第10章:自分を大切にすることが平和の始まり
無理をしてまで誰かに合わせない
ねえ、みんなはこんな気持ちになったことはないかな?
- 本当は遊びたくないゲームなのに、友達が「やろう!」って言うから、「うん、いいよ!」って言っちゃった。
- みんなが「あのお店に行きたい!」って言ってるけど、自分は違うお店に行きたかったのに、「そうだね!」ってうなずいちゃった。
- クラスで係の仕事を決めるとき、本当は〇〇係がよかったのに、友達が「一緒に△△係やろうよ!」って言うから、「うん、いいよ!」って言っちゃった。
- 友達が誰かの悪口を言っているとき、本当は「そんなことないよ」って言いたかったけど、「そうだね…」って、つい合わせてしまった。
こんな風に、自分の本当の気持ちとは違うことを言ったり、やったりしてしまうこと、あるよね。これを「無理して誰かに合わせる」って言うんだ。みんなは、こんな時、どんな気持ちになるかな?
なんだか、心の中にモヤモヤしたものが残ったり、少しだけ悲しい気持ちになったりしないかな? 実は、この「無理」が、気づかないうちにみんなの心と体に、そして友達との関係に、大きな影響を与えていることがあるんだよ。
「無理」は脳からの「ストップ!」サイン
みんなの体の中で、一番えらい司令塔はどこか知ってる? そう、「脳」だよね! 脳は、みんなが毎日を楽しく、元気いっぱいに過ごせるように、いつも頑張ってくれているんだ。
脳はね、みんなが「楽しい!」「嬉しい!」と感じることを大好き。そんな時は、脳の中から「ドーパミン」っていう、やる気や幸せを感じさせてくれる魔法の物質がいっぱい出るんだよ。だから、みんなはもっと楽しくなってもっと頑張れるんだ。
でも、もしみんなが「嫌だな」「つらいな」って思いながら、無理して誰かに合わせていると、脳は「あれ?このままだと危ないぞ!」って警報(けいほう)を鳴らすんだ。その時、脳から出るのが「コルチゾール」っていうストレスホルモンなんだ。このコルチゾールは、みんなが「しんどい」「疲れた」って感じる原因になるんだよ。
想像してみて。もし、みんなの元気メーターが、無理をするたびに少しずつ減っていったらどうなるかな? 最初は気づかなくても、だんだん「なんだかやる気が出ないな」「イライラするな」って感じてしまうかもしれない。これは、脳がみんなに「もう無理しないで!休んで!」ってサインを送っている証拠なんだ。
だから、「無理をする」っていうのは、脳がみんなの体に「ストップ!」って言っているサインなんだよ。自分の気持ちに正直になることは、脳を元気にしてあげることなんだね。
無理すると、なぜ「敵」ができやすくなるの?
「え?無理しないと、友達に嫌われちゃうんじゃないの?」って心配になる子もいるかもしれないね。でも、実は逆なんだ。無理をしてばかりいると、かえって友達との関係がうまくいかなくなることがあるんだよ。
行動学(こうどうがく)っていう、人がどんな時にどんな行動をするかを研究する学問があるんだけど、それによると、人は自分の気持ちに正直で、自分を大切にしている人に惹(ひ)かれるって言われているんだ。
みんなが無理して誰かに合わせていると、心の中には「本当は嫌なのに…」「なんで私ばっかり…」っていう気持ちが少しずつ溜まっていくよね。その気持ちは、顔の表情や声のトーン、態度に、気づかないうちに表れてしまうことがあるんだ。
- 笑顔がぎこちなくなる
- 話す声に元気がなくなる
- ちょっとしたことでイライラしやすくなる
- 相手に冷たい態度をとってしまう
こんな風に、みんなが無理していることが相手に伝わると、相手も「あれ?なんか元気ないな」「もしかして、私といるのが楽しくないのかな?」って感じてしまうかもしれない。すると、お互いの間に小さな壁(かべ)ができてしまって、だんだん距離が離れていってしまうことがあるんだ。
それに、いつも無理してばかりいると、自分自身が「本当の私ってなんだろう?」って分からなくなってしまったり、「どうせ私の意見なんて聞いてもらえない」って自信がなくなってしまったりすることもある。自分を大切にできない人は、周りの人も大切にすることが難しくなってしまうんだ。
だから、無理をしないこと、自分の気持ちを大切にすることは、自分自身を好きになるための魔法であり、友達と本当の信頼関係を築くための大切な一歩なんだよ。
自分を大切にする「魔法の言葉」を練習しよう!
じゃあ、どうすれば無理しないで、自分の気持ちを大切にしながら、友達とも仲良くできるんだろう? ここからは、みんなが明日からすぐに使える「魔法の言葉」と「魔法の考え方」を紹介するね!
魔法その1:自分の気持ちに「気づく」練習
まずは、自分が「無理してるな」って感じた時に、それに気づくことが大切だよ。心の中のモヤモヤや、体のちょっとした変化に気づいてみよう。
- 「あれ?なんか、あんまり楽しくないな…」
- 「なんだか、疲れてきたな…」
- 「本当は、こうしたいんだけどな…」
こんな風に、自分の心に小さな声で問いかけてみて。「今、本当はどうしたい?」って自分に聞くことで、自分の気持ちがはっきり見えてくるはずだよ。
魔法その2:やさしく「ごめんね」を伝える練習
自分の気持ちに気づいたら、それを相手に伝える練習をしてみよう。でも、いきなり「嫌だ!」って言うと、相手もびっくりしちゃうかもしれないよね。だから、やさしい言葉で伝えてみることがポイントだよ。
- 「ごめんね、今日はちょっと疲れてるから、お家でゆっくりしたいな」
- 「ごめんね、そのゲームはちょっと苦手なんだ。別のゲームにしない?」
- 「ごめんね、今日は〇〇係の仕事があるから、また今度一緒に遊ぼう!」
大切なのは、相手の誘いを否定するんじゃなくて、自分の状況や気持ちを伝えることだよ。相手も「そっか、そういうことなら仕方ないね」って分かってくれるはずだよ。
魔法その3:「また今度ね!」の魔法
すぐに断るのが難しい時は、「また今度ね!」っていう魔法の言葉を使ってみよう。
- 友達:「ねえ、今から公園行かない?」
自分:「ごめん、今日はちょっと用事があるんだ。また今度、行こうね!」 - 友達:「この本、一緒に読もうよ!」
自分:「うん、面白そうだね!また今度、ゆっくり見せてくれる?」
「また今度」って言うことで、相手も「嫌われてるわけじゃないんだな」って安心できるし、みんなも「今日は無理しなくてよかった」ってホッとできるよね。
魔法その4:「別の提案」の魔法
相手の誘いを断るだけじゃなくて、「別の提案」をしてみるのもいい方法だよ。
- 友達:「ねえ、鬼ごっこしよう!」
自分:「鬼ごっこも楽しいけど、今日はドッジボールがしたいな。どうかな?」 - 友達:「このお店でアイス食べよう!」
自分:「アイスもいいけど、隣のパン屋さんでメロンパン食べるのはどうかな?私、メロンパン大好きなんだ!」
こうやって、自分の「好き」や「やりたいこと」を伝えると、相手も「なるほど!それもいいね!」って思ってくれることがあるんだ。もしかしたら、新しい楽しいことを見つけられるかもしれないよ。
自分を大切にすることが、みんなを笑顔にする!
自分を大切にすること、自分の気持ちに正直になることは、わがままなことじゃないんだ。むしろ、自分を大切にできる人こそ、本当の意味で周りの人にも優しくできる人なんだよ。
想像してみて。もしみんながいつも無理ばかりしていたら、心の中はイライラやモヤモヤでいっぱいになっちゃうよね。そんな時、友達に優しくしたり、笑顔で接したりするのは、とっても難しいことだと思わない?
でも、自分の気持ちに正直になって、無理をしないようにすると、心の中には「ゆとり」が生まれるんだ。このゆとりがあると、友達が困っている時に「どうしたの?」って声をかけてあげられたり、友達の面白い話に心から笑うことができたりするようになるんだよ。脳科学でも、心が安定していると、「オキシトシン」っていう安心感や信頼感を高めるホルモンが出やすくなるって言われているんだ。このオキシトシンは、みんなと友達との絆(きずな)を強くしてくれる魔法の物質なんだよ。
つまり、自分を大切にすることは、心を元気にする魔法であり、友達との関係をより良くする魔法なんだ。そして、それが巡り巡って、クラスのみんなと仲良く過ごすための「敵をつくらない」平和な世界に繋がっていくんだね。
だから、今日から、自分の心に耳を傾けてみて。「今、私、本当はどうしたい?」って、自分に聞いてあげる時間を大切にしよう。そして、少しずつでいいから、自分の気持ちを伝える練習をしてみよう。きっと、みんなの毎日が、もっともっと輝き始めるはずだよ!