苦手な相手にも挨拶だけは欠かさない

📖 『クラスでいちばん好かれる子の秘密 〜今日からできる「愛されコミュニケーション」50のルール〜』
ー 第4章:失敗しても挽回できる「心の持ち方」 ー
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苦手な相手にも挨拶だけは欠かさない
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苦手な相手にも挨拶だけは欠かさない

ちょっと「にがてだな…」と思う友達、クラスにいない?

学校には、いろいろな友達がいますよね。

いつも一緒にいて心が通じ合う大親友もいれば、なぜか話が合わない子、いつも少し意地悪な言い方をしてくる子、何を考えているのか分からなくて気まずい子もいるはずです。

例えば、こんな経験はありませんか?

  • 給食の班決め:あまり話したことがない「にがてな子」と同じ班になって、なんだか空気が重たくなってしまった。
  • 黒板消しの係:いっしょに黒板を消す時間、会話が続かなくて、気まずくて下ばかり見てしまった。
  • 廊下(ろうか)ですれ違うとき:あつれきのある友達が向こうから歩いてきて、目が合いそうになったから、あわてて下を向いて知らんぷりをしてしまった。

「にがてだな」「ちょっとこわいな」と思う相手と会ったとき、目線をそらしたり、なるべく関わらないように避けたりしたくなるのは、人間のごく自然な気持ちです。自分を守ろうとする心が働いているからであって、あなたが悪いわけではありません。

でも、そうやって「知らんぷり」を続けていると、お互いの間の空気がどんどん冷たくなってしまいますよね。相手も「あの人は僕のことが嫌いなんだな」と感じ取って、ますますトゲトゲした態度をとってくるようになります。

ここで、クラスでみんなから愛されている「コミュニケーションの達人」たちが使っている、とっておきの秘密の作戦を教えます。

それは、「苦手な相手ほど、自分から挨拶(あいさつ)だけは絶対に欠かさない」というルールです。

仲良しにならなくてもいいんです。長々と楽しくおしゃべりする必要もありません。ただ、すれ違ったときに「おはよう」「またね」と挨拶の言葉をポンと渡すだけ。たったこれだけで、二人の関係はびっくりするほどガラリと変わっていきます。

なぜ挨拶だけで、気まずい関係が元通りになったり、誰からも嫌われなくなったりするのでしょうか?そこには、人間の行動を研究する学術(がくじゅつ)の世界、「行動学(こうどうがく)」と「行動経済学(こうどうけいざいがく)」のふたつの魔法のメカニズムが隠されているのです。

心が動く秘密①:何度も目に入ると好きになる「くりかえしの魔法」

まずは、行動学のお話からしてみましょう。

人間の心には、とても不思議なクセがあります。それは、「最初はなんとも思っていなかったり、ちょっと苦手だったりしたものでも、何度も何度も目にするうちに、だんだん安心感を覚えて好きになっていく」というクセです。

専門用語ではこれを「単純接触効果(たんじゅんせっしょくこうか)」と呼びますが、ここでは「くりかえしの魔法」と呼びましょう。

みなさんも、こんな経験がありませんか?

テレビやYouTubeで初めて聴いたときは「なんか変な曲だな」と思っていたのに、毎日お部屋やお店で流れているのを聴いているうちに、いつの間にか口ずさんでいて、「結構いい曲かも!」好きになっていた……なんてこと、ありますよね。

実は、クラスの友達の心の中でも、これとまったく同じことが起きています。

あなたが苦手だと思っている相手に、毎日自分から「おはよう!」「バイバイ!」と挨拶を届けるとどうなるでしょうか?

相手の脳(のう)の中には、こんな変化が起きます。

  • 1日目:「えっ、挨拶してきた? なんだろう…」
  • 3日目:「今日も挨拶してくれたな。別に僕のことを嫌っているわけじゃないのかな」
  • 1週間後:「毎朝、声をかけてくれるな。あいつは僕にとって『危険なやつ』じゃなくて『安心できるやつ』だな」

このように、挨拶という小さな接触(触れ合い)をくりかえすだけで、相手の心の中にある「警戒(けいかい)のバリア」が、角砂糖が温かいスープに溶けるように、すーっと消えていくのです。

挨拶は、会話をするためではなく、相手の脳の中に「僕は味方だよ」という安全の合図を何回も送るための最高のツールなのです。

心が動く秘密②:人は「もらったものを返したくなる」いきもの

次に、行動経済学の面白い考え方を紹介します。

行動経済学とは、「人間はどうしてそんな行動をとってしまうのか?」を、心とお金や価値の動きから解き明かす学問です。

この学問では、人間の心には「人から何かをもらうと、同じものを送り返したくなる」という強力なルールがあることが分かっています。これを「返報性(へんほうせい)の原理」、わかりやすく言うと「お返しのルール」と呼びます。

例えば、友達から誕生日プレゼントをもらったら、「次の友達の誕生日に、絶対に素敵なものをプレゼントしたい!」と思いますよね。サッカーの練習で、友達がすごく取りやすいナイスパスを出してくれたら、「次は僕がナイスパスを返してあげなきゃ!」と思いますよね。

挨拶も、これとまったく同じです。

挨拶とは、言葉のプレゼントです。あなたが「おはよう!」と明るく言葉を投げかけることは、相手に「笑顔のコイン」を1枚プレゼントしたのと同じ価値があります。

「笑顔のコイン」をもらった相手の心の中では、無意識(むいしき)に「お返しのルール」がスイッチオンになります。

「あ、挨拶のコインをもらっちゃったな。僕もお返しに『おはよう』って言わなきゃ損した気分になるぞ」と、相手の心が動くのです。

つまり、あなたが苦手な子にも挨拶を欠かさないようにすると、相手の「お返しのルール」を刺激して、相手からも優しい態度を引き出すことができるというわけです。

自分が嫌な態度をとるから相手も嫌な態度になる。逆に、自分が挨拶というプレゼントをあげれば、相手からもプレゼントが返ってくる。とてもシンプルな仕組みだと思いませんか?

苦手な子に挨拶するときに使える「3つのレベル別アクション」

「理由はわかったけれど、やっぱり苦手な子に声をかけるのは勇気(ゆうき)がいるよ…」

そう思う人も大丈夫です!最初から満点を目指す必要はありません。あなたの心の準備に合わせて、次の「3つのレベル」から試してみてください。

自分ができるレベルから少しずつ試していくだけで、明日の学校がゲームのクエストみたいに楽しくなってきますよ!

【レベル1】声を出さなくてもOK!「目線+ペコリ作戦」

まだ声を出すのが恥ずかしかったり、気まずかったりするときは、無理に大きな声を出す必要はありません。

朝、昇降口(しょうこうぐち)の靴箱(くつばこ)や廊下で苦手な子とすれ違ったら、次のアクションをしてみましょう。

  • ステップ1:相手とほんの1秒だけ目を合わせる。
  • ステップ2:ニッコリとまではいかなくても、口元を少し緩(ゆる)める。
  • ステップ3:首をチョコンと縦に振って「ペコリ」とおじぎをする。

これだけで十分です!「声に出ていない挨拶」ですが、相手には確実に届きます。知らんぷり(無視)をするのに比べて、相手に与える印象は100倍良くなります。

【レベル2】名前をセットで呼ぶ!「〇〇くん、おはよう作戦」

レベル1ができるようになったら、次は声を出してみましょう。このときのコツは、「相手の名前」を頭につけることです。

ただ「おはよう」と言うよりも、「〇〇くん、おはよう!」「〇〇さん、バイバイ!」と名前を呼んであげるのがポイントです。

行動学の研究では、人間は「自分の名前」を呼ばれたときに、いちばん脳が心地よさを感じて、相手に親しみを持つことが分かっています。

朝の教室に入ったとき、苦手な子が黒板を拭いていたり、日直の準備をしていたりしたら、通り過ぎざまに「〇〇さん、おはよう」と名前をつけて言ってみてください。

【レベル3】天気やお世話の言葉を1言足す!「一言ぷらす作戦」

これができたら、あなたはもうコミュニケーションの超・大達人です!

挨拶のあとに、誰もが返事に困らない「安全な一言」をちょこっとだけ付け足します。

  • 朝の廊下で:「〇〇くん、おはよう!今日、すごく寒いね」
  • お掃除の時間に:「〇〇ちゃん、おつかれさま!ここ、雑巾がけしておくね」
  • 帰りの会で:「〇〇くん、バイバイ!また明日ね」

ポイントは、相手が答えに困るような難しい質問はしないことです。「寒いね」「暑いね」「雨降りそうだね」といった天気の話題や、「おつかれさま」というねぎらいの言葉は、どんな相手でも嫌な気持ちにならずに受け取ることができます。

もし、相手が無視(むし)してきたらどうする?

ここで、ひとつ大切な疑問にお答えしておきましょう。

「せっかく勇気を出して『おはよう』って言ったのに、相手が無視したり、気まずそうに目をそらしたりしたら、すごくショックを受けるかも…」と不安になる人もいますよね。

でも、大丈夫です!万が一、相手から返事が返ってこなかったとしても、あなたが傷つく必要はまったくありません。

ここでも行動経済学の知恵が役に立ちます。人間が行動を変えるまでには、「タイムラグ(時間のズレ)」があるのです。

相手が無視をしたように見えたとき、相手の心の中では次のようなことが起きています。

  • 理由1:びっくりしすぎている(「えっ、あいつが僕に挨拶してくるなんて思わなかったから、声が出なかった!」というパターンです)
  • 理由2:恥ずかしがっている(「どうやって返事をしたらいいか分からなくて、モジモジしてしまった」というパターンです)
  • 理由3:自分の世界に入り込んでいる(忘れ物を思い出したり、眠かったりして、頭がボーッとしていただけのパターンです)

つまり、相手が返事をしなかったとしても、それは「あなたのことが嫌いだから無視した」のではないことがほとんどなのです。

もし返事が返ってこなかったら、心の中でこうつぶやいてみましょう。

「よし!僕(私)はちゃんと挨拶のコインを渡せたぞ。相手は今、びっくりして受け取りに時間がかかっているだけだな!」

相手がどう反応するかは、相手の自由です。あなたがコントロールすることはできません。大切なのは、「相手がどう反応したか」ではなく、「自分から気持ちよく挨拶ができたかどうか」です。

挨拶ができた時点で、あなたの「心の得点」は100点満点です!相手の態度に振り回される必要はまったくありません。

明日学校でやってみよう!「あいさつ大作戦」のチェックリスト

さあ、心の準備はできましたか?

「苦手な相手にも挨拶だけは欠かさない」というルールは、今日から、そして明日からの学校生活で、すぐに試すことができる最強の魔法です。

明日の朝、家を出てから学校に到着するまでの間に、次の「あいさつ大作戦チェックリスト」に挑戦してみてください。

  • □ チェック1:家を出るとき
    おうちの人に「いってきます!」と、自分から元気に言えたかな?(まずは一番身近な人でウォームアップです!)
  • □ チェック2:通学路(つうがくろ)や昇降口で
    見守り隊のボランティアさんや、近所の人に「おはようございます」と言えたかな?
  • □ チェック3:教室に入る瞬間
    ちょっと苦手なあの人の顔を見て、「〇〇さん、おはよう!」(またはレベル1のペコリ)ができたかな?
  • □ チェック4:係活動や掃除の時間
    いっしょに作業する友達に「おつかれさま」「またね」が言えたかな?

このチェックリストをひとつでもクリアできたら、あなたは昨日までの自分よりも、確実に一歩「クラスで一番愛される人」に近づいています。

「くりかえしの魔法」と「お返しのルール」は、あなたが毎日挨拶を続けることで、ジワジワと、でも絶対に効果を発揮していきます。

1週間後、あんなに気まずかった苦手な子との間にある空気が、ふっと柔らかくなっていることに気づくはずです。もしかしたら、相手のほうから「おはよう!」と笑顔で声をかけてくれる日が来るかもしれません。

自分から挨拶のコインを投げる人は、誰からも嫌われることがありません。なぜなら、いつも人に優しさをプレゼントしている素敵な人だからです。

ワクワクする気持ちで、明日の朝、靴箱の前で小さな挑戦をはじめてみましょう!

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