相手を責めずに自分の気持ちを話す
「なんでいつも手伝ってくれないの!」
「どうして自分の係の仕事を忘れるの!」
学校で、こんなふうに友達に怒ってしまったことはありませんか? 言ったあとに、なんだか気まずい空気になってしまったり、「あんな言い方、しなきゃよかったな…」とちょっぴり後悔したりした経験があるかもしれません。
クラスのなかで、みんなと仲良く楽しく過ごしたい。自分の意見もちゃんとわかってもらいたい。そう思っているのに、言葉がきつくなってしまって、うまくいかないことってありますよね。
実は、心理学の世界には、相手とケンカをしないで、自分の直してほしいところや、困っている気持ちを100パーセントまっすぐに伝える「魔法の話し方」があるのです。これをマスターすると、あなたのまわりに自然と笑顔の友達が集まるようになりますよ。さあ、その秘密をのぞいてみましょう!
心理学で見つけた!カッとならない「アイ・メッセージ」の秘密
人と話すとき、心理学では言葉の「主語(しゅご)」がとても大切だと考えられています。主語というのは、「だれが」という部分のことですね。
普段、怒っているときやイライラしているとき、私たちは無意識にこんな話し方をしていませんか?
- 「あなたは、どうしてそんなことするの!」
- 「あなたって、いつも自分勝手だよね」
このように、主語が「あなた(英語でいうとYou)」になっている話し方を、心理学では「ユー・メッセージ」と呼びます。このユー・メッセージには、相手をギュッと攻撃して、「お前が悪い!」と責めるパワーが入っています。
言われた相手は、どんな気持ちになるでしょうか? 心のなかで「なんだよ!自分だって同じじゃないか!」と、トゲトゲした気持ちになって、すねてしまったり、言い返してきたりしますよね。これでは、いつまでたっても仲良くはなれません。
そこで登場するのが、心理学のすご技「アイ・メッセージ」です。「アイ(I)」とは、英語で「わたし」のこと。つまり、主語を「わたし」にして話す方法です。
アイ・メッセージにすると、どう変わる?
「あなた」を「わたし」に変えるだけで、言葉のふんいきがガラリと変わります。さきほどの言葉を、アイ・メッセージに変えてみましょう。
- 「(わたしは)手伝ってもらえなくて、ちょっと悲しかったな」
- 「(わたしは)急に予定が変わると、びっくりしちゃうな」
どうですか? 相手を責めるキバが抜けて、あなたの「本当の気持ち」だけがまっすぐ相手に届くような気がしませんか? 心理学の研究でも、このアイ・メッセージを使うと、聞いた相手が「ごめんね、気づかなかったよ」と素直に反省しやすくなることがわかっています。
学校生活で使ってみよう!具体的な3つのステップ
「アイ・メッセージがすごいのはわかったけど、実際に学校でどう使えばいいの?」
そう思ったあなたのために、明日からすぐに使える3つのステップを紹介します。ノートにメモしなくても大丈夫。頭のなかにいれておくだけで、いつでも使えますよ。
ステップ1:まずは自分の「ホントの気持ち」に気づく
カッときたとき、私たちの心の中は「怒り」の炎でいっぱいです。でも、その下のほうには「かなしい」「さみしい」「こまっている」「しんぱい」といった、本当の気持ちがかくれています。
たとえば、お友達があなたの約束を忘れちゃったとします。「なんで忘れるのよ!」と怒る前に、心の中でこうつぶやいてみてください。
「あぁ、わたし、約束を忘れられてさみしかったんだな」と。
まずは、自分の本当の気持ちに自分で気づいてあげることがスタートです。
ステップ2:「わたし」を主語にして言葉にする
本当の気持ちがわかったら、いよいよ言葉にします。ここで「わたし」を主語にすることを絶対に忘れないでください。
「わたしは、約束を忘れられちゃって、すごくかなしかったんだ」
このとき、大きな声で怒鳴る必要はありません。いつもの話し声で、少しだけゆっくり話すのがコツです。
ステップ3:相手がどうしてそうなったかを聞いてみる
自分の気持ちを伝えたら、そこで会話を終わりにせず、相手にもバトンを渡してあげましょう。
「何か、忘れちゃうような理由があったのかな?」
こう聞かれると、相手は「実は昨日、宿題が多くて遅くまで起きててさ…」と、本当のことを話しやすくなります。お互いの事情がわかると、「じゃあ次はこうしようか」と自然に解決策が見つかるのです。
こんなときどうする?クラスでよくあるトラブル解決シーン
学校生活では、いろんな場面で「あれっ?」と思うことがありますよね。具体的なシチュエーションで、アイ・メッセージの使い方の練習をしてみましょう。
シーン1:係の仕事を友達がわすれてしまったとき
黒板係のあなたと、相方のAくん。今日はAくんが黒板を消す番なのに、外でサッカーをしたまま帰ってきません。あなた1人で黒板を消しながら、イライラがたまります。
やってはいけない(ユー・メッセージ)言い方:
「ちょっと!どうしてAくんはいつもサボるの!?私1人だけに仕事させないでよ!」
(これだと、Aくんは「うるさいな、後からやろうと思ったのに!」と怒り出してしまいます)
神コミュニケーション(アイ・メッセージ)の言い方:
「Aくん、今日は私1人で黒板を消したんだ。私はね、2人で分担できると思っていたから、1人だとすごく大変だなと感じちゃったんだよね。何かあったの?」
(こう言われたら、Aくんは「ごめん!サッカーに夢中になりすぎた。明日から気を付ける!」と素直に謝りやすくなります)
シーン2:おうちのお手伝いで、お母さんに文句を言われたとき
学校から帰ってきて、宿題をやろうとしたところにお母さんがやってきました。
「またリビングの床にランドセル置きっぱなしにして!何回言ったらわかるの!」
思わず「今からやろうと思ったのに!」と言い返したくなりますよね。
そんなとき、自分のほうからアイ・メッセージを使ってみるのも、実はとってもかっこいい大人のテクニックです。
神コミュニケーション(アイ・メッセージ)の言い方:
「お母さん、ランドセルをすぐ片付けなくてごめんね。僕は、学校から帰ってきてすぐだったから、ちょっと一息つきたかったんだ。でも、お母さんが片付けなくて困っているなら、これからは帰ってきたらすぐ部屋に持っていくね」
ここまで言われたら、おこっていたお母さんも「そっか、疲れていたんだね。言いすぎてごめんね」と、きっとやさしい気持ちになってくれます。おうちの中の空気も、一気にポカポカになりますよ。
今日から「自分の気持ちのアーティスト」になろう
自分の気持ちを上手に伝えることは、自分の心を大切にすることでもあります。
ユー・メッセージは、相手をキズつけてしまう「トゲトゲの矢」のようなもの。アイ・メッセージは、自分の心をふんわりと相手に包んで届ける「プレゼントの包み紙」のようなものです。
どちらを相手に渡したいですか? もちろん、やさしいプレゼントのほうですよね。
最初は、ちょっと恥ずかしかったり、うまく言葉が出てこなかったりするかもしれません。でも、大丈夫。学校の教室で、お友達とお話するときに、ほんの少しだけ「わたしはね…」と心の中でつぶやいてから話し始めてみてください。
あなたのまわりの空気が、まるで魔法にかかったようにやさしく変わり、友達との絆がもっともっと深まるのを実感できるはずです。明日、学校でクラスの友達と話すとき、さっそく「アイ・メッセージ」を使ってみましょう!