時間を守って集合する
「じゃあ、土曜日の朝10時に、公園のすべり台のところでね!」
友達と遊ぶ約束をしたとき、みんなはどんな気持ちになりますか? 「土曜日が楽しみだなあ」「新しいゲームの続き、話せるかなあ」と、わくわくして眠れなくなることもありますよね。約束をすることは、友達と心をつなぐ最初の大きなステップです。
でも、もしも待ち合わせの時間に、友達が30分も遅れてきたらどうでしょう? 最初は「どうしたのかな、道に迷ったのかな」と心配するかもしれません。でも、15分、20分と過ぎていくうちに、「もしかして、私のこと忘れているのかな?」「私と遊ぶのは、そんなに楽しくないのかな……」と、胸の奥がチクッと悲しくなったり、だんだんイライラしてきたりしませんか?
そう、時間は、目には見えないけれど、「相手の大切な時間をもらっている」というとても大切なプレゼントなのです。今回は、時間をしっかり守ることで、友達から「この人といると安心するな」「もっと一緒にいたいな」と思われる、とっておきの秘密を伝授します。
なぜ「時間を守る」だけで、一気に好かれるの?
学校で、いつも時間にきっちりしている人っていませんか? 例えば、朝の会のチャイムが鳴る前に自分の席にすわっていたり、給食当番の準備をテキパキはじめたりする人です。
そういう人を見ていると、「ちゃんとしていてかっこいいな」と思いますよね。実は、心理学や数学の世界に、この「時間を守ること」のすごさを証明する面白い考え方があります。それが「ゲーム理論」という難しい名前の理論です。
「ゲーム理論」ってなんだろう?
ゲーム理論というと、「テレビゲームの攻略法かな?」と思うかもしれませんが、そうではありません。ゲーム理論とは、「自分と相手がどういう行動をとったら、お互いにとって一番ハッピーになるかな?」を考える、かしこい作戦のことです。
例えば、クラスの係の仕事をするときを想像してください。あなたと相方のペアで、黒板係の仕事をすることになりました。先生からは「2人で協力して、毎日きれいにふいてね」と言われています。
ここで、ゲーム理論の考え方を使うと、みんながどう行動するかがよく分かります。もしあなたが、「どうせ相方がやるでしょ」と思ってサボったらどうなるでしょう? 相方も「なんだ、あいつがサボるなら、オレもやらない!」となって、黒板は真っ白のまま、先生にしかられてしまいますよね。これは、お互いにとって一番最悪な結果(バッドエンド)です。
反対に、お互いが「約束した時間は絶対に守る!」「自分の仕事はきちんとする!」と信じ合えたらどうでしょう? 黒板はいつもピカピカになり、先生にもほめられ、2人のチームワークもどんどん良くなります。これが、お互いにとって一番ハッピーな結果(ハッピーエンド)です。
「時間を守る」は、最強の信頼サイン
ゲーム理論では、人間は「この人は信用できるかな?」と、無意識のうちに相手をテストしていると考えます。そして、そのテストの合格ラインの一番最初にあるのが、なんと「時間を守ること」なのです。
約束の時間に遅れないということは、相手にこう伝えているのと同じです。
- 「私はあなたのことを大切に思っています」
- 「あなたとの約束を、すごく楽しみにしていたよ」
- 「私は時間を守る、ルールをちゃんと守れる人だよ」
逆に、いつも時間に遅れてしまう人は、「私の時間は大切だけど、あなたの時間はどうでもいいや」というメッセージを、言葉にしなくても相手に伝えてしまっていることになります。そんなの、すごくもったいないし、悲しいことですよね。
明日からできる!「遅刻ゼロ」の神テクニック
「時間を守るのが大切なのは分かったけど、どうしても朝のしたくが遅くなっちゃうんだよなあ……」
「気づいたら時計の針が進んでいて、あわてて走る羽目になるんだよね」
そんなふうに悩んでいる人もいるかもしれません。大丈夫! 時間を守るのは、才能ではなく「ちょっとした工夫(テクニック)」です。明日からすぐに学校や遊びの約束で試せる、とっておきの作戦を教えます。
1. 「逆算(ぎゃくさん)」でスケジュールを立てよう
待ち合わせの時間に間に合わない人の多くは、「何時に家を出るか」だけを考えています。でも、プロは違います。待ち合わせの場所から、家を出る時間までを「逆」にたどって計算するのです。
例えば、日曜日の朝10時に公園で集合するとします。
- 集合時間:朝10時00分
- 移動時間:公園まで歩いて15分かかるから、9時45分には家を出よう!
- 靴をはいたり準備する時間:玄関でもたもたするかもしれないから、5分余裕を見て、9時40分にはすべてのしたくを終わらせておこう!
- 起きる・着替える時間:朝ごはんを食べて、着替えて、歯をみがくのに1時間かかるから……朝8時40分には起きよう!
このように、ゴール(集合時間)からスタート(起きる時間)に向かって時間を逆向きに考えることを「逆算」と言います。これができるようになると、不思議と遅刻しなくなりますよ。
2. 時計は「5分進めておく」魔法
自分の部屋の時計や、腕時計の時間を、本当の時間よりも「5分だけ早く」合わせておくのも、すごく効果的な作戦です。
人間の頭は不思議なもので、たとえ「5分早いって分かっていても」、チラッと時計を見た瞬間に「わっ、もう8時50分だ!(本当は8時45分なのに)」と、心がプチ焦りを感じます。この「ちょっとした焦り」が、みんなをテキパキと動かしてくれるのです。
学校の登校班の集合時間や、習い事のときにも使えます。ぜひ、おうちの人にお願いして、時計を少しだけ未来に進めてもらいましょう。
3. 「早め到着」で、逆にトクしちゃおう!
「待ち合わせに早く着きすぎると、ヒマだなあ……」と思いますか? とんでもない! 実は、早く着くことには、とんでもないメリットがあるのです。
ゲーム理論の考え方でいうと、約束の時間ギリギリにハラハラしながら走ってくる人よりも、5分前にニコニコして待っている人のほうが、圧倒的に「信頼ポイント」が高くなります。
待ち合わせの場所に5分早く着いたら、こんな良いことがありますよ。
- 深呼吸をして、心を落ち着かせることができる
- 周りの景色を見て、面白いもの(四つ葉のクローバーや、かわいい猫など)を見つけられる
- 友達が走ってやってきたときに、「お疲れ様! 全然待ってないよ!」と、かっこよく声をかけてあげられる
「早く着きすぎて損した」なんてことは絶対にありません。むしろ、「時間に余裕がある心の広い人」という最高の印象を、友達にプレゼントできる大チャンスなのです。
時間を制する者は、学校生活を制する!
クラスで人気があって、みんなから頼りにされる人を見ていると、みんな「自分の時間」だけでなく「周りの人の時間」も大切にしています。
係の仕事をパッと終わらせてみんなを待たせない人。グループワークのときに、約束の期限までに自分の係のノートをちゃんと仕上げてくる人。そして、休日に遊ぶ約束の時間をしっかりと守る人。
そういう人は、周りの友達から「この人と一緒にいると、気持ちがいいな」「信頼できるな」と思われます。その結果、困ったときに助けてくれたり、もっと楽しい遊びに誘ってくれたりする仲間がたくさん集まってくるのです。
時間は、みんなに平等にあたえられた、目に見えない宝物です。その宝物をどう使うかで、あなたのまわりの人間関係はガラリと変わります。
さあ、次の約束はいつですか? 次は時計の針をチラッと見て、「逆算」をして、ちょっとだけ早めにその場所に行ってみましょう。きっと思っている以上に、すがすがしくて楽しい世界が待っていますよ。