第10章:自分を大切にしよう
ここまで、みんなとお友達がもっと仲良くなれるいろんなコツを見てきたね。話を聞く名人になったり、ありがとうを上手に伝えたり、クラスでハッピーを広げる魔法をたくさん手に入れたはずです。
でもね、みんな。すてきなコミュニケーションの土台には、とっても大切な秘密が隠されています。それは、「自分自身を大好きでいること」です。
お友達に優しくするのと同じくらい、自分のことも大切にできていますか?「どうせ私なんて……」「僕は何をやってもダメだ……」なーんて、テストの点数や失敗したことで、自分の心にしょんぼりパワーをため込んでいませんか?
実は、自分を好きじゃないと、お友達の優しい言葉も素直に受け取れなくなっちゃうんです。「そんなことないよ、お世辞でしょ」って疑っちゃったりしてね。もったいない!
そこでこの章では、今日からできる「自分を大好きになる魔法」を教えちゃいます。その名も、「自分のいいところを毎日3つ見つける」です!
脳科学が証明!「自分ほめ」で頭の中がハッピーになる
「自分のいいところを見つけるなんて、なんだかはずかしいな……」と思ったそこのあなた!安心してくだだい。これにはちゃんとした科学の理由があるんです。
脳科学(のうかがく:人間の頭の中のコンピューターである「脳」のしくみを研究するすごい学問です)の世界では、人間の脳には「ネガティブ・バイアス」というクセがあることが分かっています。
むずかしい言葉に聞こえるけれど、要するに「人間は、いいことよりも、いやだったことや失敗したことを何倍も強く覚えちゃうクセがある」ということです。
- 「今日のテスト、算数でまちがえちゃった……最悪だ……」
- 「給食のとき、牛乳をこぼして恥ずかしかったな……」
- 「あのとき、友達にきついこと言っちゃったな……」
頭の中が、こういう「反省(はんせい)」や「後悔(こうかい)」でいっぱいになっていませんか?脳はもともと、危険から身をまもるために、不安や失敗を大きく見るようにできているのです。
だから、ほうっておくと、どんどん自分に自信がなくなっちゃうのは、みんなのせいじゃなくて、脳の仕組みのせいなんです!
「いいこと探し」で脳の回路を書き換えよう!
じゃあ、どうすればいいのでしょうか?答えはカンタン。意識して「自分のいいところ」を探すことです。
脳には、使えば使うほど太くなる「道」のようなもの(脳の神経回路といいます)があります。「私ってダメだな」ばかり考えていると、そのダメな道がどんどん太くなっちゃう。逆に、「今日の私、ここがんばった!」と見つける練習をすると、脳の中に「自分を認めるハッピーな道」が新しくできていくんです。
これを続けると、脳の奥にある「扁桃体(へんとうたい:不安や恐怖を感じるセンサー)」が落ち着いて、「大丈夫、私はできる!」という前向きなパワーがあふれてきます。これが、脳科学が教える「自分を大切にする方法」の正体です!
明日からできる!「いいところ3つ」ノートの作り方
理論がわかったところで、さっそく具体的なやり方を見ていきましょう!やり方はとってもシンプルです。
お気に入りのノートを1冊用意してね。これが君の「パワフル・マイ・ノート」になります。夜、寝る前か、学校から帰ってきてホッとした時間に、今日あったことを振り返って、自分のいいところを3つ書き出してみましょう。
「えー、そんなに毎日いいところなんて見つからないよ!」という声が聞こえてきそうですね。大丈夫!大きなすごいことじゃなくていいんです。小学生の日常には、小さなきらめきが毎日たくさん転がっていますよ。
【レベル1】学校生活編:がんばった自分を見つけよう
まずは、学校での出来事から探してみましょう。こんなふうに書いてみます。
- 朝、登校班の1年生に「おはよう!」って元気に言えた。(あいさつ名人なところがいい!)
- 国語の音読で、つまずかずに大きな声で読めた。(練習をがんばったからえらい!)
- お掃除のとき、誰もやりたがらないロッカーのホコリをきれいにふき取った。(気づかい屋でやさしいところが好き!)
どうですか?どれも日常のちょっとしたことだけど、「よく見てるじゃん、私(僕)!」って思いませんか?
【レベル2】おうちのお手伝い・自分時間編:心の優しさを見つけよう
次は、おうちでの様子や、自分の心の中の優しさを見つけてみましょう。
- お母さんに頼まれる前に、お箸をテーブルに並べられた。(おうちの人を助けようとする心がステキ!)
- テレビを見たいのをがまんして、先に宿題を終わらせた。(えらい!自分で時間をコントロールできたね)
- 友達とけんかしたけど、自分から「ごめんね」って言えた。(勇気があってかっこいい!)
「ごめんね」が言えた自分をほめるの、とっても大切です。謝るのって勇気がいることだから、それができた自分は最高にかっこいいんです!
【レベル3】失敗しちゃった日だってお宝がある!
「今日はテストで悪い点をとっちゃったし、先生にしかられたし、いいところなんて1つもない……」そんな日もありますよね。人間だもの、そういう日だって絶対にあります。
でもね、失敗した日こそ、「自分をほめる大チャンス」なんです!脳科学的にも、ピンチのときの前向きな思考は、脳をぐーんと成長させます。
- テストの点は悪かったけど、最後まであきらめずに問題をといた。(最後までやりきった根性がある!)
- しかられて落ち込んだけど、深呼吸して気持ちを切り替えた。(立ち直る力がすごい!)
- 「次はがんばろう」って心の中で思った。(前を向くパワーが残っている!)
失敗をそのままにしないで、「よくがんばったね」って自分をなでてあげる。これができる人は、どんなに難しいことがあっても、絶対にへこたれない強い心(レジリエンスと言います)を手に入れることができます。
自分を大切にすると、周りの世界も輝き出す
毎日3つ、自分のいいところを見つけてノートに書き溜めていくと、驚くような変化がやってきます。
それは、「人のいいところもたくさん見えてくるようになる」ということです。
自分が自分を認めてあげられるようになると、心の中にポカポカとした「心のゆとり」が生まれます。今までだったら「なんだあいつ、ずるいな」ってイライラしていたお友達の行動も、「あの子、今日はこういうところをがんばってるんだな」って、温かい目で見てあげられるようになるんです。
クラスのなかで、誰かが失敗したときにも、「大丈夫だよ、次があるよ!」って、一番に声をかけてあげられる優しい人になれます。そんなあなたの周りには、自然とたくさんの笑顔や、すてきなお友達が集まってくるはずです。
自信って、誰かにもらうものじゃないんだよ。他の誰でもない、毎日のあなたの手で、少しずつ育てていくものなんです。
さあ、今日からノートとペンを用意して、最初の1個を探してみよう。今日のあなたは、どんなすてきなところを見つけられるかな?