相手の意見が違っても一度は受け止める

📖 『「感じがいい人」になれる!クラスで好かれる50の魔法のルール』
ー 第2章:一緒にいて安心できる「思いやりの行動」の習慣 ー
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相手の意見が違っても一度は受け止める
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相手の意見が違っても一度は受け止める

クラスの話し合いや、休み時間の遊びを決めるとき、自分とはちがう意見が出てくると、つい「えー、それはちがうよ!」「それはダメだよ」とすぐに言い返したくなってしまうことはありませんか?

自分の考えをはっきり伝えるのは、とてもかっこいいことです。でも、実は相手の意見をいきなり否定してしまうと、あなたの印象は「感じがいい人」から少し遠ざかってしまうかもしれません。なぜなら、人間には「自分の考えを否定されると、心に痛みをかんじる」という不思議な仕組みがあるからです。

今回は、相手と意見がちがうときこそ使える、魔法のテクニックをお話しします。これをマスターすれば、あなたはクラスで「この人と話すと、なんだか安心するな」と思われる、最高のパートナーになれるはずです。

脳の中にある「びっくりボタン」の正体

なぜ、自分の意見を否定されると、悲しくなったりイライラしたりするのでしょうか。それは、私たちの脳の中に「へんとう体」という、小さな「びっくりボタン」があるからです。

この「びっくりボタン」は、大昔から人間を守ってきた大切な役目を持っています。ライオンにおそわれそうになったときや、あぶない場所に近づいたときに、「にげろ!」「戦え!」と命令を出すのです。実は、人間にとって「自分の意見を否定されること」は、脳にとっては「敵におそわれること」と同じくらい、ショックなできごととして伝わってしまいます。

あなたが「それはちがうよ!」と言った瞬間、相手の脳の中では「びっくりボタン」が連打され、心にバリアを張ってしまいます。そうなると、もうあなたの正しい意見も、相手の耳には届かなくなってしまうのです。これを心理学では「心理的リアクタンス(心の反抗)」と呼びます。相手を説得しようとして強く言えば言うほど、相手の心はどんどん離れていってしまう……。そんなもったいないことはしたくないですよね。

魔法のルール:まずは「心のクッション」で受け止める

では、どうすればいいのでしょうか。答えはとてもシンプルです。相手の意見が自分とちがっても、まずは「一度だけ、そのまま受け止める」のです。これを、キャッチボールにたとえて考えてみましょう。

相手が投げたボール(意見)が、たとえあなたが受け取りにくいボールだったとしても、いきなり打ち返したり、よけたりしてはいけません。まずは、両手でしっかりと「ナイスキャッチ!」をするのです。これを会話では「心のクッション」と呼びます。

具体的には、次のような言葉を使ってみてください。

  • 「なるほど、〇〇さんはそう思ったんだね」
  • 「たしかに、そういう考え方もあるよね」
  • 「教えてくれてありがとう。よくわかったよ」

これらの言葉を最初にはさむだけで、相手の脳の「びっくりボタン」は静まり、安心感でいっぱいになります。脳科学の研究では、自分の意見を受け止めてもらったとき、脳の中では「ドーパミン」という幸せを感じる物質が出ることがわかっています。あなたが一度受け止めるだけで、相手は「この人は僕の味方だ」と安心して、あなたの話を聞く準備ができるのです。

学校生活でやってみよう!3つの具体例

明日からすぐに使える、具体的なシーンを見ていきましょう。ポイントは、「反対する前に、一度うなずく」ことです。

1. 休み時間の遊びを決めるとき

あなたは「ドッジボール」がしたいけれど、友達が「今日は教室でトランプをしよう」と言ったとします。

×ダメな例:「えー、トランプなんてつまんないよ。ドッジボールにしようよ!」
〇魔法の例:「そっか、トランプでゆっくり遊ぶのも楽しそうだね!(一度受け止める)。でも、僕は今日どうしても体を動かしたい気分なんだ。ドッジボールはどうかな?」

2. 係活動のポスターを作るとき

あなたは「青色」で書きたいのに、係のペアの子が「絶対、赤色がいい!」と言い張っています。

×ダメな例:「赤は目立ちすぎて変だよ。青の方がきれいに決まってるじゃん」
〇魔法の例:「赤色はパッと目に入っていいね!(一度受け止める)。じゃあ、大事なところだけ赤色にして、周りは青色でさわやかにしてみるのはどう?」

3. 家でお手伝いをしているとき

お母さんやお父さんに「お皿の並べ方がちがうよ」と注意されたとき、自分なりの理由があったらどうしますか?

×ダメな例:「わかってるよ!あとでやろうと思ってたのに!」
〇魔法の例:「あ、本当だ。教えてくれてありがとう(一度受け止める)。こっちの方が使いやすいかなと思ってこうしてみたんだけど、どうかな?」

「受け止める」ことは「ガマン」することじゃない

ここでひとつ、大切なことをお伝えします。「相手の意見を一度受け止める」というのは、「相手の言いなりになる」ということではありません。

相手が「こうしたい」と言ったことに対して、「いいよ、そうしよう」と自分の気持ちを押し殺して合わせる必要はないのです。あくまで「あなたはそう思っているんだね、ということを、私は理解しましたよ」というサインを送るだけです。

心理学には「自己肯定感」という言葉がありますが、一度受け止めてもらえると、相手は「自分を認めてもらえた」と感じて、あなたに対して信頼を寄せるようになります。信頼関係ができあがれば、そのあとにあなたが「私はこう思うんだ」と言ったときに、相手も「じゃあ、君の意見も聞いてみようかな」という気持ちになりやすいのです。

これを「返報性(へんぽうせい)の法則」と言います。人は、自分を大切にしてくれた人を、大切にし返したくなる生き物なのです。あなたが先に相手を大切に(=一度受け止める)することで、結果的にあなたの意見も通りやすくなる。これこそが、クラスで好かれる人がこっそり使っている「魔法」の正体です。

明日からできる「聞き上手」のトレーニング

明日、学校に行ったら、まずは誰かが話しかけてきたときに「0.5秒のうなずき」をプラスしてみてください。相手が話し終わった瞬間に、「うんうん」と深くうなずいてから、自分の言葉を話し始めるのです。

もし、どうしても反対の意見を言わなければならないときは、この3ステップを思い出してください。

  • ステップ1:相手の目を見て、最後まで話を聞く(途中でさえぎらない)。
  • ステップ2:「なるほど」「そうなんだね」と、相手の言葉をそのまま繰り返す。
  • ステップ3:「その上で、僕はこう思うんだけど、どうかな?」と提案する。

この「一度受け止める」習慣がつくと、あなたの周りには自然と笑顔が増えていきます。意見がぶつかることは、決して悪いことではありません。ちがう意見があるからこそ、もっと素晴らしいアイデアが生まれるのです。そのための第一歩が、「まずは受け止める」というあなたの優しさです。

さあ、明日のクラスでの話し合いが楽しみになってきませんか? あなたが「心のクッション」を広げて待っていれば、どんな意見が飛んできても大丈夫。クラスのみんなが、あなたと話す時間を心地よく感じるようになるはずです。

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