係の仕事で手が足りないときに手伝う

📖 『だれとでも仲よくなれる!「好かれる子」になるための10の魔法』
ー 第7章:自分から助けを申し出る ー
\ 毎日がもっと楽しくなる、すべての小学生へ贈るヒント /
係の仕事で手が足りないときに手伝う
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係の仕事が大変なとき、キミならどうする?

水曜日の5時間目がおわって、ゆったりした休み時間。みんなは自分のすきなことをして楽しんでいます。でも、教室のうしろの方で、トイレットペーパーの補充や、黒板の消しゴムクリーナーの掃除をひとりでがんばっているクラスメイトの姿が目に入りました。

「うわあ、今日の係の仕事、量が多くて大変そうだなあ……」

そう思いながらも、「自分の係じゃないし」「声をかけてジャマになったらどうしよう」となやんで、結局そのまま自分のあそびに戻ってしまったことはありませんか?

実は、このちょっとしたモヤモヤした気持ちのときに、「自分からすすんで助けを申し出る」という小さな行動をとるだけで、キミはクラスで「まわりからすごく信頼される人」になれるのです。

きょうは、だれもが気づいていないけれど、実はまわりの心をギュッとつかんで離さなくなる「とっておきの魔法」についてお話しします。むずかしいことは一切ありません。明日からすぐに学校で使えるテクニックですよ。

行動経済学の魔法!「好意の返報性(へんぽうせい)」ってなに?

「でも先生、どうして手伝うだけで好かれるの? やさしくするのは当たり前だけど、それだけ?」と思いますよね。ここで、少しだけかっこいい「おとなの科学」のお話をします。それは行動経済学(こうどうけいざいがく)という、人間の心と行動のふしぎを研究する学問です。

行動経済学の中に、「好意の返報性(こういのかんけいしずみ)」という、とってもパワフルなルールがあります。

むずかしい漢字がならびましたが、意味はとってもシンプルです。人間は、「だれかから親切にされたり、たすけてもらったりすると、『自分も何かお返しをしたい!』という強い気持ちがうまれる」という脳の仕組みを持っているのです。

  • 困っているときにノートをかしてくれたら、「こんどはこっちが手伝おう」と思う。
  • 重い荷物をいっしょに持ってくれたら、「ありがとう、大好きだな」と感じる。

これは人間の本能なので、キミが意識していなくても、助けられた相手の心の中では「この子、すごくいいやつだな!」「なんだか気になるな、もっと仲よくしたいな」というスイッチが自動的に入るようになっています。つまり、自分からすすんで手を差し伸べることは、相手の心に「キミが好きです」というメッセージを届ける、一番確実な魔法なのです。

明日からできる!「おせっかい」にならないスマートな手伝い方

「よし、じゃあ明日から係の仕事をぜんぶ手伝うぞ!」と意気込むのは、ちょっと待ってくださいね。ここで大切なポイントがあります。やり方をまちがえると、「おせっかい」になってしまったり、相手の仕事をじゃましてしまったりすることがあるからです。

クラスのみんなから「うれしい!」と心から喜ばれる、スマートな手伝い方のコツを3つ紹介します。

1. 「手伝おうか?」ではなく「ここ、持ってようか?」と具体的に聞く

困っている人に「何か手伝うことある?」と聞くのは、実は相手をちょっと困らせてしまうことがあります。なぜなら、相手が「ううん、大丈夫だよ」と気づかいを見せたり、何を頼んでいいか考えるのがめんどうくさかったりするからです。

だからこそ、具体的な作業をピンポイントで提案するのがプロの技です。

  • 悪い例:「プリント配り、手伝おうか?」
  • 良い例:「後ろの机のぶんのプリント、半分持とうか?」

こう言われると、相手は「えっ、ほんとうに? たすかる!」と即答しやすくなります。この「具体的なひとこと」が言えるだけで、キミの印象はぐっと大人っぽく、かっこよくなります。

2. 自分の係の仕事が終わったあとに、サッと声をかける

自分の係の仕事や宿題がのこっているのに、ほかの人の仕事を手伝いに行っては本末転倒(ほんまつてんとう)です。自分のやるべきことをしっかりやったうえで、教室を見まわす余裕を持つことが大切です。

「自分の仕事はきちんとする。そのうえで、余裕があるときは周りを見る」という姿勢は、先生やクラスのリーダーからもすごく高く評価されます。「責任感があって、まわりも見えている子だな」という最高の信頼が生まれます。

3. 見返りを求めない「スマートさ」が一番モテる

「手伝ってあげたんだから、自分のときも手伝ってよね!」というオーラを出してしまうと、せっかくの親切が台無しになってしまいます。行動経済学の魔法は、「見返りを期待しないで、サラッとやること」で何倍にもパワーアップします。

手伝ったあとに、「どういたしまして!」とニコッと笑って、すぐに自分の席に戻る。この「見返りを求めないカッコよさ」に、まわりの友達は自然と惹きつけられていくのです。

教室で実際に起きた奇跡のストーリー

ここで、ある小学校の5年生のクラスであった本当のお話をします。

そのクラスには、給食係の仕事をひとりで抱え込んで、いつもバタバタと忙しそうにしている男の子がいました。重いみそ汁の食缶をひとりで運ぼうとして、よろけてしまったこともあります。まわりのみんなは「大変そうだな」と思いながらも、自分のおしゃべりに夢中で見て見ぬふりをしていました。

ある日、そのクラスの女の子が、自分の給食の準備をすばやく終わらせたあと、その男の子のところへ歩いていきました。

「ねえ、重いからお椀のワゴン、こっちで押すね」

女の子はそれだけ言うと、手際よくワゴンを一緒に運びました。男の子は顔をまっかにして「……ありがとう、すごく助かった」と小さな声で言いました。

それから、どうなったと思いますか?

その日から、ふたりの会話が増えただけではありません。なんと、その男の子のまわりにいた友達も、別の日の給食のときに「きょう、配膳(はいぜん)手伝おうか?」と声をかけるようになったのです。そして1ヶ月後、そのクラスでは「だれかが忙しそうだったら、自然に手を貸す」というやさしい空気がクラス全体に広がっていきました。

たったひとりの小さな「手伝うよ」という行動が、クラス全体の雰囲気をガラリと変えてしまったのです。これこそが、行動経済学の魔法が生み出した最高の奇跡です。

まとめの代わりに:明日、学校でこれだけはやってみよう

長いお話はここまでです。むずかしい理論は忘れてしまっても大丈夫。明日、学校の教室に入ったら、たったひとつだけ、この「魔法」を試してみてください。

「きょうは、だれかの係の仕事が大変そうだったら、『ここ、手伝おうか?』と声をかけてみる」

たったこれだけです。最初はちょっとはずかしいかもしれないし、勇気がいるかもしれません。でも、勇気を出して一歩を踏み出したとき、相手のパッと明るくなった笑顔を見ることができます。その瞬間、キミ自身もすごく温かい気持ちになれるはずです。

だれとでも仲よくなれる「好かれる子」への第一歩は、キミのその小さな「やさしい手」から始まります。明日からの学校生活が、もっと楽しく、もっとワクワクする最高の一日になりますように!

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