自分がされてうれしいことを人にもする
学校で、こんなことってありませんか?
ノートをわすれてこまっているときに、となりの子が「これ使っていいよ」と消しゴムをかしてくれたとき。ドッジボールで、自分が投げたボールを「ナイスキャッチ!」と、ともだちが大きな声でほめてくれたとき。
そのとき、どんな気持ちになりましたか? 胸の中がパッと明るくなって、「この子と一緒だと、すごく楽しいな」「もっと仲良くなりたいな」って、温かい気持ちになりませんでしたか?
人に好かれる「神」コミュニケーションのさいごのステップは、じつはとてもシンプルです。
それは、「自分がされてうれしいことを、人にもする」ということです。
「えっ、そんなこと?」って思ったかもしれませんね。でも、この簡単なルールの中に、みんながもっと仲良くなれる「魔法の秘密」がかくされているのです。きょうは、脳科学(のうかがく)という科学の力も借りながら、どうしてこれがすごいのと、明日から学校でどうやってやったらいいかをいっしょに見ていきましょう!
どうして人に優しくすると、自分がうれしくなるの?【脳科学のひみつ】
頭の中には、「脳(のう)」という、みんなの考えたり感じたりする司令塔(しれいとう)があります。この脳には、とってもおもしろい仕組みがあるのです。
脳科学の研究で、人間には「ミラーニューロン」という特別な細胞(さいぼう)があることがわかっています。名前がちょっとむずかしいけれど、これはかんたんに言うと「鏡(かがみ)の細胞」です。
どういうことかというと、目の前でともだちがうれしそうにしているところを見ると、人間の脳は、「まるで自分がうれしいことをされたとき」と同じように反応するのです。
つまり、あなたがともだちに何かいいことをして、ともだちが笑顔になると、あなたの脳も「うれしい!楽しい!」と自動的に感じ取るようになっています。科学的にも、人に優しくすることは、まわりだけでなく、自分自身の脳も元気にしてハッピーにする力があることが証明されているのです。
だから、「自分がされてうれしいこと」を人にするのは、がまんして無理をすることではありません。自分も、そしてまわりのみんなも、いっしょに幸せになれる一番ちかみちなんです。
学校でできる!「うれしいこと」の3つのプレゼント
では、具体的に学校でどんなことをすればいいのでしょうか? 「自分がされてうれしいこと」を、3つの作戦(さくせん)にしてしょうかいします。明日からさっそくやってみましょう!
作戦その1:名前をよんで、笑顔であいさつする
朝、学校のくつばこや教室の入り口で、ともだちや先生に会いますよね。そのときに、ただ「おはよう」と言うだけじゃなくて、こう言ってみてください。
- 「〇〇ちゃん、おはよう!」
- 「〇〇くん、きょうのメガネ、かっこいいね!」
【自分がされてうれしい理由】
朝、名前をよばれて笑顔であいさつされると、「ぼく(わたし)のことを見ていてくれたんだな」「大切にされているんだな」と安心しますよね。学校のスタートが、一気にハッピーになります。
作戦その2:小さな「ありがとう」と言葉のたすけ舟をだす
給食のじゅんびや、そうじの時間。クラスのみんなが少しずつがんばっています。そんなときに見つける「小さながんばり」を見つけてみましょう。
- 机をはこぶのを手伝ってくれたときに、「ありがとう!すごくたすかったよ」と言う。
- プリントくばりをしている子がいたら、「いつもありがとうね」と声をかける。
- もし、ノートをわすれてこまっている子がいたら、「よかったら、これ見る?」とかしてあげる。
【自分がされてうれしい理由】
自分ががんばっているときに、「見ていてくれたんだ」「ありがとう」と言ってもらえると、すごくうれしい気持ちになりませんか? 「私のこと、わかってくれる人がいる」と思えると、勇気がわいてきます。
作戦その3:ともだちのいいところを、かくさず伝える
いっしょに遊んでいるときや、係の仕事をしているときに、「この子、すごいな」「やさしいな」と思う瞬間がありますよね。その心の中で思ったことを、そのまま声に出して伝えてみましょう。
- 「〇〇ちゃんって、絵がすごくじょうずだよね!」
- 「今のパス、めっちゃかっこよかったよ!」
- 「いつもクラスのために黒板をきれいにふいてくれてありがとう」
【自分がされてうれしい理由】
人からじぶんのいいところをほめられると、はずかしいけれど、心の中はぽかぽかして自信がついてきます。「もっとがんばろう!」というパワーがわいてきますよね。
自分がされていやなことは、絶対にしない
「自分がされてうれしいことをする」のと同じくらい大切な、もうひとつのルールがあります。
それは、「自分がされていやなことは、人にはしない」ということです。
たとえば、こんなことをされたら、すごく悲しい気持ちになりませんか?
- じぶんが話しているときに、話をじゃまされたり、無視されたりする。
- いやなあだ名でよばれたり、悪口を言われたりする。
- ものを勝手に使われたり、隠されたりする。
脳科学の「ミラーニューロン」は、いやなことをされたときにも強く働きます。人にいやなことをすると、めぐりめぐって、自分の脳にも「いやなストレス」としてかえってきてしまうのです。
クラスの友だちは、みんな大切なチームメイトです。自分がされてかなしいことは、どんなに小さなことでも、まわりの人にはしない。この心がまえがあるだけで、クラスの空気がぐっとやさしく、居心地のいい場所に変わっていきます。
まず「自分」をたいせつにすることから始めよう
ここまで、人にやさしくすることや、うれしいことをするお話をたくさんしてきました。でも、最後に一番大切なことをお話しします。
それは、「まず、自分自身を大切にすること」です。
クラスの友だちに優しくしようとするあまり、「自分ががまんすればいいや」「みんなに合わせなきゃ」と、自分の気持ちを押しつぶしていませんか? それでは、本当の意味で人に優しくすることはできません。
スマホやゲーム機と同じで、人間もエネルギーが「ゼロ」になってしまうと、動けなくなってしまいます。自分がいそがしすぎたり、疲れていたり、悲しい気持ちでいっぱいなときは、人に優しくするのがむずかしくなって当然なのです。
だからこそ、まずは自分をたくさんよしよししてあげてください。
- 「きょうも学校に行っただけで、えらかった!」
- 「宿題ぜんぶ終わらせて、よくがんばったね」
- 「つかれたときは、すきな本を読んでゆっくり休もう」
こんなふうに、自分がされてうれしい言葉を、まずは自分自身にかけてあげるのです。自分で自分の心をいっぱいにして、エネルギーを満タンにしてください。
自分の心が元気でハッピーになると、そのあふれた優しさが、自然とまわりのともだちや家族にわけあたえられるようになります。これが、脳科学が教えてくれる、一番自然で、一番すてきな「好かれるコミュニケーション」の形です。
明日、学校に行ったら、まずは自分の心に「おはよう、今日もがんばろうね」と声をかけてみてください。そして、となりの友だちに、とびきりの笑顔であいさつをしてみましょう。あなたのその小さな一歩が、学校中を笑顔にする大きな魔法の始まりになりますよ。