名前を呼んでから話しかける
クラスの教室で、となりの席の子に何かを伝えたいとき、あなたはどうしていますか?「ねえねえ」と肩をたたいたり、ただ「あのさ」と話しはじめたりしていませんか?
もし、あなたが「もっとみんなから話しかけられたい」「クラスのみんなと仲よくなりたい」と思っているなら、とっておきの「魔法」を教えます。それは、話しかける前に、相手の名前を呼ぶことです。たったこれだけで、相手はあなたに対して「この人は自分のことを大切に思ってくれている」と感じるようになります。
なぜ「名前」を呼ぶだけで特別になれるの?
心理学の世界では、自分の名前を呼ばれることを「ネーム・レコグニション(名前の認識)」と呼びます。人は誰でも、自分の名前に特別な愛着を持っています。自分という存在を認めてもらいたい、大切にされたいという気持ちは、だれもが心の中に持っているからです。
たとえば、休み時間に先生が「〇〇さん、ちょっと手伝ってくれる?」と名前を呼んで頼みごとをしてきたら、なんだか少しうれしくなりませんか?それは、先生が「数ある生徒の中から、あなたを選んだ」という合図だからです。
社会言語学という研究でも、名前を呼ぶことは「相手とのきょりを縮めるための、もっとも強力なサイン」だと言われています。名前を呼ぶことは、相手に対して「あなたに話しかけていますよ」とていねいに伝えること。つまり、相手を尊重(そんちょう)しているというメッセージになるのです。
明日からできる「名前呼び」のステップ
では、さっそく明日から学校でやってみましょう。むずかしいことはありません。いつもの言葉の前に、相手の名前をひとつ足すだけです。
- 係の仕事で相談するとき:「ねえ、これどうする?」ではなく、「〇〇くん、これどうする?」
- 休み時間に遊びに誘うとき:「遊ぼう!」ではなく、「〇〇ちゃん、いっしょに遊ぼう!」
- 貸してもらったものを返すとき:「ありがとう」ではなく、「〇〇さん、消しゴム貸してくれてありがとう!」
どうですか?たったこれだけで、言葉のひびきがぐっと温かくなった気がしませんか?
「名前」を呼ぶときの大切なルール
ただし、ひとつだけ気をつけてほしいことがあります。それは、相手が一番うれしい呼び方で呼ぶことです。
クラスには、呼び捨てで呼ばれるのが好きな子もいれば、「くん」「ちゃん」「さん」をつけて呼んでほしい子もいます。相手が普段、友達からどう呼ばれているか、よく観察してみてください。もしわからなければ、まずはていねいに「さん」や「くん」をつけて呼んでみるのが一番安心です。ていねいな呼び方は、あなたの育ちのよさと、相手を気遣う優しさを伝えてくれます。
名前を呼ぶと、あなたの世界が変わる
名前を呼ぶという習慣は、相手を笑顔にするだけではありません。実は、あなたの心にも大きな変化をもたらします。
名前を呼ぶためには、相手の顔をしっかり見て、相手が誰であるかを確認しなければなりません。つまり、「相手のことをちゃんと見ている」という証拠になるのです。クラスの中には、自分から話しかけるのが苦手で、誰かに名前を呼ばれるのを待っている子がたくさんいます。そんな子に、あなたから名前を呼んで話しかけてみてください。
「〇〇さん、おはよう!」
たった一言。朝、教室に入った瞬間に名前を呼んであいさつをするだけで、その子のその日一日は、きっと明るいものに変わります。そして、名前を呼んでくれたあなたのことを、その子は「自分を見てくれている大切な友達」として、ずっと心に残すはずです。
「名前」は世界で一番美しい音楽
アメリカの有名な作家が、「人にとって、自分の名前はどんな言葉よりも心地よく、大切な響きを持つ」と言いました。名前を呼ぶことは、相手に素敵な音楽をプレゼントするようなものです。
明日、学校に行ったら、まずはとなりの席の子の名前を呼んでみてください。そして、係の仕事でいっしょになった子の名前を呼んでみてください。帰り道、お家の人に「ただいま」と言うときも、「お母さん、ただいま」「お父さん、ただいま」と、名前を呼んでみましょう。
名前を呼ぶという魔法は、使えば使うほどあなたを輝かせます。あなたが名前を呼ぶたびに、まわりの人たちはあなたに親しみを感じ、あなたのまわりには自然と笑顔が集まってくるでしょう。さあ、明日の朝から、勇気を出して「名前」を呼ぶことから始めてみませんか?