第1章:自然と人が集まる「話し方」のルール
「でも」のかわりに「そうだね」と一度受け止める
ねえ、みんな。おしゃべりって、楽しいよね! 友達と話しているとき、クラスのみんなとワイワイしているとき、心がウキウキする時間だよね。
でもね、ちょっとだけ、会話がギクシャクしたことってないかな? なんだか相手の顔が曇っちゃったり、急に話が止まっちゃったり……。そんなとき、もしかしたら、君の口からある言葉が出ていたのかもしれないよ。
それはね、「でも」という言葉。
「え? 『でも』がダメなの?」って思ったかな? そうなんだ。じつは、この「でも」という言葉、使い方によっては、相手の気持ちをちょっとだけ冷たくしてしまうことがあるんだ。
「でも」が、どうして相手を悲しませちゃうの?
たとえば、こんな会話を想像してみてほしいな。
- 友達A:「ねえ、今日の給食のカレー、すごくおいしかったね! おかわりしちゃった!」
- 君:「でも、ちょっと辛かったよね。わたしは普通のが好きだな。」
どうかな? 友達Aは「おいしかった!」って楽しい気持ちで話してくれたのに、君の「でも」の後に続く言葉で、なんだかその楽しい気持ちがシュンってしぼんじゃったように感じないかな?
もう一つ例を出すね。
- 友達B:「この算数の問題、すごく難しいよ! 全然わからないや。」
- 君:「でも、先生がヒントくれたから、わたしはもう解けたよ。」
友達Bは困っている気持ちを伝えてくれたのに、君の言葉は「わたしはできた」という自分だけの話。友達Bは「なんだか、わかってもらえなかったな」って、少し寂しい気持ちになるかもしれないね。
「でも」という言葉は、相手が言ったことを「ちがうよ」「そうじゃないよ」って、一度否定(ひてい)してしまう力を持っているんだ。相手は、自分の意見や気持ちを「受け止めてもらえなかった」と感じてしまう。すると、だんだん「この子に話しても、わかってもらえないな」って思って、話すのがイヤになっちゃうこともあるんだよ。
言葉のプロフェッサーたちは、これを「言葉の裏にある気持ち」や「みんなが気持ちよく会話を続けるための見えないルール」として研究しているんだ。わたしたちが話す言葉には、ただの意味だけじゃなくて、話している人の気持ちや、その場の空気、そして相手との関係性まで、たくさんの情報がギュッとつまっているんだよ。
「でも」は、相手の気持ちを受け止めずに、自分の意見を言ってしまうことが多いから、会話のキャッチボールが途中で止まっちゃうんだね。
魔法の言葉「そうだね」を使ってみよう!
じゃあ、どうしたらいいんだろう? 簡単な魔法の言葉があるんだ。それはね、「そうだね」。
「そうだね」って言うと、何が変わると思う?
「そうだね」は、相手が言ったことを「うんうん、わかったよ」「あなたの気持ち、受け止めたよ」って、一度まるごと受け止めることができる、すっごく優しい言葉なんだ。
相手の気持ちを「わかったよ」って受け止めてから、自分の意見を言うと、相手は「わたしの話を聞いてくれた!」って安心するんだ。すると、もっと話したくなるし、君の意見も「なるほど!」って素直に聞いてくれるようになるんだよ。
さっきの例を、「そうだね」を使って言いかえてみよう。
- 友達A:「ねえ、今日の給食のカレー、すごくおいしかったね! おかわりしちゃった!」
- 君:「そうだね、おいしかったね! わたしはちょっと辛かったけど、友達Aは辛いのが好きなんだね!」
どうかな? 今度は、友達Aの「おいしかった!」という気持ちを、君が一度受け止めているのがわかるかな? 「そうだね」があるだけで、友達Aは「うん、わかってくれた!」って、きっとニコニコしてくれるはずだよ。
もう一つの例も見てみよう。
- 友達B:「この算数の問題、すごく難しいよ! 全然わからないや。」
- 君:「そうだね、難しいよね。わたしも最初はわからなかったんだけど、先生がヒントくれたから、なんとか解けたよ。」
今度はどうかな? 友達Bの「難しい」という気持ちに、君が「そうだね」って共感(きょうかん)しているのがわかるよね。友達Bは「ああ、わたしの気持ち、わかってくれたんだ!」って安心する。そして、君がどうやって解けたのか、もっと詳しく聞きたくなるかもしれないね。
言葉のプロフェッサーたちが言うには、この「そうだね」のように、相手の意見や気持ちを一度受け止める言葉は、会話の橋渡し役になるんだって。相手は「自分は大切にされている」と感じるから、安心して会話を続けることができるんだ。
「そうだね」のバリエーションと使い方レッスン!
「そうだね」の他にも、同じように相手の気持ちを受け止める素敵な言葉がたくさんあるよ。
- 「たしかに!」
- 「わかる!」
- 「なるほどね!」
- 「そうなんだ!」
これらを「そうだね」のかわりに使うこともできるよ。大切なのは、相手の言葉を一度、心の中で「うん」って受け止める気持ちなんだ。
【使い方レッスン①:ポジティブな意見に共感するとき】
- 友達:「ねえ、この新しいゲーム、めっちゃ面白いよ!」
- 君:「わかる! わたしもやってみたけど、ハマっちゃったよ!」
- 先生:「今日の理科の実験、みんな真剣に取り組んでいて素晴らしかったですね。」
- 君:「たしかに! みんなで協力できたのが楽しかったです!」
【使い方レッスン②:ネガティブな意見に寄り添うとき】
- 友達:「今日の体育、ドッジボールで全然ボール当たらないから、つまらなかったな。」
- 君:「そうだね、当たらないと悔しいよね。でも、逃げるのが上手だったよ!」
- お母さん:「最近、お部屋が散らかっているわね。もっときれいにできないかな?」
- 君:「そうだね、散らかっちゃってるね。今から片付けるね!」
【使い方レッスン③:意見がちがうときや、断るとき】
意見がちがうときや、相手の誘いを断るときでも、「そうだね」を先に言うと、相手は「わたしの話を聞いてくれた上で、ちがう意見を言ってくれているんだな」って、納得しやすくなるんだ。
- 友達:「ねえ、明日の放課後、公園で遊ぼうよ!」
- 君:「そうだね、公園で遊びたいな! でも、明日は習い事があるから、行けないんだ。ごめんね。明後日ならどうかな?」
ただ「ごめん、無理」って言うよりも、ずっと相手の気持ちを大切にしているのが伝わるよね。
- 友達:「わたしは給食で一番好きなのはパンだな。ごはんよりパン派!」
- 君:「なるほどね、パンもおいしいよね! わたしはごはんのほうが好きかな。お米がもちもちしているのが好きなんだ。」
意見がちがっても、ケンカにならずに、お互いの好きなものを認め合える会話になるよね。
「そうだね」がもたらす、たくさんの良いこと!
この小さな「そうだね」という言葉を使うだけで、君の周りにはたくさんの良いことが起こり始めるよ。
- 友達との関係がもっと深まる!
「この子はわたしの話をちゃんと聞いてくれる!」って思ってもらえるから、友達は安心して君に話しかけてくれるようになるよ。秘密の話も、相談も、君に打ち明けてくれるようになるかもしれないね。 - みんなから「話しやすい人」と思われる!
「そうだね」って言える人は、相手の気持ちを大切にできる人。だから、クラスのみんなから「この子と話すと楽しいな」「もっと話したいな」って思われるようになるんだ。自然と、君の周りに人が集まってくるようになるよ。 - 意見がちがっても、ケンカになりにくい!
「でも」で頭ごなしに否定されると、人はカッとなっちゃうことがある。でも、「そうだね」で一度受け止めてもらえれば、「ああ、わかってくれた上で、ちがう意見があるんだな」って冷静になれるんだ。 - 先生や家族との会話もスムーズに!
これは友達だけじゃなくて、先生や家族にも使える魔法だよ。お父さんやお母さんに何か言われたときも、まずは「そうだね」って受け止めてから話すと、きっと「この子はわたしの話を聞いてくれる」って、もっと優しく接してくれるようになるはずだよ。 - クラスのグループ活動でも大活躍!
グループで何かを決めるとき、みんなの意見がバラバラになることってあるよね。そんなとき、「そうだね、Aさんの意見もいいよね。たしかにそうだけど、Bさんの意見も面白いね!」って、みんなの意見を一度受け止めてから話すと、スムーズに意見がまとまるようになるんだ。君はグループのまとめ役として、みんなから頼られる存在になるかもしれないね。
今日からできるチャレンジ!
さあ、どうだったかな? 「そうだね」の魔法、すごい力があるってわかったかな?
今日から、ぜひ試してみてほしいんだ。まずは、一日一回でいいから、友達や家族との会話の中で、「でも」って言いそうになったら、グッとこらえて「そうだね」って言ってみよう。
そして、相手がどんな反応をするか、よーく観察してみてほしいな。きっと、相手の顔がパッと明るくなったり、もっと楽しそうに話してくれるようになるはずだよ。
この小さな一歩が、君の周りの世界を、もっともっと明るく、楽しいものに変えてくれるはずだよ。君も「そうだね」の魔法使いになって、クラスでいちばん好かれる子を目指してみよう!