自分のことがすきになると、周りのみんなとも仲良くなれる?
「どうしてクラスのあの子は、いつもみんなに囲まれて楽しそうなのかな?」
「いじわるを言われたわけじゃないのに、なんだかあの人と一緒にいるとイライラしちゃう…」
学校生活の中で、そんなふうに思ったことはありませんか?
実は、クラスのみんなと仲良く過ごして、だれからも嫌われない「敵をつくらない魔法」の中で、一番大切な魔法があります。それは、「自分自身を大好きになること」です。
「えっ? 友達と仲良くするお話なのに、自分のこと?」とびっくりしたかもしれませんね。でも、心の中を想像してみてください。自分の心というバケツが、イライラや「自分なんてダメだ…」という悲しい気持ちでいっぱいだったらどうでしょう。友達がちょっと教科書を忘れたり、掃除の時間をさぼったりしただけで、バケツから怒りがあふれでてしまいますよね。
反対に、自分の心が「今日も自分はがんばったぞ!」という明るい気持ちでいっぱいなら、友達の失敗にも「いいよ、次から気をつければ大丈夫!」と、優しく笑顔で許してあげることができます。自分に優しくできる人は、人にも同じくらい優しくできるのです。
脳のふしぎ!「ウキウキめがね」の魔法
「でも、自分の良いところなんて、そんなにたくさん思い浮かばないよ…」と思ったあなた。安心してください! それは、あなたがダメなわけではなく、脳の「あるクセ」のせいなのです。
わたしたち人間の脳には、昔から「あぶないこと」や「ダメなところ」を優先して見つけるという、生きていくためのクセがあります。だから放っておくと、脳は勝手に「今日のテストの点が悪かったな」「体育でうまく走れなかったな」という悪いところばかりを集めてしまうのです。
ここで、脳科学(あたまの仕組みを研究する学問)の面白いお話を紹介しましょう。
脳には、自分が「大事だ!」と思った情報だけをあつめる「情報あつめフィルター(RAS)」という特別なめがねが備わっています。
たとえば、「赤色のものを探そう!」と心の中で思ってから教室を見まわすと、カレンダーの赤文字、友達の赤えんぴつ、防災ずきんの赤色など、きゅうに赤色ばかりが目にとびこんできますよね。赤色が急に増えたわけではありません。あなたのあたまのフィルターが「赤色をあつめろ!」と命令を出したからです。
自分の良いところ探しも、これとまったく同じです!
「自分のダメなところ」ばかり気にしていると、脳のフィルターはダメなところばかりを集めます。でも、今日から「自分の良いところを探すウキウキめがね」をかけると決めるだけで、脳は勝手にあなたの「すてきなところ」を集め始めてくれるのです!
自分に対して「ウキウキめがね」をかけることができるようになると、ふしぎなことに、クラスの友達に対しても「あの子のこんなところが素敵だな」と、良いところが見えるようになっていきます。敵をつくらない人は、みんなこの「ウキウキめがね」をかけて学校生活を送っているのです。
「できたこと」をみつける3つのレベル(行動学)
では、具体的にどうやって自分の良いところを見つければいいのでしょうか?
ここでは行動学(人がどうやって行動するかを研究する学問)の知恵をつかって、だれでも簡単にできる「良いところ発見術」を教えますね。
良いところを見つけるときは、特別な「100点をとった!」とか「運動会で1位になった!」という大きな出来事でなくても大丈夫です。むしろ、ふだんの生活の中にある、小さくてあたりまえのことに注目するのがコツです。3つのレベルに分けて探してみましょう!
レベル1:あたりまえの中に隠れた「すごさ」
まずは、毎日あたりまえにやっていることです。実は、これこそが一番素晴らしいことなのです。
- 朝、目ざまし時計が鳴ったら自分で起きられた(じぶんで起きるなんて、すばらしい自立です!)
- 「おはよう!」と大きな声で家族や友達に挨拶ができた(相手の心を温かくする魔法をつかいました)
- 給食をのこさず食べた、または苦手なものをひとくち食べた(自分のからだを大切にできています)
レベル2:クラスや家での「ちいさな貢献(こうけん)」
つぎに、クラスの係活動や、家でのお手伝いなど、だれかのために動けたことです。
- 黒板消しの係で、黒板をすみずみまできれいに拭いた(次に使う人が気持ちよく勉強できますね)
- 落ちていた友達の消しゴムを拾ってあげた(あなたのやさしさがクラスを平和にしました)
- 夕方、玄関の靴をそろえた(家の中の空気がパッと整いました)
レベル3:失敗したけど「チャレンジしたこと」
行動学では、結果よりも「チャレンジしたこと(行動したこと)」をほめるのが一番大切だとされています。失敗の中にも、良いところは隠れています。
- 授業中、手をあげて発表しようとした(答えが違っても、手をあげた勇気が100点満点です!)
- 苦手な縄跳びの二重跳びに挑戦して、1回も跳べなかった(あきらめずに縄を振ったことがかっこいい!)
- 友達と喧嘩しそうになったけど、ぐっと言葉をのみこんだ(自分の気持ちをコントロールしようとがんばりました)
今日からできる!「いいところ発見ノート」のつくり方
自分の良いところを毎日ひとつ見つけたら、それをあたまの中で思うだけでなく、ノートに書いて形に残しましょう。文字に書くことで、脳に「これは大切な思い出だぞ!」と深く刻み込まれます。
用意するのは、家にある小さなメモ帳や余っているノートでOKです。名付けて「いいところ発見ノート」!
【ノートの書き方3ステップ】
① 日付を書く
(例:10月15日 水曜日)
② 今日見つけた「自分の良いところ」を1つだけ書く
(例:掃除の時間、だれも吹きそうにない教室のすみを黙々とぞうきんがけした!)
③ ひとこと、自分をほめる言葉を書く
(例:見えないところをきれいにできるなんて、私ってかっこいい!)
これを、夜寝る直前の1分間で行います。実は、寝る直前の脳は、書いたことや考えたことを強く記憶する性質を持っています。寝る前に「今日も私、よくがんばったな」と思いながら目を閉じると、寝ている間に脳が「自分はすてきな人間だ」という自信をどんどん育ててくれるのです。
もし疲れて書けない日があっても、「今日は休むことができた!自分の体をいたわれてえらい!」とノートに書いてしまえば大丈夫。どんな日でも、あなたは100点満点です。
明日学校で試してみよう!「イライラ」が「にっこり」に変わる瞬間
「いいところ発見ノート」を続けて自分のことが好きになってくると、明日の学校生活がガラリと変わります。具体的にどんな変化が起きるか、クラスの場面で見てみましょう!
【場面1】グループ学習で、友達が自分の意見を聞いてくれないとき
これまでのあなた:
「なんで聞いてくれないの!むかつく!」とイライラしたり、「どうせ私なんて…」と落ち込んでしまう。
ウキウキめがねをかけたあなた:
「私はノートに自分の意見をしっかり書けた(自分の良いところ発見!)。あの子はいま熱中しているんだな」と、落ち着いて相手を待つことができる。さらに「〇〇さんの意見も素敵だね」とほめる余裕が生まれる。
【場面2】ドッジボールで、友達が自分に強くボールを当ててきたとき
これまでのあなた:
「わざと強く投げてきた!ひどい!もうあの子とは口をきかない!」と敵を作ってしまう。
ウキウキめがねをかけたあなた:
「当たっちゃったけど、最後まで逃げずに前を見ていた自分、えらいぞ!」と自分をほめたあと、「いいコントロールだね!」と相手のナイスプレイをたたえることができる。
どうでしょうか?
自分の中に自信と優しさのパワーがたまっていると、友達の言動に振り回されなくなります。そして、どんなときも自分を肯定できるあなたからは、いつも温かくて優しい空気がでています。そんなあなたの周りには自然と人が集まり、気づけば「敵」なんて一人もいなくなっているのです。
平和な学校生活をつくる魔法の鍵は、先生でもなく、友達でもなく、あなた自身の心の中にあります。
さあ、今日の夜から、まずは1分間。お気に入りのノートを開いて、自分の良いところをひとつだけ見つけてみてください。
「自分を好きになる魔法」を手にいれたあなたが、明日、笑顔いっぱいで学校の門をくぐる姿を楽しみにしています!