不安な時は深呼吸をして落ち着く
学校で、こんなことってありませんか?
- 明日の発表会、うまく話せるかドキドキして心臓がバクバクする。
- テストの時間がはじまる直前、急に頭の中が真っ白になる。
- 友達とケンカをしてしまって、イライラが止まらない。
そんなとき、あなたはどうしていますか?「落ち着かなきゃ!」と思えば思うほど、余計にドキドキしたり、イライラが大きくなったりすることはありませんか?
実は、それはあなたのせいではありません。あなたの脳の中で、ある「スイッチ」が勝手に入ってしまっているだけなのです。でも、大丈夫。そのスイッチを自分でコントロールして、心を「安心モード」に切り替える魔法の方法があります。
脳の「火事」を消す魔法のスイッチ
脳科学の世界では、私たちが不安を感じたり、怒ったりしているとき、脳の奥にある「扁桃体(へんとうたい)」という場所が、ものすごい勢いで働いています。この場所は、いわば脳の「警報ベル」です。
「大変だ! 何か危険なことが起きそうだぞ!」「敵が攻めてきたぞ!」と、脳全体に大騒ぎのサインを送るのが、この扁桃体の役割です。このベルが鳴り響いている間は、冷静に考えるための脳の場所(前頭前野)がうまく動かなくなってしまいます。だから、テストで頭が真っ白になったり、友達にひどいことを言ってしまったりするのです。
でも、この警報ベルを止めるには、たった一つの「裏ワザ」があります。それが「深呼吸」です。
なぜ深呼吸で落ち着くのか?
深呼吸をすると、なぜ脳が落ち着くのでしょうか。それは、呼吸が「脳と体のつながり」を動かしているからです。
私たちが「ハァーッ」と長く息を吐き出すとき、体の中では「もう危険はないよ、リラックスしていいよ」という信号が、迷走神経(めいそうしんけい)という特別な道を通って脳に届けられます。この信号が届くと、脳は「おっと、警報ベルを鳴らす必要はなかったな」と気づき、大騒ぎをやめてくれるのです。
つまり、深呼吸は脳に対して「今は安全だよ」と伝える、世界で一番かんたんなメッセージなのです。
明日からできる!「深呼吸」の3ステップ
ただ息を吸うだけでは、あまり効果がありません。脳にしっかり「安全だよ」と伝えるために、この「3つのステップ」を試してみてください。
- ステップ1:まずは、今の息を全部出し切る
肺の中の空気を、ストローでふーっと吹くように、ぜんぶ外に出します。お腹がぺちゃんこになるまで吐くのがコツです。 - ステップ2:鼻からゆっくり空気を吸い込む
4秒くらいかけて、ゆっくり吸いましょう。お腹がふくらむのを感じてください。 - ステップ3:吸った時間の「倍」かけて吐き出す
ここが一番大切です!吸ったのが4秒なら、8秒かけてゆっくり吐き出します。「ふーーーっ」と長く吐くことで、脳の警報ベルが「カチッ」とオフになります。
学校で「敵」を作らないための深呼吸のタイミング
深呼吸は、誰にもバレずにできる「隠れスキル」です。こんなときに使ってみてください。
- 先生に当てられて、立ち上がったその瞬間
答えがわからなくて焦ったとき、一回だけ深く息を吐いてみましょう。それだけで、頭の回転が少しだけ戻ってきます。 - 係の仕事で、みんなの前で話す前
緊張して声が震えそうなとき、深呼吸をすると声が落ち着きます。落ち着いた声で話す人は、みんなから信頼されます。 - 友達にイヤなことを言われて、カッとなったとき
言い返したい言葉を飲み込んで、まずは深呼吸。その3秒間で「言い返したらどうなるかな?」と考える余裕が生まれます。ケンカを避けることが、一番の「敵を作らない」戦略です。
「自分をコントロールできる」という自信
不安になったり、イライラしたりするのは、人間なら誰でも当たり前のことです。大切なのは「不安を感じないこと」ではなく、「不安になっても、自分で落ち着かせることができる」ということです。
「深呼吸をすれば、自分はいつでも冷静になれるんだ」と知っているだけで、学校生活はぐっと楽になります。何があっても大丈夫。あなたには、自分の脳を自分で守る力があるのです。
明日の朝、学校の門をくぐるとき、まずは一つ、深呼吸をしてみてください。その一息が、あなたを今日一日、穏やかで優しい気持ちで過ごさせてくれるはずです。
さあ、深呼吸をして、新しい一日をワクワクした気持ちで迎えてみましょう。