ルール42:相手の「小さなへんか」に気づいて、サッとほめる
朝、教室のドアをあけたとき、あなたはまず何を見ますか?自分の席かな?それとも、黒板に書かれた日直の名前かな?
クラスでいつもみんなに囲まれていて、なぜかみんなから「いっしょに遊ぼう!」と声をかけられる人気者の子を、じっくり観察してみてください。その子は、教室に入った瞬間に「ある魔法のめがね」をかけています。
そして、友達のところにトコトコと歩いていって、こんな言葉をかけているはずです。
「あ!○○ちゃん、髪の毛切った? すごくかわいい!」
「〇〇くん、その消しゴム、新しいやつだね! めっちゃかっこいい!」
言われた友達は、パッと顔を輝かせて「うん! 昨日お母さんと買いに行ったんだ!」と嬉しそうに答えます。たったこれだけのやりとりで、二人の間の空気は一瞬でぽかぽかとあたたかくなります。
「でも、どうして髪型や持ちものをほめるだけで、そんなに仲良くなれるの?」「ほめるのって、なんだか照れくさいな…」と思うかもしれませんね。実は、相手の小さな変化に気づいて伝えることには、人間が昔から持っている「あるすごい秘密」がかくされているのです。
なぜ「へんか」に気づくだけで、一瞬で心が通じあうの?
ここで、少しだけ大人っぽい「学問」のお話をしましょう。むずかしい言葉に聞こえるかもしれませんが、とっても面白い秘密です。
①「文化人類学(ぶんかじんるいがく)」が教えてくれる、大昔からの約束
文化人類学とは、「人間って、昔からどうやって仲間と助け合って生きてきたんだろう?」ということを研究する学問です。
いまから何万年も前、人間がまだジャングルや洞窟(どうくつ)でくらしていた頃、一人だけで生き残ることはできませんでした。猛獣(もうじゅう)から身を守るためにも、みんなで強い絆(きずな)をつくる必要があったのです。
その頃から、人間には「自分の小さな変化に気づいてくれる人を『絶対に自分を裏切らない味方だ!』と信じる本能」がすり込まれました。
例えば、体に小さな傷がついていることに気づいてくれたり、飾りの貝殻(かいがら)を変えたことに気づいてくれたりする仲間がいると、大昔の人たちは「この人は自分のことをちゃんと見てくれている! 大切な味方だ!」と心から安心したのです。
つまり、あなたが友達の髪型や消しゴムの変化に気づくことは、友達の心の中にある「この人はぼく(わたし)の味方だ!」というスイッチをポチッと押すことと同じなのです。
②「統計学(とうけいがく)」が証明した、好かれる子の共通点
もうひとつ、「統計学」という学問があります。これは、たくさんの人のデータを集めて「ホントの秘密」を数字で突きとめる学問です。
学校で人気がある子と、そうではない子の行動をたくさんのデータにして比べた調査があります。すると、面白いことがわかりました。
「自分はおもしろい話ができるよ!」と自分のアピールばかりする子よりも、「相手の小さな変化を見つけて声をかける回数が多い子」のほうが、圧倒的に友達から『大好きな人』として選ばれる確率が高いという結果が出たのです。
特別な面白いギャグが言えなくても、運動が一番じゃなくても大丈夫。「へんかに気づく回数」をやすやすと増やしていくだけで、あなたはクラスの中で自然と愛される存在になれるのです。
明日から使える!「へんか探偵」になる3つのステップ
それでは、どうすれば友達の小さな変化に気づけるようになるのでしょうか? 今日からあなたも「へんか探偵(たんてい)」になって、3つのポイントをチェックしてみましょう!
ステップ1:身につけているものの「ちがい探し」
一番見つけやすいのが、友達が身につけている道具や服の変化です。朝の会が始まる前の数分間、クラスの友達をふんわりと眺めてみてください。
- 髪型(かみがた):「髪を切った」「髪かざりが新しくなった」「前髪がすっきりした」
- 文房具(ぶんぼうぐ):「筆箱が変わった」「新しいキャラクターの定規を使っている」「鉛筆が新しく削ってある」
- 服や靴(くつ):「新しい靴を履いている」「服の色がいつもと違って新鮮」「新しいハンカチを持っている」
ステップ2:係活動や、お掃除での「頑張りのへんか」
ものだけではありません。友達の「行動」の変化に気づけると、相手はもっと感激します!
- 給食係の子:「今日、配膳(はいぜん)するスピードがすごく速くなったね!」
- 黒板消し係の子:「黒板がすみっこまでピカピカになっていて、気持ちいいな!」
- 掃除の時間:「机をはこぶとき、すばやく手伝ってくれてありがとう!」
誰も見ていないような地味な頑張りに気づいてあげると、相手にとってあなたは「特別な理解者」になります。
ステップ3:家でのお手伝いや、表情の「気ぶんのへんか」
この探偵の目は、学校だけでなく、おうちでも使えます。
- お母さんやお父さんへ:「今日のごはん、いつもと少し味が違っておいしい!」「新しいお洋服、似合ってるね」
- 兄弟やお友達へ:「あ、今日はなんだか朝からすごく元気がいいね! 何かいいことあったの?」
顔の表情や気ぶんの変化に気づいて声をかけてもらえると、家族も友達も「自分のことを見ていてくれているんだな」と、あたたかい気持ちになります。
相手のタイプ別!魔法の声かけフレーズ集
いざ変化を見つけても、「なんて声をかけたらいいかわからない…」というときもありますよね。そのまま使える魔法のフレーズをまとめました!
① 髪型や服を変えた友達へ
「あ! 髪切った? すごく似合ってる!」
「その服、かっこいい(かわいい)ね! 初めて着てきた?」
【ポイント】
「髪切った?」と質問するだけでOKです! 相手が「うん!」と答えたら、「似合ってるね!」と笑顔で一言そえましょう。
② 新しい文房具を持っている友達へ
「その筆箱、新しいやつだ! 色がすごくいいね」
「〇〇ちゃんの持ってるそのシャーペン、使いやすそう!」
【ポイント】
持ちものをほめられると、自分の「センス」をほめられた気持ちになって、誰でも嬉しくなります。
③ 係活動や授業で頑張っている友達へ
「今日の発表、声がすごく通っていて分かりやすかったよ!」
「日直の号令、すごくカッコよかった!」
【ポイント】
「上手だね」というよりも、「私はそう思ったよ」と素直な感想を伝えるのがコツです。
※気をつけて!もったいない「NGな気づき方」
せっかく変化に気づいても、言い方を間違えると逆効果になってしまうことがあります。次の3つの「もったいないNG」に気をつけましょう。
✖️ NG1:大声でからかうように言ってしまう
「えー! 〇〇くん髪切ったの!? 似合わねー!」などと、恥ずかしがらせるような言い方は絶対NGです。変化に気づいたときは、優しく、相手だけに聞こえるくらいの明るい声で伝えましょう。
✖️ NG2:思ってもいない「ウソのほめ言葉」を言う
心の中では「変だな」と思っているのに、無理に「すごいね!」とほめると、相手にウソが伝わってしまいます。自分が「あ、いいな!」「素敵だな!」と本当に思ったことだけを言葉にしましょう。
✖️ NG3:ネガティブなへんかをそのまま言う
「今日、なんだか顔色が悪いね」「なんか太った?」など、相手が傷つくかもしれないマイナスの変化は、そのまま言わずに「大丈夫? 何かあったら言ってね」と心配する言葉に変えましょう。
明日、学校でやってみよう!「へんか発見ミッション」
さあ、明日学校に行くのが少し楽しみになってきませんか?
明日の朝、教室のドアを開けたら、あなたの「へんか探偵のめがね」をセットしてください。そして、次の「へんか発見ミッション」に挑戦してみましょう!
【明日のミッション】
① 席が近い友達の「いつもと違うところ」を1つ見つける
②「あ、〇〇変えたんだ! いいね!」と1人に伝える
たったこれだけです。たった一言の声をかけるだけで、話しかけられた友達はパッと笑顔になり、あなたのことを「自分のことを見てくれる大好きな友達」として心に刻むはずです。
あなたの観察力という温かい光で、クラスの友達をたくさんの笑顔にしていってくださいね!