかっています。誰かに自分の話を聞いてもらうとき、脳はとても心地よい状態になります。これを「報酬系(ほうしゅうけい)」といって、うれしいときや楽しいときに働く脳のスイッチが入るのです。
でも、話の途中で「でも」「だって」「ちがうよ」と否定されると、脳は「攻撃された!」と感じて、すぐにシャッターを下ろしてしまいます。こうなると、相手はもうあなたに心を開いてくれません。
語用論(ごようろん)という言葉のルールを研究する学問でも、「相手の言葉を最後まで受け止めることは、相手との信頼関係を作るための最大のプレゼント」だと考えられています。最後まで聞くことは、相手に「あなたのことを大切に思っているよ」というメッセージを伝えることと同じなのです。
明日からできる「魔法の聞き方」ステップ
では、具体的にどうすればいいのでしょうか? 明日から学校でできる、とっておきの方法を教えますね。
- 「最後まで聞く」をゲームにする
友達が話している間、心の中で「最後まで聞くゲーム、スタート!」と唱えてみてください。相手が話し終わるまで、口を閉じて、相手の目や口元を見て「聞く」ことに集中するのです。 - 「でも」を「なるほど」に変換する
もし相手の話にちがう意見があったとしても、まずは「なるほど、そう考えたんだね」と、一度相手の考えを自分の中に受け入れてください。これだけで、相手は「この人は自分の話を聞いてくれる!」と安心して、もっとあなたと話したくなります。 - あいづちは「オウム返し」で
「えー、それってどういうこと?」と聞くかわりに、相手が言った言葉をそのまま繰り返してみましょう。「昨日、公園で大きな犬を見たんだ」「へえ、大きな犬を見たんだね!」これだけで、相手は「自分の話が伝わっている!」と感動します。
係の仕事やグループワークでも大活躍
この「否定せずに最後まで聞く」力は、学校のいろいろな場面であなたの強みになります。
たとえば、グループで出し物の相談をしているとき。誰かの意見が自分とはちがっても、まずは「最後まで聞く」をやってみてください。「そのアイデア、おもしろいね! ちなみに、こんなやり方はどうかな?」とつなげれば、あなたの意見も相手に届きやすくなります。
係の活動で困ったことが起きたときも同じです。みんなの話を否定せずに最後まで聞けば、みんなが「この人に相談すれば、ちゃんと聞いてくれる」と信頼してくれるようになります。クラスのリーダーは、命令する人ではなく、みんなの話を最後まで聞ける人なのです。
脳は「聞いてもらうこと」を待っている
人はみんな、自分の話を最後まで聞いてもらいたいと思っています。でも、世の中のほとんどの人は、自分の番が来るのを待つだけで、相手の話をじっくり聞いてはいません。
だからこそ、あなたが「否定せずに最後まで聞く」だけで、あなたはクラスの中で特別な存在になります。「この人と話すと、なんだかスッキリする」「もっと話を聞いてほしい」と、みんながあなたのまわりに集まってくるようになるでしょう。
これは、特別な才能はいりません。ただ、相手が話し終わるまで、ちょっとだけ待つだけ。それだけで、あなたはだれとでも仲よくなれる「聞き方の魔法」を手に入れることができるのです。
さあ、明日の休み時間、まずは隣の席の友達の話を、最後までじっくり聞いてみてください。相手の顔がパッと明るくなる瞬間、あなたはきっと「聞くこと」の本当の楽しさに気づくはずですよ。